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第3話

 ルフィナ公爵家は王族とは深い関係にある。

 ユニテア帝国は、魔王を倒した勇者ユニテア・イーガンが建国した。そしてその建国に助力したのが聖女ヒルダ・ルフィナだ。

 表向きは魔王を倒したユニテア・イーガンが初代王となったが、実は魔王は勇者によって倒れてはいなかった。なぜなら倒されるべき魔王と聖女がお互いに一目惚れをしてしまい、全てにおいて真反対の二人が結ばれてしまったのだ。

 魔王は聖女のためにさっさと魔王をやめ、魔物たちを魔界に引き上げさせてしまった。

 そうなると勇者としても、魔王を倒すという意味がなくなったのと、公に魔王と聖女は相思相愛になりました! なんて発表をできるはずもない。

 おまけに聖女ヒルダが魔王に手を出すなら世界を滅ぼす! とまで言ったらしい。その姿を見ていた魔王がのちに、また惚れ直してしまって大変だったと、妻のヒルダを膝にのせながら勇者ユニテアに惚気たとかなんとか。

 それは置いておいて、その魔王と聖女の血を受けついでいるのがルフィナ公爵家なのだ。

 魔と聖の力を持ち合わせているルフィナ公爵家には、二つの役割がある。

 まず一つ目が、王に子供が生まれた場合、その子供が帝国の王にふさわしい賢王なのかを見極める事。これは建国した時に、魔王と聖女の初代王で決められた事ではあるが、この事は王に就いた者と一部の者しか知る事はない。

 見分け方は簡単で、ルフィナ家当主が手をかざして、その手の平に百合の文様が現わられれば、賢王になると認められ、帝国の次期王になる。

 もう一つは、帝国の憂いを消し去る事。皇帝陛下の命、または公爵家が周辺で不穏な動きを感じた場合、その暗部の抹消を行う。

 抹消される人間がどんな地位であろうとも、帝国に仇となると判断された場合は関係がなく、その行動は許されてしまう。

 建国されて七百年が経ち、魔力はあれど、個人が持つ魔力量は微量にしかない。しかしルフィナ家はそれなりの魔力を受け継いでいた。そしてその力は、必ず長子が継ぐ訳ではない。

 次期ルフィナ公爵家を継ぐのは兄のヴィンセントではなくアリシア・ルフィナなのだ。もちろんヴィンセントもルフィナ家の人間であるため、それなりの魔力も持ち合わせ、仕事のサポートをしてくれている。

 なぜ力が必ず長子に受け継がれる事がないのか。それは先祖である魔王と聖女の遊び心という物らしい。本当に迷惑な話しである。

 話しを戻そう。皇太子の誕生日パーティーで麻薬の取引があると情報が入って来たのだ。そこでアリシアだけがパーティーに向かった。

「蝶を放っていたところ、デイミアン・モークリー男爵が怪しい動きをしてた」

 蝶とは、アリシアが魔力で作り出した目だ。何か怪しい動きがあれば、蝶から報告がくるようになっている。


「怪しい動き? モークリー男爵家と言えば、確か北の領地だったな」

「はい」


 アランの問いかけとともに、「あそこは土地がやせていますからね。それでも寒くても育つ野菜など、冬でも越せるには十分な収入はあるはずですが」と全貴族の情報を頭に叩き込んでいるヴィンセントが答えた。

 ヴィンセントは優秀だ。貴族学校を、最初から最後まで主席を維持し卒業した。貴族学院創設以来の天才だと、その歴史に刻まれた。

 アリシアはヒールを脱いで、ソファに深くもたれ掛かった。


「アリシア。はしたないよ」

「だって疲れたんだもん。パーティーって嫌いなのよね。お兄様は一緒に行ってくれなかったし。そうそう、また婚約破棄をやらかした馬鹿がいたよ」

「またか。どうやらその噂が庶民にも流れて、そういった小説が出回り始めているらしいよ。あと俺は俺で、調べることがあったから、パーティーには行けないと言ったじゃないか。それより父上、モークリー男爵はどうしますか?」


 仕事人間のヴィンセントに思わず、アリシアから溜息が漏れた。

 それよりも、あの馬鹿令息たちの話しをモチーフになった小説が気になる。今度、買い物のついでに書店に寄ってみようと、アリシアは頭に入れておく。


「モークリー男爵の財政を調べよう。アリーは男爵の監視を」

「はーーい」

「分かりました」


 アリシアとヴィンセントの返事で会議は終了した。


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