9.少年・彼のラストチャンス
流星と鎌は窓から車内に首を突っ込むと、無線を取り
「こちら流星。またしてもマシンガンでやられ、タイヤパンクで追跡不可能です。すいません。」
と、いうと
[タキだ。お前ら怪我は無いか?]
課長が答える。
「取りあえず砂山に乗り上げた衝撃で、自分は鼻血、鎌が額を若干切っただけで二人とも超軽傷です。」
[分かった。今そっちに着く。]
数秒するとGSX1100Sカタナにのった課長が現れた。
停止してヘルメットを取ろうとする課長に、
「俺たちはいいから奴を追ってください。」
と、声を掛けると滝川は敬礼してサイドスタンドを上げると、エンジンを響かせて走り去った。
その頃北側から回り込んでいた春日部&菊池、樫山&島は、峠を越えてアクセル全開で二車線道路を爆走していた。
走っているとカーブの先にどこかに曲がるトラックの荷台を見つけた。
「おい、あれ!」
菊池が指を指しながら言う。
「お、そうだな。」
春日部も気がついたようだ。
先ほどの犯人のサニートラックが曲がったを思われるところに入ろうとしたが、そこは採石場だった。
2台で突入してみたがそこにあのサニトラは無く、車を降りて周りを見回した二人はチッと舌打ちをした。
ファンファンファンファン、ワゥァーワゥァー、サイレンの音が鳴り響いている。
「犯人は前回と同じっぽいです。なんせ、襲撃車両・使用銃器・使用車両同じですからね。」
鑑識の春山が言う。
「けが人は重傷3名、軽傷2名の計5名、全員命に別状は内容です。」
手帳を見ながら島が言う。
聞き込みを終え刑事部屋に帰ってきた。
課長が黒板の前に立つ。
「最終作戦に出る。今回の追跡で犯人は、採石場の中を抜けて城川市に抜けた物と思われる。毎回それまでに追跡を振り切られてしまっている。それでだ、採石場に1台二人交代を4組でやってもらいたい。一組目4時から10時まで島・樫山、10時から16時まで春日部・競、16時から22時まで諸星・鎌、22時から4時までは警ら課だけが出してくれるそうだ。犯人は逃走ルートがばれたことに気がついているかもしれない。次がラストチャンスだと思え。頼んだぞ。」
するとみんなが時計を見る。時計は3:55分を指していた。
「俺たちか。」
諸星が言いながら上着を取る。
「じゃあ行ってきます。」
二人は刑事部屋を後にした。
作戦に出てから三日が過ぎた。諸星と鎌の二人は学校終わりにそのまま採石場へ向かった。
入り口近くの影に車を停める。
二人で作った弁当を食いながら鎌が、
「このまま来ないんじゃ無いの?」
と、口に出した。
「わかんねぇ。来るかもしれないじゃん、ただし来たらこれが最後かもしれないな。」
弁当を食べ終わり後部座席に置くと、
ピピピピピ、ピピピピピと、無線機がなった。
「流星です。」
[今、北蒼葉通りにある銃砲店が襲われた。犯人はサニトラらしい。十分注意して待つように。]
競からの連絡だ。
「了解。」
流星はキーをひねり、エンジンを掛ける。しっかりとハンドルを握り、犯人が来るのを待った。