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マシナリー  作者: ヤッキー
1/3

マシナリー10th

ナゴヤと言えば2020年に日本の首都になった場所だ。

1999年から始まったとある世界大戦…それは日本にも大きな影響を受けた。

日本は憲法により、戦争には参加しなかったが、それでも多大な被害を受けた。

特に元首都東京では、違う国同士の争いで激戦区になり、東京は壊滅的になった。人々は東京から離れ、まだ何も被害がなかった愛知に避難した。

世界大戦が終わり、人々は復興への道を進んだ。2015年の時である。

人々を守った愛知はナゴヤという名前になり、日本の首都になった。

2035年、ナゴヤは当時に比べかなり発展し、世界でも一目置かれる都市になった。

時刻は午前1時28分、それでもナゴヤの光は消えてなかった。街灯にはLEDを改良したメガLEDを採用しており、夜中でもまるで明るく感じてしまうほどである。

そんな華々しく光輝くナゴヤの第6区にあるボロボロの建物は違った。

外見は二階建ての真四角建物で今にも崩れそうな建物だ。

そんな建物の中でも何故か二階に弱弱しい灯りが見えてた。


第6区は住民区である。

第1〜3区は日本を支える区で国家機密により一般の人は入れなくなってる。

第4〜6区は住民が住むために、公共施設、娯楽、住宅が並ぶ区である。

第7〜9区は学園区となってる。

そんな第6区だが、今時真四角でボロボロの建物に住む人などはいない。

住宅は国より管理され、どこ住むのかは国が決めるのだ。

だから普通ならもっと良い建物に住んで居なくてはいけないのだ。

そんなボロボロの建物の中は少し薄暗く、何があるのかが微妙にわかる程度である。そんな二階には人がいた。それも一人ではなく四人いた。三人は机に置いてある地図を囲んで見ており、もう一人は壊れかけの椅子に座りながら別の机で何をしている。

「なぁ、さっきから何をやってるんだ?」地図を見ていた一人の男が、椅子に座っている男に聞いた。

「ん。ああ、これの事か。」 座っている男がマッチに火をつけ見せた。

「弾によぉ、俺たちがやったっていう証拠をつけているんだ。」男は冷静に答えた。

「おいおい⁉なんの冗談だ!そんな証拠なんて作って何になるんだ!」と別の男が声を荒げていった。

「冗談でもなんでもねぇんだよぉ。これは俺たちの意志を示す物なんだ。俺たちは言わば裏で食っていく人間だ。それを宣伝する為には何が特徴的な物がいる。

そこでだ。弾に十字の傷をつけてこれは俺たちがやったと伝えるんだ。」

と作業しながらい言った。

「それによって国が俺たちの存在を知り、追うようになったらどうする?仕事もやり辛くなるだけだぞ。」

地図を見ていた大柄の男が低い声で言った。

「それについては問題ねぇ。今回の仕事をしたら直ぐにこの国から出てくからなぁ。」男はニヤニヤしながら細い手で弾に加工した。

「あてはあるのか?」

「ああ、あるとも。この仕事を上手くこなせば面倒を見ると戦争大好きキチガイ国がいるからよぉ……くっくっく……」

「まぁいい。明日の計画について話すぞ。」

男達の目にはある光があった。だがその光はドス黒く残酷な光であった。


第7〜9区の学園区には高校生や中学生の為に寮がある。

その寮は学校により場所が指定されている。

私立などの寮はまさに豪邸並みで生徒一人に対し召使いが5人いる。

公立はまんま寮であった。

そんな公立の一つの寮に今日から越してくる学生がいるようだ。

その寮の名前は綾小路キングダムとまぁふざけた名前である。

学生はその名前を見て溜息をついた。

寮の中に入ると少し古ぼけているが、丁寧に扱っている印象がある。

「おや、新入りかい?」

ドアの隣にある受付のガラスを拭いている老人が言った。

「話は聞いておるよ。君の部屋は5階の88番の部屋じゃ。ほれ。」と部屋の鍵を学生に後ろ向きで投げた。

学生は少し驚いたがすぐに表情をなおした。

「ありがとうございます。」

学生はそう言いながら階段へ向かった。


時は少し飛んで午前8:35になる。

学生は既に教室に着いてなければならない時刻だが、少女はまだ校門にいた。

「これで5回目の遅刻だーーーー!!!」

少女は叫びながら学校の入口へダッシュした。

少女は下駄箱で上履きに履き替え自分の教室へ走り、ドアを開けようとしたら何故か鍵がかかってた。

「あれ⁉なんで⁉開かない!!!だーれーか開けてー!!」バンバン!!とドアを叩いたら、「浅野〜〜〜。お前は5回目の遅刻だ!!このダアホ!!!」

ドアの向こうから低い声が叫んだ。

「罰としてお前は廊下にいろ!」

「そっそんなー。まだ5回目じゃないですかー!あと二回セーフじゃないですかー!!」とバンバン叩く。

その音は一階全体に響いたが誰もがスルーした。これが日常なのであった。


少女は廊下で立っていたがそれも我慢の限界だった。

時刻は午前8時45分あれからまだ10分しか経ってなかった。だが少女にとってはあまりにも長く感じた。

少女はドアに向かって飛び蹴りをしようと考えてたら、「あの〜」

少女はえっ?と思いながら首を右に傾けると、そこには男性がいた。

「すいません。3-1はここでよろしいでしょうか?」

丁寧な口調で少女は少し戸惑っていたが、すぐに答えを見つけた。

「もしかして、今日から入学する転校生って君の事?」

「はい、事務員の方に書類を渡して、それが終わったので自分のクラスへ………えっと…貴方は一体何を?」

少年はとても不思議に感じていた。

「あ⁉え、えっと………」

浅野が戸惑っている時

「お、来たか。転校生君。」

教室のドアを開けそこから顔を出すゴリラ……いや男性がいた。

「話は聞いている。さぁ、入ってくれ。あと浅野もな。」

「はーーーい。先生。」

浅野はそう言うとすぐに教室に入った。

少年もそのあと少し間を開けて教室に入った。


「では今日からこの学校に入学する生徒だ。君、黒板に名前でも。」

少年はそう言われると後ろにある黒板に自分の名前を書いた。

「疾鷹 仁です。まだこの学校に慣れていませんがよろしくお願いします。」

少年は名前を書き終えると礼儀正しく礼をした。

「疾鷹君はこの街にくる前はヨーロッパの学校に居てな、まだ日本や学校に慣れてはないからよろしく頼むぞ。

さて…君の席は…浅野の隣だな。あのボーッとしてる女の隣の席だ。」

先生が指しながら言った席は外側の窓の前から三つ目の席だった。

「せんせーい。それはいじめでーす。」とボーッとしながら言う浅野。

「ならシャキッとしろ。 教科書はあいつから見せてもらえ。」

「は、はい。」先のやり取りで少し戸惑う疾鷹であった。


午前11時……疾鷹のクラスでは数2の時間である。そんな様子を覗く望遠鏡があった。学校の向かいのビルの屋上で覗く人影がいた。

細身でメガネをかけた青年である。

その青年の後ろにはノートパソコンを使っているガタイのいい中年の男がいた。

メガネを掛けた青年が少しにやけながら言った。「うんうん……彼の性格とは思えない演技だねぇ。先輩が教えたんですか?」

先輩と呼ばれたガタイのいい男はため息ながら、「あいつの才能だろ。」と。

「またまたぁ、そんな謙遜なんかしなくても知っていますよ。」メガネを掛けた青年は意地悪く言った。

「お前…一度俺の合気喰らうか……」

男は拳を握り骨を鳴らしながら言った。

「エンリョウシマス。」メガネの男は今日の天気のような真っ青な顔色をしながら目線をそらした。




パソコンからコール音が聞こえた。

メガネの男はすぐに応答した。

「はい、こちらは奥田でありますよー。」こりない奥田はパソコンの画面に向けてニヤニヤしていた。どうやらパソコンにカメラが付いてるようた。

「あら、奥田。今回は貴方も参加してるの?」スピーカーから聞こえるのは女の声だ。知的な落ち着いた声だ。パソコンの画面から映し出されているのは、褐色の肌をしたメガネの女だ。髪は金髪に近く、ボブで仕上げている。顔はなかなかの美人だ。

「ねぇ、ラースはいる?あの単細胞の糞野郎呼んで。」とても女性が言っていい言葉ではないが、奥田は呆れながら、先輩………ラースを呼んだ。

「せんぱーい、レン博士から通信ですよー。あと呼んでまーす。」奥田はラースにふざけながら呼んだ。

「………あの糞アマか……。適当に居ないって言っとけ。」奥田の顔が不機嫌になった。どうやらレンという博士とラースは険悪な関係のようだ。「呼ばないと僕が死にまーす。」奥田は早く、早くと訴えながらスネークに手招きした。

チッ………舌打ちしながらラースはパソコンの方へ移動した。

「あら?やっと出たのね?単細胞の糞ゴリラ野郎が。」さっきまで酷くなってるが、奥田はこれが普通なんだよねって思いながら、聞いた。

「用はそれだけか?糞アマビッチ。」ラースも皮肉ながら言い返した。

「二人とも、そんなくだらない事よりも連絡があるんでしょ。レン。」

奥田は面倒くさそうに話を進めた。

「そうね、糞は放っておいてと……簡単に言うわ。貴方達のいるその第7区にある銀行で強盗があったのよ。その強盗団がそっちに向かっているわ。」

簡単だった。実に簡単な連絡だった。

「ほう………今時、銀行強盗とは時代遅れな奴等だな。」ラースは呆れながら言った。

ナゴヤではもはや通貨は物体としては残ってない。今ではネットの中に金が存在する。それぞれ個人の金はそれぞれ個人のネットのデータとしてあるのだ。だから今では銀行などほぼ宝石、鉱物の金、銀、ダイヤなどの物しかないのだ。今、鉱物の存在意義はほぼないに等しいのだが、成金の物好きがただ預けているだけなのだ。

「今じゃ、鉱物系よりも新しい物質が高価なのにねぇ……。」奥田はメガネをクイッとを指で上げながら言った。

「ええ、そうね。だけど強盗したのよ。そして貴方達の方へ向かっている。これは国からよ、国から。」レンはもうやる事分かったなと言いたげに目で訴えってる。

「了解。糞の始末は糞がやるさ。」スネークはニヤニヤしながら言った。

「そう、あまり学校に気づかれないようにね。じゃあ。」レンはそういって連絡をきった。

「先輩………久々じゃないですか?その顔は。」奥田は見た。

「そうだな。半年ぶりだ。合法的に殺せるのは……。」ラースの顔には笑顔があった。


ある道路にミニバンが走っていた。この時代においては別に珍しい事ではない。今の時代、電磁の力によりタイヤがいらない車などあるが、それはまだ成金や金持ちにしか買えないほどの価値なのだ。だから今でも一般的な車がほとんどなのだ。だが外装が不気味なのだ。全体を黒に染め、スモークガラスを施されており、運転手の顔が見えないのだ。

そんなバンの中に四人の男がいた。

彼らは運転手の一人を除き、後ろで向かい合うように座っていた。

「目的の場所まであとどれくらいだ?」

後ろに座っているガタイのいい男が言った。

「あと………10分くらいだ。なんだ?興奮してるのか?」運転手の男はミラーを見てニヤニヤした。

「それもあるが……なぁ、なんでクライアントって言うのはこうも変態だらけなんだ?乳くせぇガキ共をひっとられろなんて?しかも強盗のあとにぃ?

馬鹿馬鹿しいったらありゃしない。」

男達は例の銀行強盗のようだ。

車の中には"今では"存在価値のない鉱物、宝石が入ってる鞄がそこらに散らばっている。

「さあな。クライアントに聞けよ。

俺たちは金と存在意義を貰えればそれで関係はお終いだ。ましてや、奴等は臭い。俺らなんかよりもドス黒いんだよ。触らぬ神に………って奴だ。」

運転手の男は追い抜き、追い越しを繰り返しながらはっきりと言った。

「くっくっく…………俺たちはただ金と生きる意味があればいい。それだけだ。」ガタイのいい男の正面に座っている痩せこけた男は笑いながら言う。

「俺たちの生きる意味なんてただ人を殺すことに意味がある。それが生き甲斐なんだよ。それだけのために生きてるだけなんだよ。」

その言葉を聞き男達は笑う。

これが人の一つの本性である。自分の為に他人の事なんて考える事なんてないのだ。これが人の姿だ。野生として一番醜いのは人間なのだ。理性や秩序を無くし、心をドス黒くなった人はまさに野生そのものなのだ。これが自然に還った人間の姿なのだ。

向かう先に見えるのは疾鷹 仁のいる学校だ。


疾鷹は高校生だ。まだ高校2年生であった。その割にはすでに社会で出てもやっていけれるような落ち着いた雰囲気を出している。その隣で全く逆の彼女がいた。浅野である。授業中にも関わらず、仁に話しかけてくるのである。

「ねね?疾鷹君はヨーロッパの何処から来たの?」彼女は興味心身とばかり聞いてきた。

「ドイツから来たんです………って今授業ちゅ「おおー!!ドイツ!ドイツ!!つまり君は帰国子女かね⁉」

疾鷹は呆れるしかなかった。さっきからこんな感じだ。と思っている。

「はい。………だから授業中なんで少し静かにして「やっぱり!!凄ーい!!帰国子女を見るのは人生で初だ!!そんな分けでよろしく!!!」

もはや、メチャクチャである。

疾鷹はもう苦笑いしかなかった。

その時、「おい、そこうるさいぞ。浅野と………疾鷹くぅーん。転校早々授業そっぽりだして女子と話しているのか。全く。飛んだ転校生だな。」

憎たらしくそう言ったのは学校の嫌われ者の永井だ。世界史の永井である。

身長の割には痩せているどころが、ガリガリでいつも生徒を見下している教師だ。

「す、すいませーん。永井先生。ですけど先に話しかけたのは私ですし。疾鷹君はただ軽く相槌をうってただけなんで…その疾鷹君は悪くないのですが……」と浅野はあちゃーと思いつつ、仁をフォローした。

「ほう、君は生徒の癖に教師に指摘するのか?なら君の成績をほぼ皆無にしてやろうか?いや、責任は疾鷹君にとってもらおうか。つまり彼の成績を全て皆無にしよう。」メチャクチャである。

それはクラスの皆が思った。

永井はこんな性格である。自分が神とでも思っているらしい。だからこそ、生徒を始め、他の教師にも嫌われている。

なら何故?彼を教育委員会にでも突き出さないのか。彼の祖父は永井財閥を作った第一人者で、彼の一族は皆何かしら人類にとって影響を出す歴史的発見、また栄光を作っているのだ。

しかし、その血を持っているこの教師はまだ何もそんな物を持ってはなかった。彼は今年で40になる。未婚者で恋人無し、人望も無ければ、ただのボンクラの坊ちゃんにしかない。

そんな坊ちゃんの武器こそが財閥である。その力はこの日本を動かす事なぞ楽な事である。だから抵抗したりすると家族ごと全てを失って終うのだ。

これが彼のメチャクチャ出来る理由である。

しかし、浅野は違った。

「そ、そんな……それはあまりにも酷すぎます!それでも貴方は教師なんですか!!」浅野は永井に向かって口答えをした。

「あ・さ・の。これは君の為だよ?何が不満だ?君にはなんの仕打ちはないんだよ?責任は彼が取るべきだ!」

永井は少し不機嫌ながら言った。

「で、でも………それはおか⁉」浅野は言い返せなかった。何故なら隣に座っていた彼が立っていたから。そして

「永井先生。すいませんでした。責任は全て僕がとります。」彼は永井に頭を深々と下げた。

「ほう?君は少し利口のようだね。そして情けない姿だ。クラスが見てる中!頭を下げている所をみせるなんてなぁ〜!!!」浅野の顔は酷く笑った。顔が歪むほどに、教卓を叩きながら笑った。

「責任は僕が全てぇ〜?なら今すぐこの学校をやめろ!!それが責任をとることなんだよ!!!」永井のメチャクチャはついに再頂点に達した。

「疾鷹君!!駄目だよ!!そんなんおかしいよ!!!」浅野は彼に向かって言った。少し涙目ながら彼女は言った。

「私が、話しかけたのに私が、悪いのに!!先生それはおかしいです!!!」浅野は永井に異議を申し込んだ。

「駄目だよ?そんなんで許されるとおもうのかい?君はバカだねぇ〜。」永井はふざけながら言った。

浅野はもう駄目………私がいけないのに…私が悪いのに………自分の中で自分を責めた。

調子に乗ったせいなのに、疾鷹君は悪くないのに、私のせいなのに……彼女の目からついに涙は流れた。悔し泣きだ。己のせいで他人が不幸になる。それが許せない。己の無力さに。彼女は涙を流すのを我慢した。だが、それでも流れてしまう。

「あれ?泣いちゃった?泣いちゃったのかい?アッハッハーこれは愉快だねぇ……人が絶望して泣く所を見ると笑っちゃうねぇー。」彼は笑った。まさに屑だ。己では何も出来ない屑だ。ただ、家の力で立っているだけの男なのだ。そんな、彼の笑いが一瞬で凍りつくとは誰もが思ってなかった。


学校の向かいのビルにいる。スネークは焦っていた。笑顔になった5秒後に気づいたのだ。ここから強盗団を全滅できる装備がないと言う事を。彼らの任務は疾鷹 仁の監視、調査である。そこまでの装備は必要としないのだ。

「おい!なんとか武器をこっちに持っていけれないか?」パソコンに向かって言った。ラースは焦っていた。その分、声が大きくなっていた。

「ヘリは無理ね。あれだとバレちゃうし。」そのパソコンから聞こえるのはレン博士だ。

「まぁ、そっちに渡せない事はないけど………」レン博士には方法があるらしい。それに気づいた奥田は

「もしかして空間転移装置……あれは……まだ実験中じゃあ?」

空間転移装置、いわゆるテレポートである。ある場所からある場所までワープの要領で一瞬で移動する装置の事だ。

「ええ…そうね。だけど無機質での実験は成功してるし。今回この装置を使って位置精度を調べれる事にもなるし。丁度いいのよ。」レンは科学者らしい意見を出した。

「武器を送るのはいいが、蝿は送るなよ。」とラースは言った。

「なんでよ?」レンは疑問に感じた。

「昔のB級映画にそんな映画があったって事だ。」

奥田とレンは全く意味が分からなかったのであった。

「まぁ、貴方達が乗ってきたトラックに装置があるのは幸いね。直ぐに準備するわ。」

転移装置は何処でも行けれるわけではない。物を入れ、それを分解して移転させる発進機、そしてその転移した分解された物を再構築し、着かせる受信機がある。

つまり受信機が無ければ物は永遠に分子になったまま宙にまってしまうのだ。

そのため受信機はそこに行きたい場所に置かなくてはならないのだ。

「時間はどれくらい掛かる?」ラースは聞いた。「場所の座標、そして銃の分解とかの時間を考えると15分弱ね。 」モニターにはレンの姿は無く、転移の準備に取り掛かっている。

「無理だな。」ラースははぁ…とため息をついた。

「なんでよ?」「もう強盗団が学校に突っ込んじゃった。」奥田は苦笑いしながら言った。


突然の出来事であった。

学校の校門に黒のミニバンが突っ込んだのだ。

校門は破壊され倒された。ミニバンは倒された校門に乗っかり先へ進んだ。

学校内に警報がなった。

全クラス、職員室は騒然とした。

勿論、仁のクラスも例外ではなかった。永井はその醜い笑顔から一気に変わった。

「な、何だ⁉け、警報。なんで⁉誤作動!誤作動に違いない!!」さっきまで笑って人を見下していた男とは思えない動揺である。

決して誤作動ではない。原因が仁のクラスの窓に突っ込んだ。

ドガァ!!!

窓とその壁は簡単に壊れた。

原因はミニバンの突っ込み………ではない。

腕だ。木のように太い腕がミニバンのフロントガラスから伸び、正拳突きのようになっているのだ。

これを見たクラスはパニック障害を起こした。

窓側にいたクラスメイトが吹っ飛び、血反吐を口から、鼻からと吐きながら目の前に落ちたからだ。

女子は悲鳴を上げ、男子はすぐに落ちたクラスメイトから離れた。

そしてミニバンから降りたのは木のように太い腕の男と後ろから黒いコート、黒い長ズボン、黒いシャツを着た男達だ。

「おやおやぁ?まさかあれぐれぇで壁が飛び散るとは……流石メイドインアメリカのパワーと頑丈さだ。」

木のように太い腕を撫でながら男は言った。

腰を抜かし、ガタガタ震えている永井は言った。

「き、き、君達はい、一体なんだ⁉こ、こんな事していいと思っているのか⁉」彼自身何が起こっているのか、分からずただ目の前にいる男達に言ってるにすぎない。

「そ、それに何だ……その腕…………き、機械?何だ……一体なんだんよぉ!!」永井は叫んだ。木のような太い腕を見て、その腕の色は人間の肌の色ではなかった。まるでロボットのような腕だ。鉄で作られた腕だ。

「お、まさか知らないのか?………面白い事を考えた。先生さんよぉ、一つ問題だ。俺は何者でしょうか?」そう言った彼はニヤけた。

「な⁉き、君の事など知らん!!と、とにかく来るな!!!近づいてくるな化け物!!!」永井は叫んだ。心の底から叫んだ。目の前には鋼鉄の腕をしている男だ。永井の脳には逃げろ!逃げろ逃げろ逃げろ!!と叫んでいる。

「不正解だ。先生。罰ゲームだ。」そう男が言った瞬間、四人の男達はニヤっとまるでイタズラを思いついた子供見たいに笑った。

永井にはそれが何なのかは分からないが嫌な予感がした。まるで死んでしまうような予感が。

「罰ゲームだ!ハーーイ!クラスのみなっさーん!これから俺たちと鬼ごっこをしてもらいまーす。鬼は俺たちがやるから君達は逃げてねー。全員捕まったら先生は見逃し、君達を誘拐します。だ・け・ど、一人でもこの学校から出たら先生は俺たちに殺されまーす。」


永井は腰を抜かし、ただただ目の前の化け物を見てた。いや、ただその方向を向いてたというべきか。

永井の目に光はなかった。子供のようなキラキラした純粋な目をした男達とは対象に目の光をすべて失った。余りの恐怖に彼は尿を漏らした。だが、そんな事は一切気にしてない。自分は死ぬ。あの糞餓鬼共のせいで死んでしまう。私は餓鬼よりもずっと価値のある人間なんだぞ。永井財閥の人間なんだぞ!!それがこんなところでこんなドブねずみに殺されるのか!嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!死にたくない!!

彼の脳にはもう希望という文字と意味がないのだ。

「いぃ〜い生徒だぁ。てめぇの命はてめぇで守る。その為には他人なんざしらねぇとこった!これが人だ!人類だ!!綺麗事を口でベラベラと語っても実行なんざ出来ねぇんだよ!!この世に英雄はいても、ヒーローという糞ったれなんかいねぇんだよ!!!」痩せこけた男は叫んだ。まるで全人類に言い聞かせるかのように………。

「まぁ………馬鹿は今ここにいるけどなぁ………」痩せこけた男は人影を見た。この状況の中、いてはおかしい人間を睨んで。


睨みつけられビクッと身体を動かした人がいる。155余りの身体で顔立ちは整っており、異性から人気がありそうな浅野であった。平均的な身体は今ガタガタと震えている。全身に恐怖と悪寒を感じて震えているのだ。だが、彼女はそれで腰を抜かしたり、足が竦むことはなかった。それどころか、必死に立っていた。いますぐにでも気絶しそうな顔からは必死にもがく様子が伺える。

彼女は十分すぎる恐怖を味わっている。教室の橋には吹っ飛ばされたクラスメイトが血まみれになって倒れ、目の前には腰を抜かし、恐怖で正気を失いかけている永井とそれと向き合っている化け物と男達がこっちを睨んでいる。だが、睨んでいる目線は浅野ではない。

「おい、お前何だそれは。」化け物は睨んでいる。浅野の隣にいる生徒を。

175ぐらいで少し細身の男を。

浅野は睨まれている方へ顔を向けて仰天した。何故ならそこに疾鷹 仁がいた。彼女は彼がいる事に気がつかなかった。こんなにも近くにいるにも関わらず、気がつかなかったのだ。視野が異常にも狭くなっていたのだ。目の前の現実が目に焼き付き離れないのだ。

だが、彼女は仁がいることで少しばかりの安堵を感じた。自分だけではない。一人だけではないと感じた。

今、彼は彼女にとって一つの精神安定剤だ。いるだけで少しは恐怖も悪寒も緩む。それだけの安堵が彼女を包んだ。

「別に…ただお前らみたいな糞ったれの為に此処から出たくねぇだけだ。」

彼女はまた仰天した。そして、凝視した。今の言葉は彼が言ったのかと。さっきまでの言葉使いとはまるで正反対。彼女の安定し始めた精神が揺れる。ここからは見たらヤバイ。何かがヤバイ。浅野の中で何かが張り始める。

男達は顔を見合わせ、腕を少し伸ばし手を平にし、首を振り、呆れてるポーズをしてた。

「そいつを殺すんだろ?殺せよ。」仁の口から出たのだ。男達からではない。初対面の時や授業中の言葉使いからでは想像出来ない口の悪さだ。

それを聴いた浅野は勿論、気絶しそうな永井まで、耳を疑った。逃れれる希望を一瞬にそして完璧に崩れたのだ。

そして、永井の口から泡が溢れ、上半身が床に着いた。もう死ぬと精神と肉体が一致し、身体の機能をほぼシャットダウンした。動いているのは最低限の心拍、口での呼吸だけだ。脆い、脆すぎる。希望を無くし、絶望しかない時、人の脆さがすぐに現れる。

それとは対象に男達を睨み合いをする。仁には絶望という文字はなかった。まるで彼も人間を超えた何かに浅野は見えた。ずっと走ってる緊張が更に加速した。彼女も時期に知るだろう。一瞬だが、彼の姿を。


あんなにも冷静であざ笑う余裕を持った、男達にイライラが走る。

原因は"ただの"男、しかもまだ高校生の少年が睨んでいるからだ。自分たちに恐れるどころか今すぐにでも殺すとでも言ってるように見える。

彼等はイライラした。あの小僧は俺が殺す!ギッタギタにし、四肢を塵のように粉砕し、その憎たらしい顔を踵で潰してやる!!!そう思ったのは鋼のような腕を持った男だ。彼の中には自信があった。根拠はやはりその腕だ。

他の人にはない、オリジナルの腕だ。

あんな餓鬼の為に使うのにも気に食わん。だが、そうまでしねぇと気が済まない。奴は俺が殺す!ぶっ殺してやる!!彼の脳にはそれしかない。ただ目的があるため、ストッパーをしてるしかなかった。そうだ。あんな餓鬼でも捕獲対象だ。落ち着け、落ち着んだ。心を冷静にしようとした時。「おい。俺を殺すって見え見えだぜ。それとも、そんな腕では虫すら殺せないのか?」仁の一言がストッパーを壊し、彼の脳より速く彼は肉体が走った。目的は変わった。これは個人的により、まずはあいつをぶっ殺してやる!!

遅れて脳がそう考えた。

距離は10m弱、すぐに詰めた。仁は動かない。恐怖で動けないかもしれない。だが、そんな事はどうだっていい。殺す!殺す!殺す!殺す!ついにその腕を振り下ろせる距離に近づいた。そして腕を振り上げ「へい、少年。俺たちを知ってるか?さっきの答えだ。俺たちはサイボーグだ。肉体の一部を機械にし、人間を超える者になる。つまり俺たちはエリートだ。人を超える人間なんだ!!それを今すぐに証明してやる。」そう言い放ち、男は上げた手を仁に向け振り下ろした。

轟音ととに……


浅野は目をつぶるしか出来なかった。

これ以上血を見たくなかった。誰だって想像出来る。仁の身体がグシャグシャと潰れているのが。

もう駄目…そう思った時。

「な…何故だ。なんで……」その言葉を聞いて浅野は少し目を開いた。そこには鋼の腕をしっかり受け止めている仁の姿があった。腕を×字にし、受け止めているのだ。浅野は見た。その腕の変化を。少しずつ、少しずつ仁の腕が変化していってる。そう、受け止められている男の腕のように変化していってる。一方男の腕からバチバチっと電流の音が聞こえた。中に入ってるケーブルや配線が飛び出ているのだ。男の顔は痛みからなのか苦虫を潰したような顔をし聞いた。「お前は⁉お前は一体なんなんだ!!」当然である。相手はただの人間だ。改造してサイボーグなんかよりずっと脆い。だが、彼は違った。受け止めたのだ。逆にこっちの腕がいかれたのだ。そして、男は見た。彼の腕の変化を。

「俺は………」そう小さく言った少年の姿は徐々に変化していった。手から腕へはもうサイボーグのような質感、色をしてる。だが、その割には細い、まるで本当の人間の腕のように見える。教卓にいる男達も動揺を隠せない。まさか、奴もサイボーグなのか。誰もが思った。それでも彼等は冷静に保とうとした。何故なら4対1だ。例え相手がサイボーグでもこっちが有利なのは変わりないのだ。

そして、「しゃらくせぇ!!俺が殺す!!」痩せこけた男の黒い服がバリッと破けそこからあの男のような機械が見えた。その手の甲には穴が空いている。二つの穴が片手ずつに。

「てめぇら、まとめて死ね!!」その直後男は手を真っ直ぐに突くように構えた。手の中は銃と同じ構造をしている。つまり彼は銃がなくても射殺出来るのだ。手の先には仁と男、そして浅野がいた。浅野は何か何なのか分からず、ただ立っていた。呆然に。

仁は気づいた。

そして彼は放った。手の甲から45口の弾が。

浅野は気づいた。もう死んじゃうんだと。浅野は走馬灯を体験した。過去の思い出、家族、親友…一瞬で脳裏に浮かんだ。浅野は覚悟した。

そして発射音が盛大になった。


痩せこけた男の発射音は外まで響き、外にいるラースと奥田のビルまで聞こえた。

「ぬぅ……遅かったか……」ラースは双眼鏡を覗いた。

そこに映るのは倒れこむ少女が見えた。155くらいの少女が。

(糞ったれ………あの野郎め、犠牲者を出しやがって…………ん?)

ラースは双眼鏡の倍率を上げ、彼女を見た。そこには仰向けで手を胸の所に置いてあり、まるで呪いによって眠るお姫様みたいな倒れ方をしている。

だが、重要なのはそこではない。ラースは不思議に思った。そう、少女の周りに血が流れてないのだ。それに何処かに撃たれた形跡は無いのだ。

もしやと思いラースは壁の空いた方を見る。そこには痩せこけた男とガタイのいい男がある者によって壁にめり込まれているのだ。ある者の姿はどんどん変わる。身体の周りから軽い煙を出しその制服からどんどん機械的な身体に変化してゆく。

ラースはニタリと笑った。

(あの野郎…3割か4割ぐらいに力を抑えてやってるな。あの壁で本気を出せば一気に学校が崩壊するからな。)


その者は、銃声になった瞬間に動いた。ガタイのいい男を押すように、常人なら間に合うところかその男を動かす事が出来ない。だが少年は違った。押した瞬間に一気に加速したのだ。

そして痩せこけた男をガタイのいい男ともに壁にのめり込ませたのだ。

痩せこけた男とガタイのいい男はいや、誰もどうなっているのか分からないのだ。やった本人以外は。気づいたら壁にのめり込み目の前にはガタイのいい男が自分を圧迫している。

痩せこけた男は圧迫されたその身体から血反吐を吹き上げた。彼は腕以外は改造されてないのだ。

ガタイのいい男はその少年の圧倒的力と加速により身体にとてつもない衝撃が走った。そして全身の機械筋肉がほぼ破壊されたのだ。内部にある電子機器なんてもうグチャグチャにされ、男は悲鳴を上げた。

「俺は……俺は…マシナリーだ!!!」少年は変わった。あの人間の身体からまるでロボットみたいに全身はシルバーを主に青と赤のラインが入っていた。まるで彼等と同じ質感なのだ。だが、現実は違うのだ。木のように太く強そうな機械の腕が、一般人と変わらない太さの機械の腕が圧倒的に優っているのだ。

まるで違う存在のように。

少年はすぐに壁にめり込んでいる二人の男をトラックに投げ飛ばした。轟音と共にトラックが凹む。二人の男はトラックよりも硬い。だがそれだけの話だ。二人は激痛を通り越し、聞こえない声を叫んだ。特に痩せこけた男は腕以外は生身の人間なのだ。そんな身体でトラックに投げ飛ばされトラックに衝突したのだ。近くにいたもう二人の男は震えていた。立場が一瞬で逆転したのだ。

男達はすぐに逃げた。いや逃げるしか無かったのだ。目の前にいるのは化け物なのだ。サイボーグを軽々と殺せる程の。彼等はプロだ。見たら瞬時に判断した。あの赤く光る目を覗きみたら。

トラックに二人の男を乗せ、一人が運転席に座り、猛スピードで逃げた。

だがそれも一瞬。

トラックは突然爆発した。

トラックは爆発する前に軽い衝撃が走った。

そのあとすぐに爆発したのだ。

「ハァハァ…ふぅ……何とか……ハァハァ間に合っ………オエエ。」嘔吐ししかけているのはビルにいる奥田だ。

「ふん…ギリギリか…もっとあのボロ装置を改善しやがれ。」

そう言い放しながら仁…いやマシナリーから仁に変わりかける者を睨んでいた。

「あの馬鹿はまだ爪がアメぇな。」

マシナリーの身体はすぐに仁に変わった。黒髪で赤い目をした疾鷹仁に、彼は制服のズレを軽く直しながら睨んでいた。

約550mはある距離を正確にラースの顔を睨んで………。


事件はあの後国の特殊機関により、早くも収集を付けた。勿論この事は世論には発表されないであろう。

唯一の事件の目撃者達3年Eの教室は半日ぐらいで修理された。

謎の会社に。

そして国からはサイボーグという存在を忘れるように"多少"の金銭的取引を行った。学生は喜んで受けた。だが、浅野だけは違った。そういう性格だからだ。彼女は金を貰わないつもりなのだ。彼女はかなり面倒な性格である。

浅野は事件の二時間後、病室で目覚めた。彼女はずっと撃たれたと思っていたがその予想は外れていたようだ。

だがそれよりもどうやって助かったのかが気になった。彼女は即退院し、翌日学校へ通った。あんな事件が昨日あったのに関わらず、休む者が少ないとは学校としては有難いが複雑である。

浅野はとりあえず隣にいた記憶がある疾鷹に聞いた。

「ね、ねぇ。疾鷹君、ちょっと良いかな?」

「ええ。それよりも退院おめでとうございます。」昨日の授業の時や自己紹介の時の性格と同じだった。

「あ、ありがとう!いや!そんな事よりも!!」浅野は一瞬笑顔を見せ、直ぐに慌てて真剣な顔で聞いた。

「疾鷹君、どうやって私達は助かったの?あとあのー変な男の………なんか機械みたいな腕をどうやって受け止めたの?」

彼女は真剣だった。浅野の記憶はかなり曖昧だった。ショックで多少忘れているところがある。彼女はそこが知りたかった。

「あぁ、あの後撃たれる直前にSATが来て僕達を助けてくれたんですよ。あの銃声はSATの狙撃班だったんですよ。」彼は一つ目の質問を答えた。

「で僕が何故あれを受け止めたと言うとSATの電子機器妨害弾をあの腕に撃ったかららしいですよ。詳しくは僕も……ただ浅野さんや永井先生を助けるのに必死だったんで。」

彼は苦笑しながら言った。

「そ、そんな無茶な事。だ、駄目だよ!」浅野の目から少しだが涙が出かけていた。

「わ、私なんかのために無茶しないで……もう、見たくないよ………あんな光景…」彼女は顔を下に向けた。

彼女の過去にはある出来事があった。

その出来事に似ていたのだ。

それはトラウマであって誰も触れては欲しく無い所だ。

「すいません…、ですがそれは貴方もですよ。浅野さん。」彼の顔に影が出てきた。

「貴方は永井先生を助けるためにそしてクラスの為に自ら残りましたよね?

それって自分も無茶な事をしたって事ですよ。人は誰かに支えられて生きている。だからこそ、人を支えたくなる。だからこそ、貴方や僕は残った。

違います?」仁は優しい口調で少し悲しそうな笑顔を見せながら聞いた。

浅野は首を縦にふった。

「ならそれでいいんですよ。無茶な事かもしれません。ですが、無茶な事を乗り越えた時それは勇気になるんです。なら僕はそれに従うだけです。」彼は教室の窓を見た。その空は青く染まり、太陽が輝いていた。


そこは暗かった何故なら地下だからだ。ここはヨーロッパドイツの地下だ。ある男が椅子に座りながらコーヒーを飲みモニターを見ていた。

その椅子の左後ろから「駄目でしたか。やはり金を渡した者では信用なりませんね。」メガネを掛けた男は言った。それは白衣を着ており、その白衣は赤く滲んでいた。

「いやいや、彼等は良くやったよ。500万の報酬なのに彼等は億単位の働きをしたんだ。」椅子に座っている男はモニターを、見ながら言った。

「もしや、貴方の探し物を……」モニターを見て気づいた男は言った。

「そうだ。見つけたよ。彼を。」そのモニターに映っているのは彼だ。シルバーを主に赤と青のラインの入った彼が。

「ようやく君を見つけたよ。さぁ、早く帰ってくるだ…………10thよ。」

彼を見てる男の目は子供のような輝いた目をしていた。


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