日常
ガンガンガンガンガンッ!!!
「起きなさい!蓮!」
何だ、この音…頭に響く…
まだ覚めていないアタマを働かせ、うっすら目を開けるとそこにはフライパンとおたまを打ち合わせている姉ちゃんがいた。
このうるさい我が姉の名は、柳橋 玲奈。そして俺は、柳橋 蓮。
「うるさい。眠い。寝る。」
ったく、アニメじゃないんだから…
「あっ!こら!起きなさいって!出かけるわよ!」
「はぁ?どこに…。」
あ、もしかして…
「あんた忘れたの?今日は母さんたちの命日でしょ」
全くこの弟は…と姉ちゃんがボヤく。
あぁ、やっぱりそうか。今日は母さんたちの命日だ。
俺が10歳の時に、家族で遠出した帰りに急な曲がり角で車が横転し、前の席に座っていた両親は 死んだ。
そこから俺と姉ちゃんとの二人だけの生活が始まった。
俺は布団から出て、支度を始めた。
支度が終わり、姉ちゃんの運転で母さんたちが眠る所へ向かった。
「あれからもう、六年も経つのね…。あんたは高1、私はもう19で10代最後。時が経つのは早いわね〜」
なんて、姉ちゃんはカラカラと笑っていた。
六年か…
ボーッと窓から外を眺めていたら、また寝そうになり、うとうとしかけた頃には、姉ちゃんによって起こされた。
「ついたわよ。」
「ん?あぁ。今降りる」
桶に水をくみ、線香に火を灯し、周りの草をむしり、あらかたの作業を終え、二人で手を合わせた。
父さん、母さん。そっちはどうだかわかんねーけど、こっちは上手くやってるよ。相変わらず世話焼きでうるさい姉ちゃんだけど、お互いに助け合ってるから安心して待ってな。
「帰ろうか」
「そうね」