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第12話

 翌朝、リカルドに急かされて食堂に行くと、アランとヴィンセンが既に席にすわっていた。でも少し空気が重い。


「おはよう。お父様、お兄様」

「アリー」


 溜息交じりに名前を呼ばれる。昨夜の事かな。でもあっちから手を出してきたんだから、自分は別に悪くないと思うけど。ちょっと反省をしていますよと、そんな振りをしてアリシアが席に着いた。


「アリー……言っただろう?」

「そうだよアリー。アリーが強いと分かっていても、返ってきた時に血が付いていると、心臓が止まりそうになるんだよ」


 そう言って、本当に苦しそうにヴィンセントが胸元を掴み、アリシアは、ほんの少しだけ悪いと思った。お兄様は、昔から心配症なのよね。ちょっとやそっとの事では怪我はもうしないし、それに浅い傷なら、直ぐに治るのは知っているのに。アリシアに流れる聖女の血の事を忘れているのかな? と言われるたびに思ってしまう。


「でも相手が仕掛けてきたから。それにイカサマをしていたから魔法でね? 周りはサクラだったから大儲けしたの。そのお金を色々なところに寄付をしようと考えていたら、ね?」

「ね? なじゃない。そのお金は、好きに寄付をすればいいが、こっちの予定が少し狂ってしまったじゃないか」

「大丈夫。お父様とお兄様なら、予定通りできるよ」

「アリーそんな簡単に、言わないでよ」


 ヴィンセントの捨てられた子犬のような顔をしているのを見て、それでもできちゃうのが、うちの家なんだよねえ。とアリシア朝食を取り始めた。


「あ、そうだ。蝶が麻薬の栽培場所を突き止めたの。モークリー男爵の領地とマロイン子爵の領地」


 マロイン子爵も、あの違法賭博場の客だった。

「こっちも面白い事が分かった。アリーからもらった違法賭博場に出入りしている貴族だが、スタン銀行と取引をしていたんだ」


 スタン銀行は老舗ではなく、ここ数年でできた銀行だ。

 基本貴族は、伝統や繋がりを重んじる。だから新規の銀行と直ぐに取引をする事はない。貴族は貴族ご用達の銀行がいくかあるからだ。


「父上、もしかしてモークリー男爵の事業案というのは」

「そうだ。スタン銀行から融資を受けていたんだ。ここまで言えばわかるな?」


 違法賭博場と麻薬、そしてスタン銀行が繋がっているという事だ。ヴィンセントが眉間に皺を寄せて、険しい顔になっている。なら、段取りが整えば直ぐにも一斉に騎士団が向かうだろう。そうなるともう、ルフィナ公爵家の出番は終わる。


「じゃあ、もう、ほとんど解決ね。リカルド、朝食を」

「かしこまりました」

「全く、アリーは……」とアランとヴィンセンは仲良く同時に長い息を吐いていた。




 違法賭博場、スタン銀行、そして麻薬を栽培していたモークリー男爵邸とマロイン子爵邸に騎士団が踏み込み、事件は解決した。

 モークリー男爵とマロイン子爵は麻薬依存になっていて、廃人一歩手前だったらしい。

 モークリー男爵が部屋をひっくり返して探していたのは、使うはずだった麻薬がどこかに紛れ込んで、必死に探していたと分かった。

 麻薬依存の二人は、それがどれほど恐ろしいものか国民に分からせるため、広場で見世物になった。幻覚、幻聴で人の形をしているだけのモノに成り下がっている。それを見た国民や貴族たちは、身を震わせていた。


 でもそれでも麻薬に手を出す人間がいるだろうし、それを作る人間も売る人間も虫のように湧いてくるだろうというのが、ルフィナ公爵家では一致している。だからそのためにも、麻薬依存で見世物になっている二人は、地方を回ってその姿を晒す事になっている。そして最後は処刑がされる事が決まっていた。そして裏賭博場の人間も処刑された。

 スタン銀行で繋がっていた人間たちは、北の地にある、強制労働地へと送られた。そして違法賭博場に出入りしていた貴族は、麻薬まで手を出していたのかまでは、証拠が掴めなかったらしい。使用していていも頻度は少なく、しっかりと証拠の隠滅を図っていた。しかしそんな麻薬と関係があった場所に出入りをしていたという事で、家からは切り捨てられ、平民として暮らすことになった。


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