2話
学校全体にチャイムが鳴り響き、魔のHRが始まった。
ガラガラ
教室の戸が開き・・・
「はう!!」
まず1人。
「あい!」「うぉん!!」「ちゅー!!!」
2,3,4人と倒れた。
って明らかに受け狙いで声出したでしょ、あの3人。
そして最後に・・・・
「ふべらっちょ!!」
ヨシズミくん・・・まぁいつも通りの結果だね。
シーンと静まりかえる教室に、若い女の教師が現われた。
彼女こそ、私たちの担任である椿佳乃先生。
右手には先ほど生徒達を倒した、殺人チョークが握られている。
「よう、お前達。だるいけど、今日の予定を言っておくぞ?」
「「「うぃっす!!」」」「「「はい!」」」
「おう!いい返事だな!」
ええ、あなたには逆らえませんから。
ふと、空くんが気になって見てみると、寝てた。
「・・・・おい、由宇」
え、私!?私、なにかした?
とりあえず、返事だけでもしておこう。
「はい?」
私が返事をすると、先生は空くんを指差してこう言った。
「そこのバカを起こしてくれ」
「あ、はい。わかりました。空くん、起きて」
ゆさゆさと彼の体を揺さぶると、空くんは起きてすぐに体を倒した。
「ちっ!・・・やりそこねたか」
先生は空くんに殺人チョークを発射したみたいです。
「ふぁ〜、先生。殺るんならもっと上手に狙ったほうがいいですよ」
「ああ、そうだ、な!!」
2発目発射!!?
「甘いね」
それを避ける空くん。
あ、ヤバイ。空くんカッコイイ・・・。
周りの女子を見てみると、同じように思っているみたい。ライバルが多いなぁ・・。
再び、視線を前にすると・・・・空くん、ヨシズミガードしてる。
ヨシズミガードとは、ヨシズミの体を使ったガード方法である。
「・・・ふぅ、まぁいい。今日はこれくらいにしといてやる」
「次はもっと上手にしてくださいね」
ようやく終戦したみたいだけど、先生・・・・空くんに遊ばれてる。
「じゃあ、今日は何も連絡事項はないから解散だ」
先生は、空くんの言葉を流して今日のHRを締めた。
なんだか、最近疲れやすいのかな?
目の前で再び寝ようとしてる空くんを見て、頭痛がしてきた。
「由宇」
不意に話しかけてきた。由宇と呼ぶのは男子では、空くんしかいない。
「ん〜?なに?」
「昼休みになったら起こしてくれ」
「・・・・・」
頭痛が酷くなった気がするわ。
「頼むな、由宇」
「もう、ちゃんと授業聞かないとわからなくなるよ?」
「そこらへんは大丈夫だ。というわけで、おやすみ」
「あ、ちょっと空くん。・・・・ホントに仕方がないなぁ」
空くんに頼まれたら断れないよ。恋する乙女の心境は複雑なんだからね。