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死んだ友達の夢。  作者: けい
2/2

誕生日パーティ

なぜ危険なXX山に登りたいか理由を七海が里香に尋ねた。

里香は少し止まって話を続けた。

「七海は私のお父さんの事知ってる?」

「知らないかも」

確かに里香からお母さんの話は聞いたことがあってもお父さんの話はほぼ聞いたことがなかった。

そして、里香はお父さんの事を話し始めた。

「私のお父さんはね、とても優しい人"だったんだ"。」

「だったんだ?」

「そう、私のお父さんはもう居ない。」

私はなんと言ったら良いか分からなかった。

里香は話を続けた。

「お父さんは日本でも有名な登山家だったんだ。そして数年前私の夢でもあるXX山への登頂に挑戦したの。知ってる?XX山には崖とかが多数あったり、あまり道が整備されてないんだよね。そして、お父さんはXX山から帰ってくる事はなかった。」

「どういう事か分かる?里香」

「お父さんはXX山で亡くなったって事?」

「そう。まだ死体も発見されてない。だけど数年経ってるから死体回収なんかは諦めてる。」

『だけどね、私はお父さんにどうしてもXX山の頂上からの景色を見せてあげたいんだ。』

私は心を打たれた。全力で応援してあげようと思った。

そこでその日の旅は終わった。

"この話は私の今後に大きく繋がる話となった"


そこから2ヶ月ほど経った、

そこで、とある病が里香に襲いかかる。

それは"癌"だ。

里香と私はまだ14歳だ。こんなに早いうちからなるとは思いもしなかった。

癌になった当初の11月と12月は里香は元気だった。

私はいつも通りの里香だと、すっかり安心していた。

だが年齢が若いこともあり進行がとても早かった、

1ヶ月後の1月は全然元気がなかった。

私は毎日欠かさずお見舞いに行った。

そして、更に1ヶ月後の2月は私の誕生日だった。いつも里香が「おめでとう!」と言って私に手作りのクッキーなんかをくれた。

「今年はそんなことは無いんだな」と少しがっかりした。

そして、誕生日の当日になった。

私は受験生だが、病院には毎日お見舞いに行っていた。

里香がいる病室の目の前まで来た。

「何か用意してくれてるかな。流石にないか。」

と色んな事を考えながら病室の扉を開けた。

私は仰天した。

里香の病室はハッピーバースデーと書かれた装飾や、可愛い飾りがいっぱい付けられていた。

そして、1つのテーブルの上には、

〈七海誕生日おめでとう!〉

と、書いてあるホールケーキが置いてあった。周りには里香の家族や看護師の人、私のお母さんお父さん、色んな人が私の誕生日のお祝いに手伝ってくれていたんだろう。

そして、皆に

『七海誕生日おめでとう!』

と、言われた。私は思わず号泣してしまった。

私は昔から誕生日をしっかり祝って貰ったことはほぼほぼなかった。あるとしても、里香に祝って貰ったくらいだ。

そしてお母さんとお父さんさんは私に謝った。

「七海、いままで祝ってあげられなくてごめんね。

最近はお金にも余裕が出来たから色んな所にいこうね。」

と、優しく言ってくれた。

私はまた泣いてしまった。

落ち着いた所でみんなでケーキを食べた。

これ程美味しいケーキなんて食べたことがないくらい、美味しく感じた。

みんなで世間話や私と里香の思い出話などをしたりして、笑ったり泣いたり色々した。

私にとって人生で1番楽しい経験となった。

そして夜10時になり、解散することになった。

しかし、この後に思わぬ"悲劇"が訪れるなんて、誰も思わなかっただろう。



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