プロローグ2
部屋に戻ると、俺は得体の知れない何かによって光りに包まれた。
「・・・んあ?・・・・ここ、どこだ?」
見渡す限りの白。
まるで異世界にでも来てしまったかのようだ。
何もわからずうろうろしてみるが、一向に戻る気配は感じられない。
「ん〜・・・ここはなんだろう?」
1人つぶやいてみるが、返答はない。
「あ〜・・・そうだ、ここは夢の世界だ。うん、そうに違いない」
なぜもっと早く気付かなかったんだろう。
などと、思ってみたもののこの世界が妙に現実感を漂わせているので
納得できない感じもある。
「くそ〜・・俺を出せ〜!!!!」
「何をわめいている?」
「あ゛?」
なんと!俺の目の前には白い髭を生やしたおじさんがいるではないか。
「おお!おっさんいいところに来た!」
俺がおっさんと呼んだ人物は少しムッとして、髭を触りながら言ってきた。
「君が空くんか?」
「そうだけど・・・?」
俺が肯定の言葉を発すると、ムッとした顔は綻び、嬉しそうな顔になる。
「ほぉ〜・・これはいい素材だ」
俺の全身を舐めるように見て、そう言った。
「なんかよくわかんないけど、ここから出してもらえます?」
「無理」
即答かよ。
なんか変なおっさんだよな。でも、どうにかしてここから出ないと・・・。
「そこをなんとか」
拝むように言うと、ニヤリと笑って人差し指を立てて俺に言ってきた。
「一つ条件がある。この条件を呑むなら、出してあげよう」
どうせ、ろくでもない条件だろうけど、一刻も早くここから出たい俺にとっては
願ってもないことだった。
「条件は?」
「それは、言えないな」
ぐ・・・なんか卑怯な気がするのは気のせいか?
条件を教えずにその条件を呑めというのは・・・。
「なんかどうでもよくなってきたから、条件を呑む!だから早く元に戻せ!」
「ははは!わかったわかった。じゃあまた会おう、空」
おっさんが言い終えると、また光りに包まれた。
「ん・・・・眠い・・・あと5分・・・」
朝日が差し込む部屋。
布団に丸まっている人がいる。
このまま寝てると、確実に遅刻だ。
「んん・・・ふぁ〜、良く寝たぁ」
布団から出てきたのは、可愛らしい女の子。
少々小振りな胸だが、スタイルはいいみたいだ。
「ん?・・・なんか違和感が・・・」
俺ってこんなに胸板厚かったっけ?
あれ?俺って・・・私?
「なんか混乱する〜」
え〜と・・・一人称は私。私は女の子。
「ちょっとおかしい・・・私の中にもう1人いるような感覚」
『ありゃ?俺、いつの間に女の子になったんだ?』
「っつ!?・・頭の中から声が聞こえる」
頭が痛くて割れそう・・・。体が熱いし・・・。
『俺は、男だぞ!!』
「ん・・・!!・・な、んなのよ、この声は・・?」
突如、女の子は体が燃えるように熱くなり、自分をコントロールできなくなる。
「あぁ!!ん・・・はぁはぁ・・い、や・・」
あまりの苦しさに、倒れてしまった女の子。
物語はここから始まっていった・・・。