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08話

やっとのことでパン作り体験が始まろうとしている。長い…ここまで長すぎだよー!早くメロンパンが食べたいー!


「さてと、パンを作るのはいいけどどうやって作るのかしら?スズ、あれだけ身だしなみに厳しいんだから知ってるんじゃないの?」

「アオイちゃん…それが…私身だしなみにはとても厳しいですけどお料理の作り方は皆無なんです…ごめんなさい」

「そうなんだ…ごめんねスズ勝手に決めつけちゃって…あぁー困ったわね誰も作れる人がいないなんて…」

「ちょ…ちょっと!なんで私は最初からできない前提なのよ!」

「えっ?だってホノカ料理とか出来なさそうじゃん?」

「た…確かに料理はできないけど…けどパンは、パンだけは作れるの!」

「そうなんですかホノカちゃん。すごいですね!」

「でしょー。もっと褒めてもいいんだよーねぇ褒めて褒めてー」

「いや、褒めはしないけどなんでホノカパン作りできんのよ。私は今これまでの探偵人生最大のミステリーに直面しているわ…」

「いや、アオイが探偵って言い始めたの昨日だからね…まぁいいわ、私がなんでパンを作れるようになったか話してあげる。あれは私がメロンパンに身も心も完全支配されていたころのだよ…」




二人も知ってると思うけどあの頃私はメロンパン出てきてるといっても嘘にならないくらい毎日毎日メロンパンを食べてたの。今考えるとやばい奴よね。毎日メロンパン生活が始まって…確か50日を過ぎた頃だったかな?あの日もいつもと同じようにメロンパンを買いにパン屋さんに行ったの…


カランカラン「いらっしゃいませ。あらホノカちゃん今日も来てくれたの?」

「こんにちは!今日もメロンパン五つくださいな」

「いつもありがとうね…と言いたいんだけどごめんね、今日メロンパンが売り切れちゃったのよ…」

「えっ…」


あの日の事は今でも鮮明に覚えているわ。だって…だってメロンパンがないんだもん~!メロンパンは私の命の源、だから…だからメロンパンがないのは私の命が失せることとイコールなの!


「そんな大げさな…」


確かに今の私ならすごく大げさでバカバカしいことだって思うけどあの頃の私はもうメロンパンなしじゃ生きていけない、メロンパンにとりつかれてたと言っても過言ではないくらいにメロンパンが大好きだったの。だから…


「おばさん…私死んじゃう…」

「あらあら困ったわね…うーん…どうしたことかね…」

「メロンパン…メロンパン…メロンパン…」

「ちょっとホノカちゃん怖いわよ…そうね…今日はお店をもう閉めちゃうし、いっその事自分で作ってみる?材料が余ってるから使わしてあげるわよ」

「メロンパン…食べれるの?自分で作ったらメロンパン食べれるの?」

「食べれるわよ、そうと決まったら早速作ってみましょうか。さぁさぁキッチンへいらっしゃいな」


こうして私はメロンパン作りを学ぶことになったの。


「ちょっとツッコミどころが多いのですが…ホノカちゃん怖いですね…」

「ホントにやばい奴みたいなことしか言ってないよ…もうガチ目にやばい奴じゃんか」

「はいはい、じゃあ続き話すわよ」


私はパン屋のおばさんに一からパン作りを学んだわ。でもそれはとても厳しいものだったの。


「ホノカちゃん!また強力粉の量間違えてるわよ!丁寧に量らないとおいしいパンにならないわ!」

「ホノカちゃん!オーブンの温度間違えてるわよ!ここきちんとしないとふっくらと焼けないわよ!」

モグモグ「味にムラがあるわね…きっとこねが足りないんでしょう…もう一度力を入れてこね直しよ!」

「ホノカちゃん!発酵させる時間ちゃんと計ってるの?時間はパン作りにせよ何にせよ大事よ!」


なんどパン屋のおばさんに「ホノカちゃん!」って言われながらダメ出しを食らったか分からないわ…おばさん素人の私にもすっごく厳しいんだよ!私がメロンパンに幻滅したの結構この出来事の影響大きいからね!まぁそんなこんなで厳しい修行を私は耐え抜いたわ…


モグモグ「うん…まだまだ直すところはあるけど、十分おいしいメロンパンね。合格よホノカちゃん、よく頑張ったわね」

「お…終わったー!」

「さぁさぁ自分で作ったメロンパンをお食べなさいな。きっと…いやこれは自分で食べたらわかることだからね。さぁさぁ早く食べてみなさい」

「い…いただきます」


この時にはパン作りを始めて既に丸2日が経っていたわ…


「いやいや、ちょっと待ってよ…あんた丸2日何も食べてなかったの?」

「いや、試作品のメロンパンを出来ては食べ出来ては食べしてたから何も食べたないってことはないよ」

「でも今のお話を聞くとパン屋のおばさんはお店を丸2日開けてませんよね?大丈夫だったんですか?」

「たしかにおばさんはずっとわたしにつきっきりだったからお店に出すパンを焼いてなかったよ。でも厨房担当のスタッフさんがセカセカパンを焼いてはお店に出し、焼いてはお店に出しってやってたからお店の方は大丈夫だったみたい」

「そうなんですね。ちょっと安心しました!」

「そして私はメロンパンを口にしたの…」


丸2日がかりでできたメロンパンを口にした私は衝撃を受けた…おいしい…もちろんお店に売ってあるメロンパンの方が味は良い。あっちもとってもおいしいメロンパンだ。でもこのメロンパンはそれ以上においしい…なんでなんだろう…?


「その顔はやっぱりメロンパンがおいしかったかい?」

「は…はい!でもなんだか違うんですよ。味はお店のメロンパンの方が何倍もおいしいです。でもこのメロンパンは何かが違う…なぜかおいしいんです…」

「あははは!そうかいそうかいおいしいかい!なんでそのメロンパンがお店のよりおいしいと思うと思うかい?」

「んっー…隠し味に塩を入れたから?」

「ホノカちゃん!あんたレシピ通りに作ってなかったのかい?ま…まぁおいしいメロンパンができたから結果良ければすべてよしだね…。なんでおいしかったのか、それは自分で作ったからだよ」

「自分で作ったから?」

「そうさ、自分で一生懸命、心を込めて作ったから苦労して作ったからそのぶんだけおいしく感じるのさ。いまホノカちゃんがおいしいと思ってるのはそれだけ頑張ったってことだね」

「そ…そうなんだ…」


私はこの時思ってしまったの。自分で作ったらおいしくパンを食べられる。だったらもっとパン作りを知りたいって…


「おばさん!私に他のパンの作り方も教えて!」

「あははは!そうかいそうかい、分かったよ、ホノカちゃんの頼みだ、聞いてやらないわけにもいかないよ。でも私が教えるとなったら厳しいよ。それでもやるかい?」

「はい!やります」

「よし分かった。じゃあまずチョココロネから教えてくよ!」

「お願いします!」


「ホノカちゃん!また強力粉の量間違えてるよ!…」


これがこれから2週間にわたる地獄の日々の始まりだったの…




「これが私がパンを作れる理由よ。分かってくれた?」

「わ…分かったけど…ホノカ、あんたも苦労して生きてきたのね…」

「ホノカちゃんす…すごいです!」

「いや、そこまで感動することかな?」


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