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19-03 幼女の隠れ家 1/2

 フレスベル自治国エルフ領聖域そのスレスレ。

 場所を知らなければ絶対にたどり着けない、はっきり言って嫌がらせレベルの超っ山奥にその人は住み着いています。


 活気と情緒あふれる温泉宿で一泊を過ごし、俺とアクアトゥスさんは日も昇らぬ早朝に出立しました。

 で、たどり着いたのがこれお昼前。おかしい、足痛い、疲れた、もうやだなにこれ、気分は劉備兄弟?

 いやいやいくら相手が麗しのロリババァ様であっても、三顧の礼とか無理無理絶対ヤダ。

 これ一回で絶対に協力を取り付けて戻ってみせます。


「おや、来客とは珍しい。はるばる本館にようこそおいで下さった。失礼だがお名前をうかがおう」


 その屋敷というのがこれまたちょっとしたものです。

 建物そのものは小ぶりな洋館といったところなのですが、場違いに華やかな庭と、広い薬草園を持っていました。

 しかも綺麗なエルフのお姉さんまで現れて、はきはきとした口調で話をどんどん進めてくれるのでした。


「そうか、やはりアクアトゥスお嬢さんか。となるとそちらは――いや、貴殿は何も言わずとも結構」

「え、ナニソレ、なんか邪険?」


 薬草園の管理をしていたのか、ソバカスのお姉さんは麦わら帽子を取って胸元をはたきます。

 俺を見る目はあんまり良いものじゃありません。


「……。グリムニール様はいらっしゃいますか」

「居るよ。……だが、まさかそこの男も会わせるのか?」


 この人、グリムニールさんとどんな関係なんでしょうか。

 そんな露骨な態度を取られる覚えなんて俺にはないのに。


「はい……お願いします」

「……わかった」

「ああ良かった、助かるよ」


 でも第一関門は何とかなりました。

 というかこっちにはこんなお姉さんにとおせんぼされるいわれはないんですけど。

 やっぱりあれでしょうか、グリムニールさんってあの通りのお子様を地で行くお姿なので自動的に周囲が保護者ポジションに……?


「おい……」

「え、なんです?」


「歳はいくつだ」

「ぇぇ……あーたぶん18ですけど。たぶん?」


「ふん……気に入らない顔だ。ならついてこい」


 うわー、なにこの扱い?

 あれですか? 確か俺って黒の錬金術師って扱いみたいだし、そんなやつ通したら私のグリムニールが汚れるわっ! みたいな?

 ともあれ無事に俺たちは館の中に案内してもらえました。


 外も立派ですが、中も山奥とは思えないほどに優雅な空間が広がっています。

 通された応接間で冷たい茶をすすって、登山に疲れ切った身体を癒しているとやっとこさ懐かしい顔に出会えることになりました。


「おおっア~トゥ、我のアトゥではないかっ! お~ういやつめ、ババが恋しくてこんな山奥まで来てくれたか~っ♪」

「あ、どもグリムニールさん」


 俺たちのロリババァことグリムニールさんです。

 銀髪アホ毛幼児体型がパタパタとスキップして、かわいい孫娘にかけ寄ってくるのでした。

 その歩幅の短さ、超小柄ゆえの危なっかしさったらないです。

 ……うん、かわいいけど威厳とかはあんまりないな。ん、ババ?


「……む、お前もいたかアレクサント。我が家によくぞ来た、歓迎してやろう」

「いやちょっと、なんか態度違くない?」

「なかなか会いに来れず申し訳ありません。私もお婆さまに会いたかったです」


 なんかずるいです。

 アクアトゥスさんってばグリムニールさんに猫かわいがりされてるじゃないですか。

 俺相手とはテンションが全然違います。


 って、え? お婆さま?

 ってことはアクアトゥスさん孫ってことですよね。

 そのアクアトゥスさんが孫ってことは、俺にとっても……そう、マジもんの、ロリババァ様。

 あ、進化の秘宝くれたり、アトリエにフラッと現れた経緯に今さら超納得です。


「貴様が現れた時点でろくでもないことが始まってると決まっているのじゃ。まったく縁起の悪い」

「あーそこはまあ、あながち間違ってないかも」

「ぅ……あの、お婆さま……。あんまり抱きつかれるとちょっと……痛いです……」


 これ、孫をかわいがるというより、姪っ子が大好きなお姉ちゃんにくっついてるって感じの光景ですよ。

 でも話がややっこしくなるので黙っておきました。大人だね俺。


 するとやがてグリムニールさんも落ち着き、彼女がアクアトゥスさんと並んで長イスに腰掛けると、やっと相談を切り出すチャンスが来たのでした。


「せっかちなやつじゃ。で、何が聞きたい?」

「お願いします兄様」


 一番事情に通じているのは俺だっけ。

 普段ならめんどくさがるところですが、ロリババァ様とお話出来るなら喜んでやりましょう!

 ああっ、室内なのにローブなんて着込んじゃってそこがお子様かわいい、そのエルフ耳がまた本当に素晴らしい、芸術ですよこれは。


「アレクサント、お前何かよこしまな感情を抱いておらぬか……?」

「いいえめっそうも。それで今回こちらに押し掛けたのは、まあ、友人のある呪いを解きたいからなのです」


「ほぅ……人助けか。意外じゃな、貴様にしては殊勝な話だ。ならよしいいだろう話してみろ」


 口振りは本当に偉そうなジジババなんですが、それがロリかわいいグリムニールさんのちっちゃな唇から出てくるさまを想像してみて下さい。

 それが今俺が感じている至上の喜びです。エルフ最高、グリムニールさん超麗しい。


いにしえなる者の呪いを解く方法を教えて下さい。あの子を救うには、俺たちより優れた錬金術師の力が必要だ。俺はまだ経験が浅い。認めたくないが俺の手に余る。努力どうこうを積み重ねるだけの時間がないんだ。……だから貴女という裏技を選びたい」

「私からもお願いしますお婆さま、お婆さまのお力でアインスを助けて下さい」


 アクアトゥスさんも感情的にグリムニールさんの手を取り、真摯に助けをこうのでした。

 で、肝心の銀髪美幼女(おばあちゃん)の反応はというと……。


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