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あーいらいらするー。最近優秀な魔法士いないなーって思ってただけど、えー??

あいつらのせいならぜっっったい許さない



 デュオは魔法士試験の受験者を意図的に減らした疑惑に心底腹を立てていた。

 もしかしたらリーベのギルド支部が勘違いしている可能性もまだ僅かに残っているが、魔商ギルドが疑われるような前科が山ほどある。



 そもそもルーズを勝手に部長ごときがクビにしたことも気に食わない。国の機関が、犯罪者でもない限り貴重な職員を即日解雇なんてするわけがない。


ルーズを辞めさせた次の日に、ギルドの魔力が足りないだなんだ騒ぎ立てやがって。

意味不明だっつーのー恥知らずどもが。


細かいのは殿下に任せたし、あとは…


『むかつくからギルドいこーっと』


 いいことを思いついたとばかりに、子どもがまるで遠足に行くような軽い足取りでデュオはギルド本部に向かった。







 その頃のルーズは、魔法士団の食堂で早めのランチ中だった。


『えールーズさんて、独学でコントロール身につけたんですか?!よく心折れませんでしたね』


『ほんとに。魔力量が少なければ少ないほどコントロールは簡単だから、ルーズさんは大変だったでしょう』




 食堂では、夜勤勤務の団員たちが仕事終わりに食事をしておりイリアとルーズはそこに加わる形で同じテーブルに着くことに。

 2人の団員はルーズと年が近く、魔法という共通点からすぐに打ち解けてた。


 魔法具メガネをかけているのが魔防具開発が趣味のアンリ。

 つり目の笑上戸で訓練大好き戦闘要員のヘザー。


 魔法士団の夜勤は、党に薬品や魔法を詰めた瓶など危険なものも多く、二十四時間体制で管理と見張りをする夜の番だ。

 基本は暇で、党内にいればいいので2人とも魔法具いじりや訓練をして過ごしていたと言う。


 魔法士団は、魔法マニアが多い。

 ルーズの魔法は魔法士団全員がすでに知っており興味津々だ。


 あの王女の散歩の日、特殊な魔法が使われたと連絡が来た時には、お祭り騒ぎで解析や討論会が開かれ深夜明けのテンションも合わさり、それはもうすごかったとイリアは疲れた顔で話した。

 ルーズから魔法の提供がされ、今後が楽しみだと目を輝かせる2人。

 申し訳ないやら居た堪れなさが押し寄せ苦笑いで聞いていた。



 そして今の話題は、ルーズについてだ。


『師はいたの?』




 ルーズに本来の意味での師はいない。が面倒を見てくれた師匠と呼べる人ならいる。


『私は師匠と勝手に呼んでるんですが、少しの間面倒を見てくれた隣国の魔法士がいます』


 商団の護衛をしていたので今はどこにいるか分からないがいつか師匠にちゃんとコントロールできるようになったと見せるという夢があることを語ると、いつか会えるよ!と夜勤明けの団員たちにいい子だねぇいい子と泣きながら励まされた。

 酒はなくとも夜勤明けは感情が昂りやすいものだ。



『そう、隣国の…

ではルーズは隣国の訓練法なのかもしれないわね、王女殿下の指南にちょうど良かった』


 深く考えていなかったが、イリアに指摘されルーズはその可能性について初めて気づいた。




『師匠は隣国出身て言ってたのでそうなんですかね。


ずっと師匠と同じ量の魔力を出し続けるっていう訓練だったんですけど、相殺しないとどっちかに被害が出るっていうやり方で…』


師匠が火の魔法を出したら、同じ量の水を出す。

魔力量のバランスが合わないと軽いやけどか水に濡れる。

風を出したら、同じ量で風を出す。

同じ量なら風は渦を巻いて消えるが片方が強ければ片方が吹っ飛ぶ。




『本来は、魔力の出し入れをわかった後にやる訓練で魔力だけを同じ量出してやるらしいんですけど、時間がなくて体に覚えさせろってことでそんな訓練でした。


あっ勿論アリナーデ様には、安全な方法でやりますのでご安心ください』


 時間がなかった師匠はルーズの魔力のスイッチの切り替えついでにコントロール技術訓練を施した。

 命の危険に晒されたら魔力は勝手に出てくる!考えるなやれ!が師匠のモットーだった。


 同席した一同ドン引きである。


 魔力量が少なければ問題ないが多いものがやる最初の訓練ではない。危険が極まりすぎるやり方だった。


 この国での魔力を使う最初の訓練は、ゆっくりと体内に師が弟子の体内に魔力を流す。

 魔力の流れを体感出来るようになると、自分の魔力を動かす要領をつかめたらあとは出し入れを徐々に行う。


 そして次の段階の普通の訓練は、魔法具に魔力を注ぎ視覚で自分の魔力量を確認する作業だ。

 どのくらい力を込めたらどれくらいの魔力量になるのか、を見ながら覚えていく。安心安全コースだ。


 隣国は魔法具より魔法が盛んであるが、なるほど。そこにそんな違いがあったのかと妙に納得したルーズ以外の3人だった。


 魔力同士をぶつけても何か起こるわけではないので、それなら大丈夫だろうとイリアは許可を出した。

ただし何かあればすぐに、魔法士団を呼ぶよう強く念を押す。


 そんなに自分が行なっていた訓練がこの国での常識外という事実に驚愕しかないが、指南の許可が出て安心した。ダメだと言われたら、教えることがなくなるところであった。無職巻き戻りだ。

 危なかった。



 あとは魔法士団の訓練や普段の業務について話を聞いていると、周りの席に人が埋まってきた。

 時間はあっという間にお昼を回っていたようだ。


『あら、もうこんな時間。では、ルーズそろそろ行きましょうか』


 2人の団員に別れをつげ、アリナーデの離宮に向かう。イリアが案内役をしてくれるようだ。



 ルーズは城で友人が出来るかもしれない未来に胸を高鳴らせ足取りが軽くなった。

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