おがくず搬入と「草の大虐殺」 2001年10月
保護区はいつも現在進行 すずがも通信130号 2001年10月
おがくず搬入と「草の大虐殺」
ほっとしています。この夏最大のヤマ場だった「竹内ヶ原―上池の全面干上げ・全面草刈り・全面トラクターがけ」が8月20日に終わり、「観察路草刈り第6ラウンド」も9月7日に終了しました。農繁期は終息に向かっています。
7月9日に第五系列(上池・竹内ヶ原・下池へ向かう水)の水栓を止めました。6月30日以来、じりじり暑い日照りが続いて、7月27日からいよいよ機械による草刈りを開始しました。その間、生け簀を作ったり、毎朝水位測定兼様子見にまわってタイミングをはかり、条件の合った日にオタマをすくったり、という下準備を進めていました。
7月24日には、毎年恒例のおがくず搬入(専門業者の金子商店さんが運んでくれる約2トンのおがくずを袋につめて倉庫に運び込む)と、ウシガエルのオタマ搬出(群馬県にある日本蛇族学術研究所から餌用にとりにきてくださる)が重なりました。傷病鳥舎内で39℃を記録したむちゃくちゃに暑い日で、汗みずく、おがくずまみれになった坊主頭の大黒柱1号さんなどは、まるで「きなこまぶしの葛桜」状態。この日は大黒柱1~3号の「年中さん」トリオと、「年長さん」のわが背の君で、9割がたおがくず搬入を終えてしまいました。
ちなみに私は、この日以来、20歳台以下を「年少さん」、30歳台からは「年中さん」、50歳をこえると「年長さん」と呼ぶことにしています。
上池から竹内ヶ原にかけて湿地全体をおおっていた背丈をはるかにこえるヒメガマ等のしげみを、今年は思いきって刈る、という方針を立てました。いくらザリガニがかわいそうとか、目隠しがどうのと心配しても、この時期に刈った草は冬までには1m近くに伸びます。失敗してもまあ取り返しがつくのだから、シギが入れるようなすっきり開けた状態を作ってみよう。
草刈りを開始してからまる2日たった朝、現場を歩いた時には「神を畏れぬ所業」と思いました。池全体をおおいつくした丈高い草の一部が刈り倒された光景。みごとな手際と進捗状況です。これから刈る予定を含めた湿地全体では、ガマの穂だけでも1万本は軽くこすのではないかしら。私自身が決断し、指揮して実施してもらっている大々的な「自然破壊」「草の大虐殺」。この朝の実感はこたえました。