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41-2 来たよ帝都! あらやだ襲われてる……

 レウラの翼はマジもんのチートです。

 調査と夜間のキャンプを含めて、出発2日目昼過ぎにヒルデガルド中央東部にある帝都に到着しました。

 あ、正確には今その近郊ね。こっからはさすがにちょっと色々あるんですよ。


 だってそのまま真っ直ぐご対面とはいかないですって。

 レウラという竜で、現在戦争中の相手国の帝都に攻め込むも同然の図式になっちまいます。

 さあならどうしよう、って悩んでたらそれが現れました。


「ちょ、ちょっとみんなアレ見てっ! アレなんかヤバいことになってないっ?!!」

「黒煙……あれは、軍勢か……。なっ、まさかっ、まさか帝都が攻撃されているというのかっ?!!」


 そう、ヒルデガルドの帝都もまた何者かによる襲撃を受けていたのです。



 ・



「ということで作戦会議だ、さあどうやってあん中に入ろうか? あ、これさっきまでの議論と変わんねーな」

「状況が状況だ、真面目にやれアレクサントッ!!」


 レウラの背の上で、絶賛城下町城壁での攻防を繰り返す戦争を見下ろしていました。

 アルフレッドは熱くなり過ぎです。俺たちの任務は皇帝陛下との面会、その意向を確認して味方に付けることです。


「うーん……下手に突っ込めば敵だと思われて、矢がバンバン飛んでくるよね~、これ……」

「そうそうこっちはたった3人と1匹だ。しかもゆいいつのマジシャンくん俺は弱体中、強硬突破はかなーり無理あるね」

「おのれ……皇帝陛下を狙う逆臣どもめ……。今は公国の所属とはいえ、この暴挙ばかりは許せん……」


 赤毛のアルフレッドがなんか主人公っぽく歯ぎしりして、眼下の敵軍を見下ろしています。


「義憤なんておいといてさ、どうするか考えようぜ。たとえばほら、今から白旗用意するとか」

「えー、そんなのよりもっと簡単な方法思いついたよボク。あっちの軍隊にさー、攻撃をしかけちゃえばいいじゃん。そうしたらボクらは、皇帝陛下の救援に来た正義の味方、官軍も同然になるじゃん」


 自分は楽しくてしょうがないとウルカが猟奇的に笑いました。

 野蛮だなぁ、野蛮だけどまあ……白旗よか信用させやすいな? 手柄みやげに入城とかカッコイイし、でかい口叩けそう。

 皇帝と話を付けるって目的も完全一致じゃん。


「じゃそれいただきだ、白旗よりずっと良さそうだしね」

「ああ俺も反対せん、むしろ賛成だ。……お、おいっ?! ウルカっ早くこのバカを支えろっ!」

「おっけ~♪ せんせーってこういうところがバカでボク、だ~い好き~♪」


 そうとなればやるっきゃない、俺はレウラの背から杖を取り外してその場に立ち上がりました。

 ウルカが後ろから俺の尻に抱きつき、落ちないように固定してくれます。前のアルフレッドも律儀に自分の背中で俺を支えてくれました。


「レウラ、あのへんの城壁前とあっちの井闌車、あとあの破城槌とか、とにかく全部焼き払っちゃえ」

「クルックルルゥッ~♪」


 任せろとレウラが大きく羽ばたきました。結構揺れるからちょっと勘弁してほしい。


「で、あそこが本陣っぽいよね?」

「ああそのようだが……だがその弱った身体でどうするつもりだアレクサント」


「腕輪のせいで衰えたとはいえ俺は俺だよ、あのくらいなんてことないって」

「きゃははっ、大見得切るじゃん♪ ならやってみせなよーっ!」


 自慢の爆弾、ジェムはちゃんと残してあります。

 だけどレウラの背からでは足下への爆撃とはいきません。近付き過ぎると気づかれてなんか遠距離攻撃飛んできそうでうざったい。

 よってマホーです、マホー。


「角度良し、大ざっぱに方角も良し、出力は……うーん、イマイチ?」

「十分でかいと思うのだが」

「てかあっついってっ! 早くぶっ放しなよ髪の毛縮れるじゃん!」


 ファイアーボールを増幅しました。

 だけど期待通りの火力になりません。オールムの力をいただいた俺なら、ビックリ直径10mからスタートってノリなのに、いくらがんばっても5m程度にしかなりませんでした……。


「早く撃てッ、空にそんなものが現れたらさすがに気づかれるぞ!」

「熱いつってんじゃん早くっ!」

「うっさいなお前ら、そこは俺が一番熱いに決まってんじゃん。そんじゃいくぞ、お前も焼き払えレウラッッ!!」

「ピキュルゥゥッ!!」


 だけどそこは歴戦の精度でカバーです。

 敵本陣ド真ん中狙ってファイアーボールを上空からぶっ放しました。

 同時にレウラが深く息を吸い、そのブレスが城門前、続いて攻城兵器を焼き払っていきます。


「やったっ、やれば出来るじゃんせんせー!」

「その調子だレウラっ、皇帝陛下を狙う悪しき兵器、全て焼き払え! さすが俺の自慢の竜だ!」


 俺の方も命中です。

 着弾と同時に炸裂し、本陣はもう台無し、天幕もろもろあちこちに火がついて大惨事もいいとこでした。

 ま、レウラの戦果のが遙かに勝るんですけど。


 そうなると突然、空から現れた敵に皇帝に逆らう逆臣たちは弓を撃ち込んできました。

 だけどこれが全然届かない。そりゃ弦使った人力武器ごときが、アルフレッドじゃなくて俺のレウラに届くわけがねーです。

 すると少し遅れて射程と精度に秀でるマジックアローの方が飛んできました。

 けど魔法兵の数そのものがこっちの国は少ないようで弾幕はかなり控えめ。


「任せろ。マナ先生の下で鍛え直した俺の神聖魔法を舐めるな、ディバインスペルッ!」

「わ~お……、アルフレッドさんすごーい……」


 何とか届いたやつもアルフレッドの魔法バリヤーで弾き返されてました。

 つまり、これ、ず~~~~~~~~~~っと、俺たちのターン!


「やるじゃん、なら俺ももう何発かがんばってみるかな」

「せんせー、ならあそこ、あそこ狙うといいよ。あれが多分兵糧庫だよ~♪」

「レウラ、このままでは的にされる、移動しろ。褒美は霜降り肉山盛りだぞ」


 アルフレッドお前それ、単純にレウラに餌付けしたいだけだろ止めろよなそういう肥満コースのやつ……。

 俺たちは攻城兵器のみならず、陣という陣、兵糧庫、休憩に必要な天幕もろもろに炎を放って、それはもう颯爽と、公然と帝都帝城入りしました。


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