アカアシカツオドリ 死亡 2001年10月
鳥の国から すずがも通信130号 2001年10月
アカアシカツオドリ、死亡
さて、ちょっと悲しいニュース。8月30日の朝、「まっ白で、大きくて、みずかきがあって、嘴が空色なんですが」という翼が折れた鳥のお問い合わせがありました。午後になって、船橋市役所経由で運びこまれた鳥。ひとめ見て、わっ、と思いました。当初の電話から、なんの鳥か見当もつかないと思っていたのですが、なんとアカアシカツオドリ。この種類の記録は島嶼部ではありますが、日本の本土部分ではほとんどないはず。東京湾でも初記録ではないでしょうか。
嘴を輪ゴムでとめてあって、すぐ外してやればよかったのに、とらずに骨折部の保定を済ませました。なんだか元気がないなあ、と思いながら輪ゴムを外すと、嘴に鼻孔がない! ペリカン目(カワウなども同類)の鳥はみなそうなのだそうです。つい半月ほど前、やはり嘴をテープで止めてあったカワウが到着後しばらくして死ぬという経験をしたばかり。アカアシカツオドリは到着時には折れた翼とかなりの出血のほかは、全身の衰弱や異常は見られず、呼吸もふつうだったので、輪ゴムをすぐ取らなくては、と思わなかった。たぶんそのためです。治療を終え、投薬をしたころから、えらく状態が悪いなあ、と心配になりました。せきこみはじめ、これはあぶない、と思っているうちに、あっけなく息をひきとってしまいました。
呼吸だけでなく、口があけられないと体温調節ができず、骨折部の治療中に暴れたためもあり、どんどん調子が悪くなってしまったようです。またしても治療ミス。私、まだ野外で見たこともないアカアシカツオドリを死なせてしまった。
青空にひびくモズの高鳴きが待たれます。少し落ち込み気味の「鳥の国」でした。