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36-5 人間のクズが女将になる方法、泣いたり笑ったり出来なくなる過酷な修行 1/2

 再びレウラにまたがってさっとアルブネア新領に帰国しました。

 魔王キアの城跡とグリムニールの居場所の情報と一緒にホクホクです。


 それからあっと言う間に1週間が経つと、俺たち待望の見返り(ノウハウ)がやって来ました。

 温泉リゾート地経営のノウハウを持った、スーパーな元女将がここ領館を訪ねて来てくれたのです。

 これがまたもの凄い……。もの凄いけどまあ良し、頼もしい。

 さっそくその方をモショポーさんにも引き合わせました。



 ・



「顔が気に入りません! これを女将にするだなんて正気ですか! そこの女ッ、どこを見ているのですか真っ直ぐこちらを見なさい!」

「ひ、ひぇっ?!」


 あのモショポーさんがいきなりビビッてました。

 無意味に強気で喧嘩腰でプライドの塊ことあのモショポーさんを、まさか出会い頭にひるませるとか、凄いですこの人……。


 その客人は白い肌のエルフ様です。

 かなり歳いってるのか年齢不詳、30代ほどの外見にやや濃い化粧、そんでとんっっでもない規格外おっぱいを持った、退役スーパー女将だったのです。


 紫貴重のお仕着せの中からロケットな胸部がゴゴゴゴゴゴッと膨らんでいて、身長も男の俺より高いよー……?

 よってムキムキモショポーさんと並べると、謎の修羅の国インパクトがありました。


「くっ……うちは本気や、有能や! 女将の仕事くらい、このうちが見事こなしてみせるで!」

「甘いッッ!!」


「ひょぇぇぇーっ?!! なっ、そっ、そないでっかい声出さんでもええやんっ!」


 カッッ、と彼女の眉間にしわが寄りました。

 うわっこの人怖っ……! なにこれメチャクチャ厳しいじゃん……! 人ってここまで辛辣になれるんですね!


「……。オーナー、本当にこの軽薄で、考えが実に浅く、売り上げをちょろまかして失踪しそうなクソ女が、女将で、よろしいので? 1からのしつけ直しとなると思われますが……ギロッ……」

「し、躾やてぇっ?! ってひぃっ、こっち睨むなやぁーっ!?」


 それは鬼、阿修羅、仏の裏の顔、荒ぶる鬼神。

 いったいどんな生活してきたらこんな目が出来るんだ……。ってくらい厳しく全てを糾弾する顔立ちがそこにありました。

 美人だからさらになおさらたちが悪い……。


「ごめんモショポーさん……。なんかとんでもない人呼んじゃったくさい……」


 ……でもこれは考えようですよ。

 仕事に厳しいドSでおっぱいでかい爆乳ババ――じゃなくてお姉さんとか良いね。

 うん、良いよ良いよこのキャラの濃さ、化粧の方もこれはこれであり、濃いけど十分ありです。


「話が全然違うでアレクサントォーッ!! こ、こここ、このババァッ、このババァどう考えたって堅気やないでっ、ヤバ――ヒヘェッ?!」

「そこの小娘ッ、オーナーに対してその口の聞き方なんですか! アレクサントオーナー、折檻(せっかん)の許可を」


 折檻って……おいおいおいおいおい……。

 なにこの鬼軍曹的元退役女将……。

 うん、こりゃ確かに有能だ、有能だよ? でも……でも関わりがたいよこの人……。

 これは機嫌を損ねたら確実にとばっちりを食らうやつです……。


「待てやアレクサントォ! うちらは仲間やろっ、同志やろっ?! ちょーっと自分の欲望に素直なお友達や! や……やぁ……やめ、止めてぇやぁーっ、この人っ、この人だけは嫌やぁぁぁぁーっっ!!」


 気持ちはわかりますよ。

 俺もこういう恐い人とはお付き合いしたくないです。

 でもね、それ以上にね、こういうタイプは敵にしちゃいけないんですよ……。


「オーナーッ! 再教育と折檻の許可を!! このままでは営業に支障が出ますッ、このクソ女を女将として使うならばやさしさをお捨て下さいッッ! 私が完璧に仕上げてみせましょう!!」


 それもう教育通り越して調教なんじゃないですかね?

 まあいいか、それされるの俺じゃないし、モショポーさんにもこれまでのツケを払う時が来たんでしょう。

 思えば人の店のネガキャンしたり、アインスさんを横取りしようとしたり、ろくなことしてませんこの人。


「OK、これもモショポーさんのためだと思って俺も鬼となろう。ああ、女将としてやり直したいという彼女の決意は踏みにじれない。……お願いします軍曹、お気の済むまでみっちりどうぞ」

「ちょっ、ちょアレクサントうちを見捨てる気かぁぁぁーっ! し、死ぬっ、殺されてまうっ、この女に虐め殺されんわぁぁぁーっっ!!」


 うんそうかもね。

 でもほら、今さらこの恐い人に、やっぱりチェンジで、とは言えないもん恐いもん俺も……。


「軍曹ではございません。いえ、フレスベル軍にいた頃には曹長をしておりました。……ああ、そうでした、わたくしめのことは、ヘキサー・フレイムとお呼び下さい」

「ああそう、じゃあヘキサー曹長。……好きにやっちゃって」


 爽やか笑顔でそう受け答えると、ヘキサー曹長も女将らしいたおやかなスマイルをくれました。

 おおこの二面性いいね、期待できます、余計な猟奇性が増します。

 やれーっ、モショポーを再教育してやるのだぁーっ、ハハーオマカセアレー。


「鬼かぁぁぁーっ、お前には人間の情がないんかアレクサントォーッ!! お……おお、覚えてろやぁぁぁーっっ!!」


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