1:どうでもいい毎日
自分って何なんだろう。
遺伝子って何なんだろう。
国籍って何なんだろう。
誰かわかる人がいるなら、こんな俺に教えてくれ!
自分が何を求めているのかさえわからない。
自分がどこから来てどこへ向かっていくのかもわからない。
誰が正しいのか。
何をするべきなのか。
俺には全くわからない。
想像さえもできない。
もの心がついた頃からずっとブラックホールに包み込まれている。
決して出られないこの固く閉ざされ、無限と広がる暗黒の世界。
自分が一体何者であるか、決して解けない難問。ゴルディアスの結び目の様に、がんじがらめに、俺に何かがまとわりついている。
決して逃れられない呪いと呼べる、この虚しさ。
俺が俺である証明は誰ができるのか。
明日に期待を持てる人間が尋常なのか。
どうせこんな世の中なんだから、明日や明後日に希望を見出そうとしている人間が異常なのではなかろうか。
俺は今日も下らないことを自分部屋で考え続けている。
いや、考え続けているわけではないのか。
俺は別哲学者ではないわけだし。
いや、考える時間はたくさんある。
ベッドの横にある窓からは初夏の青空が広がっている。
学校に行かなくなって、もう2週間。
行かなくなった理由は特にない。
ただ、学校に行くのが面倒臭くなった。
自分が何をしたいのかもよくわからない。
自分が何をすべきなのも見えない。
別にイジメがあったわけでも無い。
ただ、何に対しても興味がわかない自分に気付いた時から、学校へ行かなくなった。
親に反抗したくなったわけでも無い。
おふくろは何があったか聞き出そうとするけど、別に取り立てて話すことが無いから話さないだけなのだ。