蛇がぺろりと 2001年8月
鳥の国から すずがも通信129号 2001年8月
蛇がぺろりと
10年以上にわたってセイタカシギを追っておられる市川学園の北川珠樹先生が、一昨年から特別に気にしているペア(?)がいました。雄1羽に雌2羽という組み合わせ。この変則的なつがいが小島岬の先端部近くで巣を作りました。隣り合わせに雌2羽が2つの巣を作り、雄は雌が採餌に出る間にどちらか片方の卵を抱くという生活。今年、北川先生はビデオカメラを設置し、コードを引いて、100m離れた管理通路のところに設置した基地に毎日通ってバッテリーとテープの交換を続けられました。今日にもヒナがかえるという日、なんとビデオには蛇がまっすぐに巣をめがけてやってきて、さっさと卵を3個呑み、またまっすぐ帰るというショッキングな映像が映っていたではありませんか。
1個だけの卵を親鳥はその後2週間にわたって抱き続けていました。もうひとつの巣は雄が抱卵交代しないことが多く、ふ化しそうもないと考えられていたものですが、これも抱卵継続。ふ化しないことはたしかなのだから、いい加減放棄して、というころになって、また蛇がまっすぐ卵めがけて、というシーンが映り、親鳥はいなくなりました。
ヒナが見られたのは少なくとも3家族、1ヒナが2組、4ヒナが1組。このほかに2組はふ化予定日前後に親鳥が姿を消し、ふ化の可能性が高いはず。でも、飛べるまでに育ったヒナは1羽だけ。水田でずっと暮らしています。他のヒナは移動や生長の途中で残念ながら外敵にやられてしまったものでしょう。
コアジサシも、抱卵開始後9日目に卵をこわされ、放棄。
カワウの繁殖はそろそろ終わります。保護区初のアオサギのヒナは無事巣立ち。なぜか最近、エナガの若鳥3羽が姿を見せたり、コゲラがずっといたり。繁殖か?
さて、今年の営巣場所整備は「合格」か、「不合格」か。だめですね。育ったヒナがたった1羽なのですから。でも、たぶん、ネバー・ギブアップ。まだまだ努力を続けますよ。