03話
ここはどこだろう…。真っ暗で何もない、静かで寒い、すごくすごく寂しいところだ…。
「ねぇ…。誰かいないの…」
真っ暗でどこまで続いているか分からない、この世界でどれだけ叫んでも誰からも返事は返ってこない。私は一人なの?どうして私はここにいるの…。
「ア…アオイー!スズー!」
親友の名前を呼んでもやっぱり返事はなかった。
「んっんー…」
ピピピピ、ピピピピピ、ピピピピ…
なんだか懐かしい音が聞こえる…。
「はっ!」
『おはようございます。今日は目覚めが早いですね。何か怖い夢でも見ましたか?』
「夢…?なっ…なんだ夢か…。そっ…そうだよね夢だよね」
『私は夢を見れないので分かりませんが、不思議なものという理解はあります。
夢をネット検索します。
夢:あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像のこと。
やはり夢は不思議で理解し難いものですね』
「そっ…そうだね…」
ヘルの言う通りあれは夢だったんだろうけど、あの冷たさや寂しさは恐ろしいほど体に染みついている…。
『ホノカ、今日は折角早起きしたんです。早めに登校してみては?』
「そうだね。ヘル、今何時?」
『6時30分です。今日の予定は一件、8時15分から学校です』
「ちょっ…ちょっと早起きしすぎたかな…?」
めずらしく早起きした私はこの珍事を二人にも伝えるためホームを出て掲示板へと向かった。
【掲示板:ホノカ・アオイ・スズ】
みなの衆、おはよう:ホノカ
アオイ:おはよう
アオイ:…
アオイ:夢かな?寝ぼけてるかも私…
ちょっと!どういう意味よ!:ホノカ
アオイ:えっ?本物のホノカ…?具合でも悪いの?
アオイ:あははは…。ごめんごめん…いつも寝坊しかいない
ホノカが早起きしているのが珍しすぎてつい…
まぁ否定はしないけど…:ホノカ
アオイ:でも今日に限ってスズが遅いわね。
いつもなら私より先に起きてるのに
確かにスズがいないね…。寝坊?:ホノカ
アオイ:まさかホノカじゃあるまいし、
スズに限ってそんなことはないでしょ
そうだね:ホノカ
アオイ:もう学校行くでしょ?私はスズが心配だからもう行くけど
待って!私も一緒に行く!:ホノカ
アオイ:じゃあ私のホームに来て
了解:ホノカ
「おはようアオイー!」
「ははよう。ホントに早起きできたんだ。雪でも降るんじゃないの今日…」
「ほらまたからかう!」
「あははは…ごめんごめん。じゃあ行こうか」
「だね」
思い出してみるとアオイのホームに来るのは久しぶりだ。アオイのホームの近くも私のホームの近く同様いろいろな楽しいものがあって歩くだけでルンルン気分になる。
「久しぶりにアオイのホーム遊びに来た気がする!」
「そういえばそうかもね。前来たのって確か1か月前くらい?」
「そんなに経ってないじゃん…」
「あははは!そうだね」
「でも…前来た時と全然景色が変わっていないような?気のせいかな…」
「いや気のせいじゃないよ。昨日も話したじゃん、最近昔みたいに施設が出来は消え、出来は消えじゃないんだよね…」
「そっか…なんか寂しいね」
「でも、ホノカのホームに遊びに行ったらいつでも新しい施設があるから楽しいんだけどねー」
「そうかな?えへへ、なんかうれしいなー」
「ホノカちゃーん!アオイちゃーん」
振り返ってみると小走りでこっちに駆けてきているスズの姿があった。三つ編みが走るたびにぴょこぴょこして可愛い…。
「おはようスズ。朝掲示板に来なかったけど何かあった?」
「へぇっ?二人とも朝掲示板してました?」
「してたよー!私が珍しく早起きしたから二人に教えてあげようと思ったらスズから返事がないから心配したよ!」
「そ…それはごめんなさい!でも朝掲示板を見たら誰からも書き込みは来てなかったです…。何かおかしいんですかね私…」
「そんなことないよ!大丈夫きっとすぐ元通りになるから、ね?泣かない泣かない」
「はっ…はい!泣きません!」
「さっ、さっとっとと学校終わらして遊びに行こー!」
「おー!」
「はい!」
「ふぅーあ…疲れた疲れた…」
「急に小テストでしたもんね。それも3つも。私も疲れちゃいました…」
「今日はみんなお疲れだね…あっ、そうだ!今日はあの施設に行ってみよう!」
「ホントにホノカのホームの近くは何でもあるわ」
「そうですね!感心しちゃいます」
「それじゃ行きましょ!」
『施設名アニマルwithプレイをネット検索します。
アニマルwithプレイは可愛いモフモフ動物をなでなでしたり、餌をあげたりして一緒に遊べる癒し系施設だよ!友達で恋人で家族でみんなでモフモフしちゃおう!
(モフモフ動物の紹介)
・うさぎ:モフモフキング!ニンジンが大好きだからあげてみてね
・ヒツジ:みんなが着るセーターなんかはヒツジさんの毛からできてるよ。ぜひモフモフしてね
このほかにも沢山のモフモフ動物がみんなを待ってるよ!
以上が検索結果です。』
「それじゃモフモフしに行くぞ!」
「だからアオイはいつも早いって…」
「早くしないと置いていくぞー…あれ?スズは」
「確かにスズがいない」
さっきまで一緒にいたスズがどこかにいてしまった。私とアオイが慌てて入り口に戻ると困った顔をしたスズがいた。なにしてるんだろ?モフモフしたくないのかな?
「どうしたのスズ?モフモフしたくないの?」
「いえ私もとってもモフモフしたいんですだけど…」
「どうしたのスズ?泣かないで、ね?どうしたのか言ってごらんよ」
「は…はい…、私…なぜか施設に入れないんです…」
「アオイ、これってもしかして…」
「そうだね、間違いない。最近巷お騒がせてる怪奇現象だね…」