表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/176

1

『あなた、今幸せ?』



 後方から掛けられた声の方へのろのろと振り向くが、そこには歩いている人が数人いるだけだった。

 それらしい人は居らず頭を傾げると、目線を下げたすぐそこにいた可愛らしい幼女と目が合う。


 まさかこの子が私に言ったのだろうか…泣き腫らした顔をして橋の上から川を覗き込んでいた私のような女に、そんなこと聞いては絶対にいけないだろう。


大丈夫か、この子。


 こちらを真っ直ぐ澄んだ瞳を好奇心で満たしている危なそうな幼女を、自分の状況を棚に上げて警戒した不審な目で見つめ返した。








 私は今、人生のどん底が突然やってきて勝手にドアから不法侵入されたような最悪な状況にあった。





 私の名はルーズ・ベクタール。

 何もない田舎で頑張って勉強し魔商ギルドに所属することができた。主に魔法具の検品が仕事。


 二週間ほど前に田舎に住む母が怪我をしてしまい手伝いのため急遽仕事を休んで帰省していた。

 まだ動きにくそうだったが、父も母も私の仕事を心配していて、もう大丈夫だというので後ろ髪引かれながらも昨日自宅に戻ってきた。


 今の職場に移動したばかりで長々休むのもあまり良くないことを知っていた両親が気遣ってくれたのだと思う。

 そんな二人の想いを無碍にしないよう泣く泣く戻ることにしたのだった。

 普段移動に2日かかる距離を寝ずの移動で1日で帰る手段をとりギリギリまで居座った。


 そんな事もありつつ、仕事もあり一人暮らしにも慣れ、大変だが幸せと言えるような生活だった。



 久しぶりの自宅に着いた時には泥のように眠り、朝を迎えた。いつもと変わらない朝を。


 さぁがんばろう、と休み明けの仕事に行ってみると、




私の日常は無情にも失くなっていた。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ