38.5
間話
アンリとヘザーのその後
読み飛ばしても本編に影響しません
イリアとルーズが席を立った後、2人は揃って息を吐き出した。
『ふぅぁーっっ!…団長と食事はさすがに緊張したぁぁ』
ヘザーは、普段吊り上がった目と眉毛を下げながら親友に抱きつく。アンリは眼鏡を拭きながら余った片手で親友の頭を撫でた。よしよし。
『夜勤明けのテンションで乗り切りましたけど、普段団長になんて会いませんもんね私たち…』
魔法士団の中でもラインの無い下っ端になるアンリとヘザー。夜勤明けでぽけーっと朝ごはんを食べていたら団長と王族の魔法教師がやってきた。
自分らには関係ないお偉いさんだーと気にせずにいたら『ここ、いいかしら?』と団長に声をかけられた。
上官命令死守すべしで頷くと、4人での食事が始まった。
ルーズと歳が近しい2人がたまたまいたためイリアは声をかけたのだった。
『…イリア団長、美人だったし話しやすくて益々好きになっちゃった…いい匂いだったあ』
『分かります。あれで強いのは反則ですよ』
魔法士の憧れイリア団長は、公爵令嬢としての美しさは薔薇の如く、魔法士としての実力は白狼の如く孤高の麗しい魔法士団長として知られる。
彼女は、貴族のパーティーに現れても興味がないのかすぐに姿を消し、魔法士団の仕事もさっさと片付け去ってしまい人と馴れ合わないと噂されている。
実際は忙しすぎてあまり同じ場所に留まっていられない、というのが魔法士団員だけが知る事実だが。
『それにしても、ルーズさんすごいわね…あんなコントロール訓練出来るなんて。
ついていくのもすごいけど……』
『ですねぇ。子どもの時にやれって言われても無理です。ルーズさんすごいですし……』
『『魔法士が天才』』
親友らしく息が揃った。ルーズもすごいがそれをやってのけた隣国の魔法士のやばさに引いた。
魔法の相殺ができなければ割と笑えない大惨事になる。魔法は足し算ではなく掛け算だ。
別の人間の相反する魔法をぶつければ、大きくぼーんっ!だ。死ぬ。
ルーズが相殺に失敗したとき、瞬時に足りない分の魔法で覆い軽い被害に抑えたと考えられる。特別な魔法具や準備があればできなくもないが、商団の護衛中に持ち歩いているわけもない。
『ただの護衛じゃないよね、絶対』
『ルーズさんが譲ってもらった本もすんごい貴重品なんですよねぇ。貴族がそんな譲るわけないですコレクションに出来ます』
もしかして、商団怪しい…??えーうそーやだー
魔法士団の食堂の隅で2人で時間を忘れてあーだこーだ盛り上がる。
追加でデザートとお酒を注文しさらにきゃっきゃしていると『おーいデュオ副団長がすんっっっごい面白そうな魔法具持ってきた!なんかバラしてもいいって!!』と食堂に興奮状態の団員が飛び込んできた。
『『『『『本当に!?』』』』
その瞬間、塔で大歓声が上がった。
もちろんアンリとヘザーも目を輝かせ楽しいイベントに参加したのだった。




