11.少年・彼の最終決戦
第一章の最終回です。
ババババババ、マシンガンの銃撃音が聞こえる。直後に
[こちら警ら隊の宮川。マシンガンに撃たれ横転。追跡不能です。]
と無線が入った。
「ちっ」と、鎌が舌打ちする。
すると、キュルルルというタイヤの音とともに砂を巻き上げながらサニトラが入ってきた。
鎌は窓をハンドルを回して開け、流星はシフトレバーに手を当てる。
一番近くまで接近したとき、ガコッ、流星はシフトレバーを一速に入れた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ、砂を巻き上げながらチェリーが飛び出す。
それに合わせ、鎌が屋根に赤色灯を付けサイレンを鳴らす。
ファンファンファンファンというサイレンに気がついたのか、サニートラックのスピードが上がった。
採石場の端の坂道を2台は砂煙を上げながら爆走する。
またしてもババババババと機関銃が火を噴く。
砂地を走るその勢いで後輪が跳ね、高くなった荷台から出る弾がフロントガラスにヒットした。
ガラス一面にヒビが入る。流星はチッと、舌を打ち
「割っちまえ!」
と、言うと鎌が足を突き出してフロントガラスをすべて割り去る。
うまく車を動かせない砂地で全力で追跡をする。
ババババババとほえていた機関銃が火を噴くのが止まる。
「よっしゃー、奴弾切れみたいだぜ。」
鎌はそう言いながらフロントガラスから身を乗り出し、自分の懐から取り出した拳銃を撃った。
バキューンと言う音が数発響いた。
一発がサニトラのリアガラスにヒットし、ヒビが入る。
さらにタイヤにもヒットしたが、跳ね返されてしまった。
「ちぇっ、やっぱゴム弾じゃパンクさせるのは不可能か・・・」
鎌がうなる。すると流星が、
「お前、拳銃いくらゴム弾だからって撃っていいのかよ一般人が・・・」
と、つぶやいたがスルーされた。
森の中の木々が無い細いところを爆走していく。
もう夕暮れで日は沈みかけている。舗装された道では無いため、車が大きい石を乗り越えるたびに車が激しく揺れる。
「車持つかわかんないな。」
流星が眉間にしわ寄せながら言う。
すると、森が開け細い舗装道路に出た。
「こっちが勝てるかもな。」
鎌が、嬉しそうに言う。
そして細い道を抜けゆとりのある二車線道路に出たと思ったとたん、
日が沈んで暗くなった街を照らすように散光式赤色灯が光ったパトカーがたくさん停められている。
サニトラも流星も急ブレーキを掛ける。
少しの静寂の後、サニトラの窓からにゅるっとライフルの先端が出る。すると
「撃てっ!!」
声が響くと同時にパーン、パーン、バキュン、ズキュンと銃声が響き渡った。
すると、サニトラの窓からカチャリとライフルが落ちた。すると、
「やめぃっ!!」
っと、声が響いた。それとともに銃声が鳴り止む。
それに合わせて流星はドアを開けて、鎌は割れたフロントガラスから外に出る。
ガチャっと音とともにサニトラから手を上げて運転手が出てくる。
しかし、急に「うおぉぉー」と叫びながらどこから出したのか分からないナイフを持ち、流星めがけて突進してきた。
すぐさまそれに反応し流星は、バキュンとホルスターから早抜きして撃つ。
狙い通り手に命中したゴム弾の威力は、奴の手からナイフを落とさせるのには十分だった。
流星と鎌はすぐさま駆け寄り、ナイフを蹴飛ばし届かないようにしてから手錠を掛けた。
すると、周りを囲んでいた警官隊の中から見覚えのある人物が意外な人物と一緒に現れた。
「逮捕お疲れ様。」
「あっ、來村さんでしたっけ、どうも。」
そう。彼は城川警察署交通課課長の來村だ。そして彼の横にいる人物は、蒼葉警察署長の小野だ。
「そうそう、課長が連絡してたからここに待機してたんですよ。」
事情を説明しようと來村が話し始めようとすると、
「俺はもうお前の課長なんかじゃねーんだから。すまんな流星、お前の車に発信器付けといて正解だった。だからここが分かったのさ。」
課長と呼ばれるのはごめんだと言うように小野が言う。
「小野さんありがとうございました。」
流星と鎌は深く礼をした。
車修理費たけーだろうななんて話をし始めると、
「引き上げるぞ。」
小野に言われた、來村も警官隊に指示を出して引き上げた。
その後の調べによって分かったことだが、犯人の名前は山縣俊郎
車の整備業をしていたらしいが、収入が少なくお金を求め、そしてスリルを味わうために事件を起こしたらしい。武器については借金をして裏ルートで密輸された物を購入したらしい。
桜の咲き乱れる新学期早々の大事件は流星の初逮捕で幕を閉じたのだった。
第一章新人少年刑事の活躍どうでしたでしょうか。
第二章も更新していきたいと思います!!