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0-08 貴族科からの転入生 1/2

 冒険科って名前からして特殊です。

 でもその冒険科だって、何も一日中訓練ばかりしてるわけでもないんですよ。

 そこで今回は始めにこの冒険科での一日をご紹介いたしましょう。


 まず起床して寮で朝ご飯を食べます。

 で、いきなりここからが特殊なんですけど……その後その足で各担当教官の下を訪れます。

 教室には行きません。


 週の始めに一週間の授業を選択して、計画的に自分の技能をクリエイトしていく……って感じの自己教練システムです。


 それで午前みっちり教練したら寮で昼食です。

 昼食食べたらやっとこさ教室の出番で、放課後まで座学や基礎教育が続きます。


 さすがに一日中訓練だなんて体力持ちませんし、この座学というのもなかなか面白い話も多くて勉強になります。

 例えば、ある特殊な方法を使えばモンスターも灰とはならず肉や素材として利用できるとか何とか。色々です。


 でもま、基礎教育の方は間に合ってるので寝て過ごしてます。その分を他の時間に傾けたいです。

 指されても内容は別学科よりずっと遅れてますし、もう簡単に答えられちゃうみたいなんです。


 いやぁ~優等生ですねぇ僕ぅ~。中身はショタとはほど遠い生物なんですけどね、外側はもうじき15になりますよ。

 あ。話が脱線してました。パパっと戻します。


 放課後は他の科より少し早めにやって来ます。

 この長めの放課後をどう使うかは生徒の自由だそうです。


 でもだいたいの人が週初めの時点で追加授業を入れています。

 休んだり出かけたいなら事前予定の段階で授業を抜くって感じです。


 ……うん、だいたいこんな感じで一日が過ぎていきます。これが冒険科の一日なのですよ。



 ・



 それでですね、なんかうちのクラスに転入生が来るそうなんですよ。

 自分が言うのも何ですが、こんな一見さんお断りみたいな科によくもまあ来るもんだなと感心です。


 きっとよっぽど勉強熱心で生き急いじゃってる奴なんでしょう。

 しかもソイツ、話によると例の貴族科から転入してくるそうだとか……となれば間違いなくこりゃ変人に決まりです。



 ・



「今日は皆に新入生を紹介する。さ、入ってくれ」


 午前の魔法教練を終えて教室に来ました。

 時刻になると担任のダンプ先生が現れて、くだんの新入生が教壇に上がりました。


 ん、んん……?


 ところがです、何か見覚えがあったんですよねソイツ。新入生。

 彼も俺に気づいたみたいでその目と目が重なり合います。


 30秒くらいそれを続けたら、転入生こと赤毛の貴族様が不敵に微笑みました。


「フッ……久しぶりだなアレクサント」


 おーう見事な二枚目キャラ、こんだけ高々と鼻鳴らすヤツ初めて見たわ。


 ん、あれ、久しぶりって今言ったか……?

 うーん……見覚えはあるんだが誰だったろうコイツ。

 貴族科支給の制服は他の科よりも意匠が細かく、結構これが高貴というかカッコイイんですけど……フツーに華美です華美。


「……う、うん、そうだね、ヒサシブリダナー」


 あ、これダメなパターンですね。

 素直に誰とか聞き返せばいいのに、戸惑いのあまりこれがうっかりごまかしちゃってました。

 しょうがないからテキトーに相づちうちながら、内心はせっせと記憶を探ります。


「……。おい……。おいアレクサント貴様、まさか俺のことを覚えていないだなんて言うなよ……?」


 たちまちヤツの顔が不機嫌に染まりました。

 いや申し訳ない、こんなコテコテの貴公子様忘れるはずないんだけどなぁー。


「あ、はい、今思い出しましたよはい。…………ちなみにヒントとかあります?」

「き、貴様……ッ、ほら入試試験の日だっ、忘れたとは言わせないぞ! いやむしろ許さん! 俺の方は一時もお前を忘れた日は無いというのにだ!」


 あらヤダ情熱的、コイツなにホモ?

 あ……。お……? ん、んん……入試試験……?


「早く、早く思い出せ……早く思い出してくれないと最悪の教室デビューになるではないかっアレクサント……ッ」

「あ、あー……あん時の貴族様じゃん。えーと名前は確か……」


 思い出した。

 アイツだ、あん時のしつこいヤツだ。

 俺はついつい席を立ち上がり彼の顔を指さす。


「そう、アルファルファ」

「全然違うっ、俺の名はアルフレッド! アルフレッド・アルブネアだ!」

「ああそうそう、それそれ、それだった気がする」


 あースッキリ。

 あんときのコイツ、試験結果に固着してうっとーしかったなぁもう。


「クッ……相変わらずなんてマイペースな男だ……。あーー……うむ。アルフレッドだ、恐らく周知であろうが貴族科から来た。浮いているのは自覚しているが、可能ならば皆さんと自然体の交友を結びたい。……以後お見知り置き願おう」


 これって根っからの二枚目キザキャラなんだろな。

 背の高いその細身が優雅に腰を折って、典雅も典雅なお辞儀を披露しちゃいました。


 ああもうこの時点で別世界。

 ……女子生徒ウケは良かったみたいでキャーキャー言わせてたけど。


「じゃアレックス、彼の世話はお前に任せた。何ならお前らのペアに入れてやれ、ほら今度の迷宮は三人用だからちょうどいいだろ」


 ダンプ先生って脳筋だもんで大ざっぱなんだよね。

 それで片づきそうだしそうしちゃえと、何か有無を言わせぬ大人の巧みさ発揮しちゃってもう……迷惑勝手いい加減ですよもう……。


「うむ、よきにはからえアレクサント。しばらくはお前の厄介になろう。なに、足手まといにはならん」

「あーはい、そっすか。早くも抗議する気力もございませんですよ。じゃ、まあ、そういうことで」


 ホントに足手まといだったら、玉の輿狙いの女子生徒とかいるだろうしコレ売りつけよう。

 うん、そう考えると悪くないな金になりそう。コイツも金持ちだろうし、うんいいな。


 そんなわけでこんなわけでアルフレッド・アルブネアが冒険科にやって来た。

 見合う実力があるのなら、今後はコイツとアシュリーの三人組で迷宮攻略だ。


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