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熱血高校球児とは一体なんだったのか。  作者: おやさいおいしい
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1話 神様ありがとう!異世界バンザイ!

いっけなーい✋死亡死亡⚾️私、天野翔太☺️全国中学生野球大会決勝まで残った天才投手なの❤❤でも試合中にボールが当たって死んじゃった(汗)(汗)と思ったら異世界転生を強要されて…これから私どうなっちゃうの〜〜〜〜???次回、『爆発する夢オチ』お楽しみに〜☺️☺️☺️


ーーー

Q.俺はどういう状況に置かれているんですか?

A.あなたは異世界に飛ばされました。

凛華寧鐘学園りんかねいしょうがくえん」という名門校に入学することになっています。現在入学式を控え、寮に入ったところです。


Q.具体的に異世界と元世界って何がちがうんや?

A.元世界より野球がメジャースポーツになっとるやで。男女関係なく、特に野球うまいやつはめっちゃ優遇されるで。

異世界っていうより未来世界って感覚かもしれんけど、ここは誰がなんと言おうと異世界なんやで。


Q.そもそも野球やるんやろか?

A.野球はやるで。一応。


Q.これ、一体なんなんですか?

A.爆発する夢オチです。

(ドカーン!)


…なんだ、夢か。全く先が思いやられるな。


ーーーー

ハッと目を覚ますと、俺は知らない部屋のベッドの上に横たわっていた。

身体を動かそうとすると、激しい頭痛が天野を襲う。

うぇっ、きもちわる。


落ち着け。さっきの夢によるとここはリンカなんとか高校の寮だ。

つってもほんとに見たことない部屋だし。

てか異世界って感じしないし。


辺りを見回すと、寮というにはやたらと豪華な部屋だということがわかった。

まるで高級マンションのようである。


ふと目をやると、机の上に一台のスマートフォンのような端末が置かれていた。


「スマホ…?とりあえず起動してみるか」

電源ボタンを押すと、初期設定画面が表示される。

んーと…生徒情報?1年……A組なのか俺。えー、天野翔太、専攻種目…野球?あ、野球やるのは確定なんだ。めんどくさいな。


天野は野球に対してさほど興味がなかった。

同年代に自分以上のプレーヤーが存在しなかったためである。


その後もスマートフォンを操作し、様々な情報を得ていく。まとめるとこうだ。


・国立凛華寧鐘学園は全校生徒1万人ほどで、それぞれの分野で才能を発揮した者が、世界中から集められる。


・学園都市と呼ばれる巨大な都市があり、その全てが凛華寧鐘学園のために存在している。


・全寮制で、生活に必要なものは全て学園都市内に存在する。ゆえに、基本的に生徒が学園都市の外に出ることはほとんど認められない。だいいち周りが海なので許可なく外出することができない。


・他の地域にも同じような高校がいくつか存在するが、凛華寧鐘学園はその中でも最大規模。


・ちなみにこの端末は学園から支給されるもので、全生徒が所持している。


……これだけ見るとすごそうだけど、案外しょぼかったりするんだよなーこれが。ちょっと窓から見てみるかーあはは。

そう思っていた時期が私にもありました。


天野は目を疑った。

まず土地の広大さ。建物が立ち並びすぎて具体的な面積は分からないが、見えている範囲だけでも相当な広さだ。

「学園都市」と銘打つのも頷ける。


次に建物の規模だ。

どれを見てもとにかく大きい。

軽く30メートルはありそうな建物がいくつもそびえ立っている。

恐らく、今いる建物もこれくらいの大きさはあるのだろう。

これだけの都市を構築するのに、何兆円あれば足りるのか想像もつかなかった。


あれ、これめっちゃ楽しそうじゃない?

テンション上がりすぎて卒倒しそうだぜ。

異世界転生バンザイ!神様ありがとう!

あのロリババアも死んだら無限地獄とか色々意味深なこと言ってたけど、普通に学園生活送るだけなら死ぬわけないよね!モンスターとかいなさそうだし楽勝じゃん!


などとはしゃいでいると、突然頭上でチャイム音が鳴り響いた。

驚きのあまりベッドから転げ落ちそうになる。


気付かなかった。天井にスピーカーなんてあったのか。くそ。


「本日は入学前説明会です。新入生の皆様は、一階ホールまでお集まり下さい。繰り返します。本日は入学前説明会です。新入生の皆様は…」


あ、これ俺も行かなきゃならないやつか。

それにしても一階ホールってどこにあんだよ。

とりあえず外に出てみるか。


ガチャリ、とドアを開けた先には、さながら一流ホテルのような廊下が広がっていた。

赤い絨毯に、装飾の施された壁。さらには高級感を漂わせる照明。


俺はただ一歩足を進めるごとに「ほぁー」とか「んほー」とか、情けない声をあげることしかできなかった。

感嘆詞のバーゲンセールだよ。


奇声をあげながら廊下を物色していると、部屋から出てくる生徒もちらほら見えた。


おお、女子生徒もけっこういるじゃん。

もしかしてバラ色学園生活始まっちゃう?


死の直後のやる気のなさはどこへやら、あまりの好待遇に天野の心は踊っていた。


突き当たりを曲がったところで、エレベーターが目にとまる。

どうやら寮内は、基本的にエレベーターで移動するらしい。


こういうとこも全然異世界感ないよなあ。

現実世界と何が違うんだ?


ーーー

一階ホールにたどりついたはいいけど…

なんだ、ここは。

コンサートでも行われるんですかね?


天野がそう感じるのも無理はなかった。

座席にしても音の響き方にしても、現実世界でのコンサートホールそのままである。


もうほとんどの生徒が集まってるぽいな。

えーと…座席表とかは…あった。

A組は最前列か。五十音順だから俺の席端っこじゃん。


天野が席につくのとほぼ同時に、一人の女子生徒が天野の席の右隣に座った。


あ、かわいい。なんかいい匂いするし。

同じクラスだし声かけとくか。

俺は女の子には優しいんだ。


「ども〜、同じクラスだよね。天野翔太っていいます。よろしくね」

「…え?あ、えっと…雨宮あめみや 千尋ちひろです…よろしくおねがいします」


雨宮と名乗った少女は、確かに美しかった。栗色の髪を腰まで伸ばしている。大人しそうな印象を受けるのは、話し方のせいだろうか。


「これから説明会って聞いたけど、何するんだろね?」

「よくわかんない…けど、担任紹介とかだと…思います。」

「確かにそれありそう。…お、始まるみたいだよ」


パッとホールの明かりが消えたと思うと、いつのまにか舞台の上に一人の男が立っていた。


「これより、入学前説明会を行います」


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