11話
更新が少し遅れました。
今回から物語が動き始めます。
「いやぁ〜!絶景なり!見渡す限りの水平線!水着の女の子!!」
テンションの上がりすぎで、頭のネジが5個くらい飛んでるんじゃないかと思われるヨシズミ。
俺にはそのテンションがよくわからない。
「空っち、あそこにいる女の子とかよくない?」
そう言ってヤスが指差すところには、小学生らしき集団が・・・・。
「俺にはなんとも言えません」
「あの未完成な体がなんともいえないね」
ああ・・・ここにも犯罪予備軍がいるのか・・・・。
「空く〜ん!お待たせ!」
ふと、俺の名前を呼びながらこちらに来る人がいた。
まぁ誰でもなく、由宇なんだけどな。
「おお由宇。遅かったな」
なるべく由宇の方を見ないようにして返事を返した。
「どう?なかなかでしょ?」
「じ、自分で言うな!」
ちらっと横目で見てみると、それはもう・・・・桃源郷です。
水色のビキニで胸元にリボンがあしらってある。その水着で包んである代物がまた・・・。
「なに顔赤くしてんのよ?」
由宇の隣にいた里美から厳しい一言が発せられる。
里美は、黒のビキニで何の模様もないシンプルなものだ。
へぇ〜里美もスタイルいいんだな。
そんなことを思いながらボーっと見てると、またまた毒舌が発揮された。
「ちょっと、見ないでよ。金取るわよ?」
「見てねぇよ。俺は何も見てねぇ」
ったく、静かにしてれば可愛いのによ。
ヨシズミはハイエナのようにじろじろ見てるし、ヤスはこちらを見向きもしてない。
「空君、由宇って可愛いよね」
不意に美紅から言われた。
「ああ、でもこんなこと本人には言えねぇよ」
「どうして?言ってあげれば喜ぶのに」
「なんか恥ずかしいし、まだ言えないんだよ」
「そっかぁ」
「ああ」
あ、美紅はピンクのビキニだったよ。
ヨシズミが美紅を誘って、さっそく海に飛び込んで行った。
「空くん。ちょっといい?」
「んぁ?」
俺がみんなが遊ぶ姿を尻目に寝転んでいたら、由宇からお呼びが掛かった。
起き上がり、あぐらをかいて座ると、その隣に由宇が座った。
「あのね・・・・美紅ね、ヨシズミくんが好きらしいの」
「は?」
いきなりのカミングアウトに頭がついていかなかった。
「だから、美紅はヨシズミくんが好きなんだって」
「へぇ〜」
「うん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
なんだか沈黙が痛い。
どうせ、協力してあげてくれない?とかだろうな。
俺としてはしたくない。
ひがみとかじゃなくて、俺達が何かをするにしても本人同士の問題だしさ。
逆に俺達が介入することで関係が悪化する可能性もある。
だから協力したくない。
「空くんは、協力してって言ってもイヤだよね」
ヤバイ。読まれてる。
「なんとなくだけど、わかるんだ。空くんは本人同士の問題だって言うってことも」
なんとなくで、ドンピシャリなんだけど?
「でもね、私は美紅に頼まれちゃったんだ」
「はぁ〜・・・・・俺に何ができるのかわからないけど、一応協力してやるよ」
「え?」
「だから、協力してやるってば」
「ありがとう!!」
「お、おい!」
いきなり俺に抱きついてきた由宇。
抱きつかれるといろいろと危ないんですけど・・・・主にそのおぱ〜いとか。
「言っておくが、俺は一応だからな?」
「うん」
そう言って由宇のさらさらな髪を愛撫する。
「気持ちいい・・・・」
あ〜なんていうか、理性崩壊の危機?由宇の声とか匂いとか俺を刺激してくる。
「由宇?このままだと俺止まんなくなるよ?」
「ふぇ?」
驚いて俺を見上げてくる。
だからそんな仕草が俺を惹き付けるんだって!
「悪い・・・・・このままだとホントに手を出しちまう」
由宇を引き剥がして、冷静になる。
由宇は俯いて、もじもじしている。
「・・・いよ」
「え?」
由宇が何かを言ったけど、聞き取れないくらい小さな声だった。
「・・・・止まらなくても、いいよ?」
今度ははっきりと聞こえた。
それと同時に俺の中の時計が動き出すような気配がした。
空は由宇に対して、好意を抱いているようにも見えるが、それは重ねているだけなのか・・・?
由宇はそれを知らないが故に、空を知りたいと思ってしまい、突発的な行動に出てしまう。