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39-1 はぐれエルフを迎えに行こう、過去の怨念と袂をわかつ為に 1/2


前章のあらすじ


 温泉地アルブネアに足りないもの、それは観光名所。

 そんなリィンベルの主張に賛同して、ならばアレクサントは名所そのものをねつ造(ゴッドハンド)してしまおうと決める。

 そこでレウラの飛行能力を用いて景観の良い立地を探し出し、後日恩師マナを連れて3つの候補地を回った。


 その結果生まれたのが、精霊ウンディーネの加護を持ちし青き燐光の大滝。水を飲めばたちまち健康。

 地底洞窟の果てに鎮座する、ありがたーい精霊ドロポーン像。

 縁結びの白き子竜の丘。


 名所のねつ造により観光地としての体裁が整い、いつの間にかドロポンとレウラが人々にあがめられてゆく。

 最後にアレクサントはドロポンを気まぐれで増やしてしまおうと決める。

 ところが女性陣とドロポンの願いにより、最終的に高さ3.5mのキングドロポンが完成していた。


 結果オーライ。馬代わりにもなる街道整備装置として、大量に増えたドロポンが開拓地各地でさらなる大活躍をしてゆくのだった。


―――――――――――――――――――――――――――

 継承者の章

 魔王キアの城跡とはぐれエルフ それと忘れられた軍勢

―――――――――――――――――――――――――――


 グリムニール様が公都より姿を消したその理由、そこには多岐の事情がございました。

 彼女はヨトゥンガンド家の始祖の1人にして、オールオールムの共犯者、その遺産を誰より把握している存在だったのでございます。


 東にていずる争いの序曲。

 それは終末の幕開けを奏でるとされる黙示録の笛吹(トランペッター)となりて、役目持つ者を焦り駆り立てるのでございました。


 これより始まるは継承の章、魔王の軌跡をたどる物語でございます。



 ・



39-1 はぐれエルフを迎えに行こう、過去の怨念と袂をわかつ為に 1/2


 やっと暇になりました。

 とり急ぎやるべきこともありませんし、予定通りグリムニールさんを迎えに行くことにします。


「ああそうそう、明日からちょい旅に出るからよろしく」

「はい……どちらにでしょうか兄様?」


 錬金釜をアトゥと一緒に混ぜつつそのことを告げると、また始まったと半分あきれに似た顔をされました。

 いやいやこれとっても大事なんですよ? なんか最近きな臭いしあっちとも連携組みたいもん。


「あの放浪大好きはぐれエルフ、グリムニールさんを捕まえに行く。公都迷宮化事件から姿消したままだし、あっちが何してるのか把握したい、で正式に仲間にする、要するにこっちに住んでもらおう。それこそオリジナルに対する俺の……いややっぱ何でもない」


 ここでヤツへの当てつけと言ってしまうと、きっと余計なイベント起こすことになりかねません。

 とにかくグリムニールが俺の手元に来てくれたら、もうそれでいいんです。

 別に操られてなんかいません、これはヤツと俺との共通見解、エルフ最高! グリムニールはロリかわいい! 手元に必要絶対必要!


「わかりました。でしたらこのアトゥをお連れ下さい、兄様1人ではとにかく不安です、ちゃんと帰ってくるかどうかも怪しいです」

「つくづく信用ないな~。いやでも危ないかもしれないし、つーかここだけの話……うん、どこまで安全なのかよくわかんないんだよね」


 グリムニールさんの方は別段問題ありません。

 ただそのついでに立ち寄る場所がどうも……。


「兄様のことです、ついでに魔王キアの城跡に行かれるのでしょう。アトゥは兄様のことなら何でも知ってますよ」

「いやいや何でそんな重大機密知っちゃってるし。出所はなんとなくわかるけどさ……」


 お嬢とアトゥの間には秘密のつながりがあるっぽいです。

 いわゆる情報共有ってやつ……。


「兄様は、そこで何を、されるつもりなのでしょうか」

「そりゃ見に行くだけだよ。まあでも、力は力だし、利用できそうな何かや、面白い記録が残ってたら回収する。……そんだけ」


「ならばなおのことです。アトゥが兄様をみんなに代わって監視します。兄様、場合によっては世界を敵に回しますからね……?」


 魔王および魔王研究のヤバさってそこです。

 魔王は世界に仇なす者、世界に暗黒をもたらす者です。でなければ魔王なんて名前で呼ばれちゃいません。

 蘇らせて喜ぶやつなんて、俺の知る限り……あ、意外と結構いるな……フェルドラムズとか、イアン学園長とか……オールオールムも同類だわ。


「えー、誰も連れてくつもりなかったんだけどなぁ……。うーん……しょうがないか、じゃあこうしよう」

「いい加減な言い逃れしてからの抜け駆け、これはさせませんよ兄様、兄様は常習犯ですから」


 そんなこともありました。きっと職人街の子に頼まれて、石化毒にやられた母親を救ったときのことでしょうか。

 そこはあれです。……騙して抜け駆けが1番手っとり早くなることもあるんです。


「違う違う、アトゥと一緒にレアさんも連れていく。だって彼女とグリムニールさんは知り合いだ、きっと会いたいに決まってる、連れていってあげたらどっちも喜ぶ」

「レアさんをですか……。兄様……兄様が何を考えているのかアトゥにはわかりませんが……まあいいです。レアさんならば何も問題ありません。十分兄様を独占して……しっぽり、旅を満喫できますから……」


 こっちもだいぶ、ちみが何考えてるのかわからんぜよ、アトゥ。

 俺がレアさんを使うのは揺さぶりです。

 グリムニールさんって頑固だから、交渉材料として連れてった方がいいかなと今思いついたのです。今。


「なに欲望ダバッとたれ流しちゃってるし……。いやあのねアクアトゥスさん……家のためとか、血筋とか、そういうの重くてつらいから止めようよ~、気楽にいこう~?」

「ダメです……。そればかりはいくら兄様のお願いでも……お譲りできません……。さあこれを仕上げて早速準備いたしましょう、そして果て無き2人だけの旅路へ!」


 レアさん連れてくってゆーたのにアトゥったら聞いちゃいない。

 俺たちは錬金釜を一緒に仕上げ、出来上がった大量のポーションを木箱へと梱包しました。

 

「お土産はどういたしましょうか」

「え、土産?」


「グリムニールお婆さまへのお土産です……。あ、ところで兄様……お婆さまは今どちらに?」

「ああ、ドロポン3色グミとかレウラのサブレーとかでいいんじゃない、甘いの好きだし。あとグリムニールさんはね、今アトゥの母国ザルツランドの辺境にいるそうだよ」


 そこのエルムエル王子と接触してましたし、そのへんで何かしてるんだろうなとは思ってました。

 俺のオリジナル、オールムが拠点にしていた国です。そう考えると早いところ接触しておきたいところでした。

 ……ま、だいぶ今さらですけど。



先日は申し訳ありません。

1話先のものを誤投稿していました、お詫び申し上げます。

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