17話
私達は朝食を食べ終えて、再び部屋へ戻ってきた。
私達が空くんを闇雲に探してその結果、私達もいなくなったら流石に面倒を見切れないというのがあるんだと思う。
本当は今すぐにでも飛び出して、空くんを探しに行きたいんだけどね・・・・。
「「・・・・・・・」」
里美たちは由宇の考えていることが、手に取るようにわかってしまい、下手に言葉を掛けられなかった。
部屋には静寂が満ちている。
そこへ突然、まぶしいくらいの光が差し込んできた。
「え?」「何よ!?」「む〜」
由宇、里美、美紅の順でいきなりの事態に戸惑いを見せる、が。
わけのわからない光に恐怖を感じるわけでもなく、3人は冷静にこの状況を理解しようとしている。
だんだんと光りが収まり、ようやく目を開けられるようになった。
3人が目を開けると、部屋に今までなかったものが在る。在るというより、出現したというべきか。
とにかく、白い球体のようなものが部屋に浮いているのだ。
ふわふわと浮いているそれが部屋の中央にきたときに、形を徐々に変えていく。
由宇たちは、今までの記憶にないことが起きているにも関わらず、パニックになることもなく事の成り行きを見守っている。
球体が完全に形を変え終えて、白い人型になった。
「お前達、空を助けたいか?」
「「「!?」」」
人型になったそれが、いきなりしゃべった。
「どういうこと、ですか?」
今すぐに空に会いたい由宇が、一番冷静だ。
「もう一度問う、空を助けたいか?」
私達の答えは教えてもらえないのね。
「質問は受け付けないか・・・」
「由宇、質問を受けないなら答えるしかないよ」
美紅が由宇に答えを促す。
「うん、答えは決まってるから」
この人?は“助けたいか?”って聞いてきたってことは、空くんになにかあったに違いない。それなら、私は迷わずこう答える。
「私は、空くんを助けたい」
「私もよ」
「私も」
3人とも空を助けたい気持ちは一緒のようだ。それぞれの想いが違っていても・・・。
「・・・・・お前達の言葉受け取った。では行って来い」
白いそれは、そう言って霧散して消えていった。
由宇達が一息つこうとすると、体が発光し始めた。
「行ってこいって、どういう意味?」
「さぁ?この光りと関係があるのは確かね」
里美が由宇に答えると同時に、3人はここからいなくなった。
部屋には荷物と不自然な静寂を残して・・・・。