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第13話

パンッと乾いた音が地下に響く。一〇メートル先にある木で作られた人型の胸元には、穴が集まっている。


「相変わらずお嬢様の腕はすげえな。もうなーーんにも教える事がねえ。ちなみに魔力なしでそれなんスよね?」

「うん。魔力を込めて撃つと」


 アリシアが引き金を引いて撃った人型が、木っ端みじんになった。


「――やべえ」

「ちょっと入れすぎたかな? もう少し少なく込めないとダメだった」

「いや。魔力は込めんでください。それで人を撃ったら、周りがトラウマですわ」

「まあ。そうかも。それよりアトス、仕事はいいの?」

「あ! 俺、旦那様にお嬢様も呼んできてくれっていわれてきたんスよ」

「分かったわ」


 アトスはルフィナ公爵家のコックであり、元傭兵だ。体術もだが、銃の扱いにも長けている。大柄で厳つい顔をしているが、愛嬌のある性格をしている。そんな体躯なのに、作る料理は繊細で綺麗なのだから人は分からない。

 それにしてもお父様から呼ばれたって事は、また何か消さないといけない事でもあったのかな。執務室に入ると、眉間に皺を寄せて難しい顔をしているアランが、椅子に座って目だけをアリシアに向けてきた。


「えっと、お父様?」


 何か、かなり深刻な問題でも発生したのかもしれない。緊張と高揚感が混ざって、アリシアは笑みを浮かべた。


「何か、あったの?」

「ああ」

「かなり、深刻な事?」

「ああ。実は」


 どこかの国が、ユニテア帝国に対して、無謀にも戦争を仕掛けて来るのか。アランが重い口を開けた。


「――とうとう、国王陛下からアリーに見合いの話しがきたんだ」

「ん?」


 今、なにか、思っていたものとは違う言葉が聞こえてきてアリシアは首を傾げた。


「だから! 私の可愛いアリーに、見合い話しがきたんだ!」


 机に突っ伏して「アリーが、結婚なんて!」とアランの泣き声が聞こえてくる。


「ええっと、お父様。陛下から見合いがきたの?」

「そう! 運命に出会ってないのなら、結婚相手いるよね? ルフィナ公爵家の後継ぎはアリーでしょ? だから相手を用意したよって陛下が!」


 お父様は結婚して公爵家の次の後継ぎをみたいな事を言う割に、こうして結婚相手が出て来ると子供みたいに駄々を捏ねるけど、どうしたいんだろう。アリシアは、嘆き悲しむアランに「私が結婚せずに、お兄様の子供が継げばいいじゃないの?」と言ってみた。


「いや、それはできんのだ。後継者の子供が力を継ぐから」

「本当に?」

「――多分。なにしろ建国以来、運命に出会わなかった後継者はいないんだ。本当に一〇歳前後までに、同じ年齢くらいの男の子を助けた事はないのか?」

「前から言っているけど、無いよ。もう、これってルフィナ公爵家の役目は終わりだよって、思し召しなんじゃないかな?」

「それなら、印をつけて子供は生まれてこないはずだ」


 アリシアの左足太ももの内側にある、ルフィナ公爵家後継者の印である百合の痣。アランは胸元に付いている。

 どちらにせよ陛下からの話し。ルフィナ家はそれでも断る事はできるけど、年齢的は受ける事になるだろうなと、アリシアは貴族であり後継者である以上、独身ではいられない。

「なら、陛下からのお見合いは受けるしかないよね?」

「アリーが結婚なんて!」

「ああ! もう! 結婚して欲しいの? して欲しくないないの?!」

「どっちも!」

 いつもはキリッとしていて、憧れの領主様、憧れの財務大臣と言われているのに、アリーの結婚の話しになるとポンコツになってしまう。

 とにかく、陛下が持ってきた縁談なら、変な人ではないはず。アリシアはアランが持っていた陛下からの手紙を取りあげて、中身に目を通した。

 ぐずるアランの尻を叩いて、あれから一週間。今日はイアン・バリー・ストーン公爵令息が、ルフィナ家に訪問する。

 イアンは、ストーン公爵家の二男で、王宮騎士団副団長であり、陛下の甥にあたる。白銀の髪に紫の瞳で容姿端麗の美男子と社交界でも有名な人だ。

 年は二〇歳。そんな男性が今までずっと婚約者がいない。隣国の皇族からもアプローチをされても、どんなに美人でも、どれだけ可愛いらしい女性でも、振って振って振りまくって今に至る、いわば訳アリの令息。そのイアンがもう直ぐルフィナ邸にやってくる。


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