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36-1 女将を決めて北に飛ぶ、お嬢と一緒の2人旅 1/2


前章のあらすじ


 公城にて各国との首脳会議が開かれることになった。

 そこでアレクサントもアルブネア家家老として公城に上がり、初日は祝賀会に参加する。

 その祝賀会でザルツランドの第1王子エルムエルと懇意になり、その彼からグリムニールの手紙を渡される。


 続いてマハ公子の部屋で一晩を過ごす。

 翌日目覚めると、グリムニールの手紙に従いアバロン大公家の王墓を下った。

 魔物たちを退けながら進み、ついに目的地にして最深層・初代大公マハカーラ・アバロンの墓にたどり着く。


 だが墓の中は空、さらには迷宮内にたびたび現れる謎の少女により、白い世界に飛ばされてしまう。

 アレクサントはそこでオールオールムだった頃の旧友、マハカーラと再会し遺言を受ける。


 迷宮には絶対にたどり着いてはいけない場所がある。

 そこには、眠れる者と呼ばれる存在がいる。

 それを起こしてしまうと、大陸中央高地で生まれたもの全てが消えてしまう。

 だからそこへと至る道を封じる者、大公家を守れ。


 一方マハ公子は夢を見ていた。

 夢の中の彼は女性で、死の寸前に迷宮を下り、謎の存在にあいまいな願い事をした。


 その翌日、アレクサントは会議場壇上にいた。

 そこで古なる者に対する相互防衛同盟を提案する。本物の古なる者を会場に持ち込み、危険性を煽った。


 その後アレクは大公へと王墓での一件を報告した。

 大公によると、迷宮に現れる不思議な少女は管理者であるという。

 管理者と大公家は共犯関係で、眠れる者を目覚めさせてはならないという見解で一致している。


 最後にアレクサントのプライベートに不穏の予感を残して、公国の秘密編が幕を閉じるのだった。


―――――――――――――――――――――――――――

 自重無しの領地開拓・特別追加編

  みんなおいでよ、鬼が棲む温泉宿リョウザンパークに

―――――――――――――――――――――――――――


 そこリョウザンパークは最強の温泉宿でございました。

 ちょっとした立候補から始まる配役が、思わぬ方向に計画を螺旋回転させていったのでございます。

 宿と温泉街を誰に任せるべきなのか、宿の女将にふさわしい資質とは――


 その他数々の余話に彩られた特別追加編、そのはじまり、はじまりでございます。


――――――――


36-1 女将を決めて北に飛ぶ、お嬢と一緒の2人旅


 それは数日前の夜中のことです。

 何と珍しくもあのモショポーさんが俺の部屋に押しかけてきました。

 そうして彼女は現れるなり主張するのです。

 意外な情熱と積極性で、ちょっとした無理難題ってやつを。



 ・



「ごめんよく聞こえなかった、もう一度言って」

「ちゃんと聞けやアホーッ」


 ベッドに横たわったまま、ケツかきながら筋肉隆々のパワー系詐欺師モショポーさんを見上げました。

 あふ、眠いや……さっきの聞き間違いだといいんだけどなぁ……。


「うちは自分の店を持つのが夢やったんや!」

「だから……?」


「雇われとはいえこれで夢が叶うんや!」

「へー……」


「うちを温泉宿1号店の女将にせいや! 悪いようにはせーへんでーっ!」

「え、その身体で女将……? 冗談でしょ。それに待遇で言えばさ、開拓民のケツ叩いてた方がずっと楽でモショポーさん向きだと思うけど」


 で、何の用件かと思ったらそれでした。

 容姿、性格、経験、全てが女将に向いていません。さすがの自意識過剰っぷりでした。


「それじゃあんま儲からへん! それにうちは商売人やっ、土方や農民のマネなんていつまでも出来るかボケェーッ!」

「商売人? チンピラの間違いでしょそこ」


 アホらしいです。

 また尻かいて、他のデリケートゾーンもかゆくなったのでボリボリして、返答代わりに背中を向けました。

 なんで自分に向いてないこと始めようとするかなー……。


「話聞けやー、裸見たくせに偉そうにすんなーっ!」

「えぇーまだ続ける気? だってさ~、モショポーさんって前科あるじゃん? あとあの件については俺の方が代金ほしいくらいだから。モショポーさんもまさか処女ってわけでもないでしょ」


「しょ……しょしょっしょっ、処女ちゃうわぁぁぁぁーっっっ!!」


 キョドり過ぎ、噛み過ぎ、処女マッチョ過ぎ。

 知りたくなったよこんな情報……モショポー(処女)年齢不詳。


「絶対ちゃうからなぁぁーっ!! うちは……うちは経験人数4桁やでー!!」

「桁増やしゃ良いってもんじゃないでしょ……ただのスーパービッチじゃんそれ……」


 マッチョビッチとか新しーいです。

 ……そうか、でも考えてみればこの体型です。これは元のモショポーを知る者からすれば、もはや別人でした。


「いいからうちを女将にせいや! 悪いようにせーへんって言っとるやろーっ!」

「何でそんなに女将なりたいんだし……」


 女将として見ればこれほど不向きで、不釣り合いで、でたらめを極めた人選もありません。

 でも……でもちょっとそれはそれで面白いかもしれません。

 綺麗どころは別役で用意すれば良いんだし、このがめつさを忍ばせた腹黒いサービス精神、意外と型にはまれば爆発力が……あるといいな。少なくとも破壊力だけはありそう。


「わかっとらんなぁーっ! 女の子の憧れやで! それにうちほど向いとる人間もおらへん! ここでうちを使わなきゃ人選ミスやん! 親切で女将やったるわぁーって、このうちがゆーとるんやでー!」

「その根拠スーパー0の自信とプライドすげーよな。まあ、良いよ、やってみて」


 ベッドから身を起こして彼女の要求を飲みました。

 ただしこちらの条件も飲んでもらうけどね。たくましく屈強な実験体として彼女を見つめました。

 もっといじりたいなぁこれ……。


「え、ええんかぁぁっ?! 嘘やろそんなっ、本当にええんかぁぁーっ?!」

「うん、ただし契約を結ぼう。モショポーさんに温泉宿1号の女将を任せる。報酬は月約3000z、破格だよ」


 興奮のモショポーさんに好待遇をチラつかせて、満面の笑顔を向けました。

 するとさすがの彼女も裏があるのだと悟り、警戒とか不信の表情を返してきます。


「ま、まさかうちを……うちを手込めにする気やなぁーっ?!」

「それは1億z積まれても断る自信あるわ。じゃなくて、代価としてその肉体を改造させてくれ。有事の際はみんなを守る戦士として、同じ改造人間軍団の頭領になってよ」


 改造人間、そう改造人間これです。

 モショポーさんなら何がどうなっても俺困らないし、宿を任せたらこの地への愛着がさらに増して抱き込みやすくなります。


「え、ええで! ただしアレやっ、これ以上見てくれが悪ぉならんようにする、って条件が抜けとるで! 付け足しといてや!」

「えーーー、それ入れなきゃダメ? 怒ると髪の毛が逆立ってさらにムキムキ化、目が金色になるとか、そーいうのもダメ、絶対?」


「ダメに決まっとるやろこのアホ錬金術師ーッッ!!」


 ということになりました。

 女将はモショポーさんに任せます、代わりに改造人間になってもらいます。

 つまり、改造人間女将モショポー! ってことなんですね~、なんか面白そうだし可決です!


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