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0-07 2/3 アシュリーと共に実習用迷宮を駆け抜けた夜のこと

【初級実習迷宮B6】


 B5で少し迷わされました。

 迷わせてやろうという悪意によるコンセプトで出来てました。


 ならその逆を突いて進むだけです。

 RPGとかだとついついお宝回収のために外れルートを選ぶものです。

 でもここはローグライクに踏破速度を優先します。


「アレックスくんのおかげで全然消耗してないっス。普通はこうもいかないっス、すごいっス!」

「うん、自分でもこう上手くいくとは思わなかったよ。時間はあと半分くらいかな」

「いけるっスよ。あと30分以内に9階層目! これは十分狙えるっス、すごいっス!」


 アシュリーについて誤解してたかもしれないです。

 彼女は実直な口調をしますが、結構人をおだてるのが上手い人です。

 何というか、気づいたら手玉に取られてそうな感があります。


 それはそうとB6ともなると雰囲気も変わってきました。

 上の方は学園の補修が加わっているようなのですが、下れば下るほど老朽化するというか廃墟っぽくなります。


 一体これなんの根なんでしょ。壁から樹木の太い根がめり込んで通路をデコボコにしてたりします。


「あ、そこ罠あるから」

「おおっホントっス……てかスカウトでもないのに何でわかるんスか」

「だって露骨な一本道だったし、ほら地面も狙ったみたいにまだらだよ。……薄くだけど」


 長い一本道は感覚を麻痺させるためのものなのかもしれないです。

 迷宮の設計者がいるなら、さぞやニヤニヤとこの罠をここいらに配置したことでしょう。……まあ徒労でしたが。


「ていうか……アレックスくん、自分には罠だらけに見えてきたっス。どうするっスかこの道……」

「うん、たぶん迂回路があるんだろねどこかに」


 ざっと見ただけで視界の彼方まで罠だらけでした。

 もしかしたら今見えているのは全て俺たちを安心させるためのフェイクで、どこかにヤバイ本命が隠されてるってオチもありそうな感じ。


「じゃあ引き返して……」

「それはダメ、時間のロスになるから突破しよう」

「正気っスか?! ものによっては医務室直行っスよっ?!」


「ここではスカウトチームが有利になるようバランス調整されてるんだろね。でもだからこそ迂回したら意味がなくなるよ、第一この手の迂回路って遠回りだし探すのもだるい」


 だから俺はスタッフに両手をかけた。

 それを地へと突いてブツブツと教本外れの呪文を詠唱する。


「ちょっ、何するつもりっスかっ?!」

「大地の精よ、その勤勉なる心を我のために捧げよ。我はアレクサント、好奇心の怪物なり。……アーススパイクッッ!!」


 杖で力強く地を叩く。

 するとその土の地面が隆起してやがてゆっくりと加速、通路の彼方にある壁に激突するまで駆け巡った。


 ズドンともの凄い轟音が響く。


「これで良し。後は出来るだけ注意して進もう。……多少MPを消費してしまったけど今まで温存出来ていたし、迂回路でも消費させられるのは目に見えてるしね」

「にゃははは……うわ、メチャクチャっスね……。確かに近道っスけど……うわぁ……アレックスくんって……頭おかしいっス……」


 全部は解除出来てなかったみたいで、隆起の道を進んでも矢とか飛んできたけど何とかなりました。

 さあ階段です、次々!


 ・


【初級実習迷宮B8】


 ついにトップ陣と同じ階層にたどり着きました。

 けれど俺たちは敵の殲滅をサボってるし宝もろくに回収していない。

 よって彼らを追い抜くには、次の階層に到達しなくてはならないのです。


「何でみんなここでどん詰まってるんだろう……って思ったらそういうことっスか」

「うん、なるほど、厄介だ。どうしようかコレ」


 とんでもないボスが待ちかまえていた。


 ……なんてわけでもなく。ただ道がなかったんですよ。

 小フロアが3つ、それを繋ぐ通路が2本。

 それしか8層目にはなかったのです。


 推測だけどスカウト入りのペアもここまではたどり着けず、だから脳筋パーティがここで足止めになったんでしょう。


「隠し通路があるんスかね……全然わからないっス……」

「うーん、まいったね」


 残り時間はきっと15分もない。

 手早く糸口を見つけて9層目に行かなきゃならない。


 とは言うものの……何だこの脱出ゲームおかしくね、バグってね?

 ってくらい突破口が見えませんでした。


 みるみるうちに時間が流れていってしまいます。


「……おかしい」

「や、自分もう頭痛くなってきたっス……全然わかんないっスよ……」


 おかしい、ヒントもなければ露骨なオブジェすらない。

 これまでの迷宮設計と明らかに異なる。

 別の設計者がこのフロアを作ったのか、あるいは……あるいは……うん、そんなのおかしい。


「ここ、ダミーかな」

「へ……ダミーって……嘘ってことっスか?!」

「可能性の話だけど、ここだけ何か毛色が違うよね。妙に無機的だし何にもない」


 白い石壁と土くれは上層の性質に近い。


「一度上に戻ろう。上を調べた方が糸口が見つかるかもしれない」

「なるほど……それに賛成っス! さすが……さすが先輩ッ!」

「いや俺ら同級生でしょ、先輩どっから出てきたし」


 ……で、その結果だけど。

 上に戻ってみればあっさり隠し通路が見つかりました。

 アシュリーがアチョーッと壁を蹴り飛ばすと薄い石壁がドゴンと崩れ、いかにもな新しい道をのぞかせます。


 そこを進むと本当のB8。そのB8は驚くほど浅く、たったワンフロアだけでB9への階段をあらわにしました。


オチの3/3部分は30分過ぎくらいに投稿する予定です。


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ダブルフェイスの転生賢者
― 新着の感想 ―
[一言] おぃ、久しぶりのオヤジギャグ!、作者はオヤジだな。
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