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プロローグ



あれ・・・?俺は今、何処にいる・・?



俺の目の前には、1人の女の子がいる。



・・・でもこの女の子、どこかで見たことがある・・。



「空!こっちだよ!」



この声・・どこかなつかしい。



「待ってくれよ」



俺?俺の声か?



「早く来ないと置いてくよ〜!」



彼女の笑った顔。



俺はこの笑顔が大好きだった・・・・ん?



大好きだった?・・・だった。



目の前の彼女は寂しげに



「空、ごめんね・・」



待て!待ってくれ!



彼女は遠ざかっていく。



俺はお前と一緒にいたいんだ!くそ!動けよ!



なおも走って行く彼女。



タッタッタッタッ



行くな!まだ話したいことがあるんだ!待ってくれ・・・!



「・・・こころー!!!」






ガバッ


「はぁはぁ・・・またか。なんで悪夢ばっかり」


上半身だけ布団から起き上がって、俯く。


こころ・・・心。


彼女、槇田まきたこころは俺の彼女だった。


“だった”という過去形なのは、彼女は今日からちょうど1週間前に


交通事故で16才という若さでこの世を去ったからだ。


「うわぁ〜、汗でびちょびちょだ」


心が死んでから毎日のように、こんな夢ばかり見ている。


空は布団から出て、風呂場に向かう。


「夏だから余計に汗が出てくるな」


風呂場に入り、シャワーを浴びるために蛇口をひねる。


シャーという音と共に暖かいお湯が出てきた。


汗を流して、髪を洗う。


ふと空は思った。


どうして体は洗えば綺麗になるのに、どうして人の心は洗うことが出来ないんだ。


「心・・・」


空はまた、シャワーという雨が降る中、声を殺して泣いた。




空の苗字は天海。天海あまみそら、高校2年生。


親は父親のみ。母親は幼い頃に他界している。




風呂場を出て、リビングへとやってきた。


時間はまだ6時。


いつものようにキッチンへと入り、朝食を2人分作る。


少し時間が経つと、いつもと代わり映えしない食事が出来た。


そこへちょうど父親が降りてきた。


「おはよう親父」


「ああ、おはよう」


親父は席について、朝食を食べ始めた。


「そういえば・・今日は話があるから6時には帰ってこいよ」


「ああ、わかった」


親父の話っていつも、真面目な話か変な冗談だからなぁ。今回はどっちどろう?


親父はいつの間にか食べ終えていて、仕事に出ようとしていた。


「それじゃ行ってくる」


「行ってらっしゃい」


親父を見送って、再びキッチンに戻り食器を水につけておく。


まだ7時だし、ゆっくり支度をしよう。


空は部屋に戻っていった。



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