⑤、~少女と特訓~
狼を助けるための戦闘から帰って来た次の日……
空がまだ薄らと暗い時間だった。
朝日で目が覚める俺はまだ寝ていた。
その時だった。
「……てください」
声が聞こえた。
「ッ!?」
俺は跳ね上がるように起きた。
なんだって、こちらに来て初めて聞く、人の声だったから。
周りを見回すと、人影が見えた。
「誰だ!」
「おはようございます、ご主人さま!」
「ごふっ!」
叫ぶと同時に人影から突っ込むように抱きつかれた。
何とかその人影を確認しようとするが、
「うおっ!? ちょ、やめろ!」
その人影は、俺のお腹の部分に頭を当て、
グリグリしてくる。結構くすぐったい。
何とか離して人影を確認する。
人影の正体は、銀髪の少女だった。
一言で言うと、容姿端麗だ。
銀色の髪に整った顔、肌は色白で少女の可愛さを最大限に引き出す。
俺は、ロリコンではない。決してない。
だけど、こんな可愛い少女を見たらロリコンになるしか……いやだめだ!!
冷や汗をたらしながら少女を見つめていると、少女は首をかしげる。
「どうしたんですか、ご主人さま?」
「いや、え~と、君は誰かな?」
「昨日、ご主人さまが助けてくれた狼です」
「なるほど、銀色に子供……、あってるな。って、魔物は人間になれるの?」
「魔力が高ければなれると思いますが……周りでは見たことは無いですけど」
それは初耳だ。この狼は、他には見た事無いと言ったが、
魔力が高かったら姿を変える事が出来るということは間違って無いだろう。
他に考えれる事は無いからな。
後、特にこの子の魔力は高いだろう。何せ色は銀だ。
色の早見表に載っていない色だ。最低でも、白の上となる。
また、少女をよく見ていると、人とは違う雰囲気を出していた。
何と言うか……なんか違うだよな。後、……
「どうかしましたか、ご主人さま?」
声をかけられ、思考が途中で切れる。なんだっけな、まあいいか。
「いやなんでもないよ、まずは飯にするか、……えーと」
「私の名前はリルです」
「よろしくな、リル。後、ご主人さまと敬語はやめてくれ」
「じゃあ何て呼べばいいで……いいの?」
「灰色……いや、グレイ、だな。グレイって呼んでくれ」
灰色にしなかったのは、異世界に生きて行くために区切りを付けるだ。
……グレイって名前の理由分かるよね? 決して厨二ではない。
断固厨二ではないからな!
「分かった、グレイ」
「さて、飯作るか」
今日は簡単に作る。昨日、帰る時に捕まえた【ブルーバード】だ。
肉は柔らかいが脂肪分は少なめで、ヘルシーで美味しい鳥肉だ。
あぶるように焼くだけで、後は作り置きした木の実のソースをかけて完成だ。
「リルー出来たぞ、鳥肉だ」
「わーいお肉だ! いただきます!」
「はいどうぞ、いただきます」
本当にこの肉柔らかくておいしいな。
元の世界だと高級鳥肉として、間違えなく使われてたな。
リルも美味しそうに食べているのでよかった。
やがて食べ終わり、いつも通り外に探索行く準備をすると、
リルが不安そうな顔で俺を見つめていた。
「どうしたんだリル、なにかようか?」
「グレイ、どっかに行っちゃうの?」
「すぐに帰ってくるから、安心してな」
「いやだ! どっかに行っちゃいやだ! 一緒にいてよ!」
俺にすがりつくようにリルは抱きついてくる。
まだ昨日あったことの恐怖があるのだろう。
それなら一人になるなんて出来ないな。
「……分かった、何処にも行かないよ」
「ほんと?」
俺がうなずくと、笑顔になり抱きついてくる。
とりあえず、暫くは特訓する事にするか。
こんなことされちゃ、拒否すること出来ないしね。
俺は特訓する準備をして外に出る。その時リルが言った。
「何するの?」
「特訓だよ。もっと強くなりたいからね」
「……私もする! 強くなりたい!」
「よし、じゃあ一緒に頑張ろうか」
「うん!」
俺はその日からリルと特訓する日が続いた。
リルと特訓するのは、のんびりとした有意義な時間だった。
とうとう初ヒロイン(でいいのか?)が出ました。
まあ、幼女よりの少女ですが。
後、初の戦闘無しの話になりました。すいません!




