16話
主人公最強設定・・・王道ですね。ラブコメにファンタジー、更にどのジャンルが加わるのか、要チェックです!!
俺とダールスさんは家に帰って来てから、それぞれ寝床に着いた。
う〜ん、寝れねぇ・・・。
ま、そりゃそうか。こんなわけのわからない世界に来て、精神的に安定してる方が難しいよな。
・・・・・・ちょっと外の空気吸ってこよ。
ダールスが起きないようにそっと家を抜け出した。
家の上に上がる梯子を登って、一息つく。
はぁ〜、みんなどうしてっかな?由宇とか心配しすぎて、パニックになってそうだ。
昨日は由宇に想いを伝えて、そんでみんなとバカやって、ただ寝ただけ・・・・。どこにもこの世界に来る要素が見当たらない。もし、1つ心当たりがあるとしたら、由宇と出会ったようにあのおっさんだな・・・・。あの人は、よくわかんねぇことしてきたし、な・・・。まさか神様とか・・・・・ありえねぇか。
今日起きたことを必死で整理しようとするが、非現実的なことが多すぎて、逆に混乱している。
空の目には、涙が溜まってきていた。
「由宇・・・・・。皆に会いてぇよ・・・。くそぉ・・」
空は1人涙を流した。
回想終了
ひとしきり泣いた後、家に戻り就寝した。
〜由宇サイド〜
時間は遡って、朝。
皆それぞれ起きていて、朝食に行く準備をしていた。
昨日は空くんと念願の恋人同士になっちゃった。今日は空くんといっぱい遊ぶんだから!
寝起きにも関わらず、由宇は昨日の出来事によりテンションが高い。
「由宇?さっきからにやけてどうしたの?」
里美が、こいつ大丈夫か?的な目線を向けて言って来た。
「な、なんでもないよ?それより、早くご飯食べに行こうよ」
「まぁそうね。美紅?準備は大丈夫?」
未だに洗面所にいる美紅に里美が声をかけた。
「大丈夫だよ〜」
まだ寝ぼけているのだろう。いつもより間延びした声が私達に届いた。
ドンドン!
「開けてくれ!」
いきなりドアを叩かれて、私達はビックリしながらもドアに向かっていった。
「早く!!」
焦っている声。あ!この声ってヨシズミくん?
ヨシズミくんとわかり、私はドアを開けた。
ドアを開けると、まだ朝にも関わらず汗だくになって立っているヨシズミくん。
その尋常じゃない汗と、この焦り具合で私達にも緊張が走った。
「いいか?落ち着いてきけよ?」
いつものヨシズミくんとは全く違う彼に、戸惑いつつ頷いた。
そしてヨシズミくんは呼吸を整えながら、こう言ったのだ。
「空が、いなくなった」
「「「え?」」」
私達3人の声が重なったことなんて、どうでもいい。空くんがいなくなった?なんの冗談?っていつもなら言えるのに、言えない。それはヨシズミくんの態度だったり、場の雰囲気だったりするんだろうけど・・・・。なんで?なんで空くんはいなくなったの?
私は居ても立ってもいられず、走り出した。
「ちょ!おい!由宇ちゃん!探しても無駄だ!」
ヨシズミくんの声に私は立ち止まった。
「な、んで・・・?」
気付いたら、泣いてた。止めようとしても次から次へと溢れてくる。
「俺とヤスで2時間以上探したんだけど、いないんだ。フロントの人達も見てないって言ってるし、ここら近辺は探しつくした。ホテルの人も手分けして探してるけど・・・・いないんだ」
「そんなの関係ないよ!見つからないなら、見つかるまで探す!」
「そんなこと言ってもしょうがねぇだろ!!」
いつも決して怒鳴ったりしないヨシズミくんが怒鳴った。
ここで私はようやく、冷静になって周りを見ることができた。ヨシズミくんも相当焦っているんだってことも、みんなが心配しているのも・・・・。
「ご、めんね」
私は謝ることしかできなかった。
「俺こそ悪い。ひとまず、朝食をお前らは食べて来いよ」
「わかったわ」
里美が答えたのを確認すると、ヨシズミくんはまた走ってどこかへ行ってしまった。
空くん・・?どこに行ったの?
由宇たちは空を探して彷徨う。
そこに救いの手があるのか!?