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37-2 救援代行いたします、代価は要相談 1/2

 そんなことがあったもんで今回は特殊ケースなのです。

 24人用迷宮を俺たち4人は下っていきました。


 先遣隊が討ち漏らしたのか、それとも新たにわいたのかどうもわからない雑魚どもを、ウルカとアトゥ、アシュリーが取り合うように片付けて進んでいます。


「先輩先輩っ、今から技を見せるっス、見ていて欲しいっス!」

「技? 自己強化ばっかのスーパー地味なお前が? へー」


「そういう毒舌今から黙らせてやるっスよ! いくっスよっ、最近覚えたエンチャントッファイアッ!! かーらのーっ、スーパーー先輩ッッ、ブゥゥゥゥメランッ!!」


 アシュリーが魔剣・アレクサントさんに火炎効果を付与しました。

 で、その白銀の剣をゴブリンおよびホブゴブリンの小集団に投げつけるんです。


 マジでそれはブーメラン。

 剣が自らの意志で軌道の微調整をしつつ旋回し、敵を瞬く間に灰へと変えてアシュリーの手元に戻って来ました。


「うわちちっ?! 別に熱くねーけど暑いって! お前さ、いい加減エンチャントファイアされる俺様の身にもなれよな!」

「どうっスか先輩! これが先輩と自分の合体技っス!」


 先輩2はどうもこき使われてるっぽい。

 いやでもこの投げても戻ってくるっていうコンセプト、意外な実用性です。

 攻撃魔法を使わないアシュリーに、言うなれば高威力の遠距離性能付いたってわけです。


 アシュリー超パワーアップしてるじゃない、おかげでやることねーです、凄いです。

 あそこにいる雑魚吹っ飛ばそうかなー、って杖を向けるとアシュリーがもう俺剣をぶん投げてる感じ?


「あれ……なんかボクら影薄くない……?」

「はい……。それにも増して……羨ましい……兄様の命の宿った……羨ましい……。ですが私も……私もいずれこの身に新しい兄様の命を……ッッ……」


 聞こえなくてもいいことまで聞こえちゃった気がするけど、そこは気づかなかったことにします。

 アトゥは色恋の間合いを詰める達人ですので、反応しちゃいかんのです。


「おー強い強い、おかげで楽できちゃっていいね。がんばれ先輩2。うぉぁっっ?!」

「おっと手元が狂ったわごめん先輩1、あー事故事故、事故だから、わざとじゃないからごめんねぇ~!」


 そしたらもう大変、俺剣が敵をまた斬り裂いたのはいいけど俺こと先輩1めがけて戻ってきました。

 あとちょっと回避運動が遅かったら片耳飛んでたよ……。


「くっそムカつく! なにこいつ性格最悪じゃねっ?! 仲間殺そうとすんなよ先輩2!」

「だから事故だって怒るなよ俺。あーー、悪いけど俺、ちょっと俺引き抜いて、抜けないや……」


 どういう強度してんでしょうか。

 俺剣めが迷宮の石壁グサリと突き刺さっていました。


「このまま氷魔法撃ち込んで封印するか……」

「や、止めろよな俺っ?!」

「ダメっス、先輩2がいなくなったら夜寂しいっス! 最近自分……今さらままごとの良さに目覚めたっスから……」


 俺剣? お前は夜な夜なアシュリーになにさせられてるんです?

 深く突っ込まないスルーを選んだ結果、アシュリーの手元に俺剣が回収されていました。


「聞くな……何も聞くなよ俺……」

「聞かない、でもまあがんばれ俺、生きろ俺」


 そのまま俺たちはガンガンペースで階層を下っていきました。

 下れば下るほどに討ち漏らしが増えていきます。

 アシュリーがそいつらを颯爽とほふり、ウルカがその投擲中の隙をカバーして、アクアトゥスさんがアイスボルト中心で細かい敵を撃破します。


 俺? 俺はほら秘密兵器だから。

 あとはっちゃけ過ぎるとまた総ツッコミ食らうし。

 急になんでそんなに強くなったんだと、要らぬ詮索を受けるに決まってます。


 とはいえ連中にバテられても困るので、ちょこちょこと高速詠唱でマジックアローを撃ち込んでおきました。

 なるほどさすが24人用、進めば進むほど難易度が跳ね上がります。

 それを仕様の6分の1で救援しようっていうんだから、この手のお仕事大変ねぇ~とソコソコの苦労を味わうことになるのでした。


「あのさー」

「先輩……」

「兄様……」

「え、なに、急に何なの?」


「せんせーってさ、どうなんってんの……?」

「まるで……今の兄様はあのマナ先生のようです……。敵が強くなると……都合良く……さらに強くなる人種です……」


 ところが自重できてなかったっぽい、バレてました。

 実際ここまで下ると晩御飯のリクエストを考えながら、とは言えない難易度になっていたのです。なら手抜くよりいいじゃないですか。


「先輩の出し惜しみ癖は今に始まった話じゃないっスけど、さすがに露骨っス。エンチャントサンダー! からのライトニング先輩ッソードッ!」

「それ痺れっ、ししししししびれれれれれ止めろォォォッ?!!」


 白銀の魔剣俺が電撃まとってヌメヌメのジャアイアントスラッグに投げつけられていきました。

 ナメクジまで我が身で斬らされるとはブラック過ぎる職場ですな。


「じゃあ手抜いた方がいい?」

「いいや働け俺! 俺ばっかぶん投げられるとか不公平だぞ俺! こっちは燃えたり痺れたり凍ったり大変なんだからな!?」


 じゃあ自己主張の激しい俺様に免じてがんばっておきましょう。

 そういや自重しないって決めたんでした。問題無し無し。


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