3、模擬戦と惨劇
投稿がかなり遅くなりスイマセン。
今、俺とルーカスは城の廊下を歩いていた。
俺は、疲れ果てていて、
「ハァァ……、やっと魔法の特訓が終わったよ」
「お疲れさん、よくあの姫様の特訓に堪え切ったな」
そう言ってルーカスは俺を労ってくれた。
あの姫様の特訓は地獄だった。
特訓の内容は、『大量の火の玉や合成魔法を転移魔法でひたすら避けたり、合成魔法で相殺させるのを二時間ぶっ続けでする』を一日二セットだった。それも一週間続けた。
なので、かなりの疲労は溜まったが、おかげで魔法を使う技術が上がった。特訓に付き合ってくれたクレアには感謝の意を表して、なんか送らないといけないな。
で、今ルーカスと一緒にいる理由は、朝食後に頼みがあるとだけ言われて、意味も分からずただ一緒にいるだけだった。
なので俺は、
「で、ルーカス、頼みってなんだよ?」
ルーカスは少し苦笑いしながら、
「疲れているところ悪いが、模擬戦の相手になって欲しいのだ」
「(なるほど、クレアの前で疲れている俺に頼むのは無謀だったわけでこうしたんだな)
ああ、べつにいいよ」
俺がそう言うと、さらにルーカスは、
「実は言うと、二対一でやりたいのだが……、もう一人はメリッサだ」
だいぶきつい頼みだった。左手はもう動くが、漆黒のペンダント装着して(この一週間の間にリルから聞いた)、この疲れた体で戦うとなると、さすがにトップクラスの剣士二人はきつい。
「(けど、今の俺はどれくらい強くなっているのか知りたいしな)
まあ、いいよ」
「ありがとな! 今度、恩は返すよ!」
俺の返答を聞いて、テンションが高くなっているルーカスを見ると、それだけで良かったと思える。
そんなルーカスの後ろをついていき、訓練場に着く。
そこにはたくさんの騎士がいて、その中にはひときわ目立つメリッサもいた。
そして、俺に気付いたメリッサが近づいてきて、
「グレイ、お手数をお掛けしてしまいすいません、今日は宜しくお願いします」
と、メリッサの雰囲気に似合う敬語で言って来たため、俺もそれに倣って、
「いえいえ、此方こそ宜しくお願いします」
と言ってみると、メリッサが笑い、それを見て俺も笑う。傍から見たらとてもいい雰囲気だろう。
しかし、そんな俺達を見たルーカスは、
「おい、早く始めるぞ!」
と、不機嫌そうに言ってくる。ルーカスはメリッサの事が好きだと聞いたことがあったので、すぐさまメリッサから離れて準備をする。メリッサも苦笑しながら離れて準備する。
数分後、俺はメリッサとルーカスと訓練場の真ん中で向き合う。武器は、俺が長剣でメリッサが双剣、ルーカスが大剣となっている。勿論、鉄製だ。
また、ギャラリーも集まっていて、クレアとメイもいた。
審判らしき男がやってくる。
「勝利条件は相手の戦闘不能です。念の為、犠牲の指輪を渡しておきますが、なるべく壊さないようにして下さい」
そう言って俺達が頷くと、審判は一歩下がる。そして開始の合図の声が響く。
まず先に動いたのはメリッサだった。近づいてくる速さはとても速く、また、連撃を繰り返す剣撃も速く、強く、そして的確に急所を狙ってくる。大会の時と比べたら別人のようだ。
そんな強くなったメリッサの攻撃をひたすら避ける俺だったが、何度か避けていたら急に攻撃が止み、気付いた時には、前にはメリッサがおらず、そこには巨大な剣を振り降ろそうとしているルーカスがいた。
「うぉぉりゃあああああああ!」
そんな咆哮を上げながら、断撃系の上位技を使ってくる。そんな技受け止めれる訳も無いので、
「奥義――【行雲流水】」
俺が知る、少ない受け流し奥義だ。
【行雲流水】の能力は、魔法は分からないが、物理攻撃なら余程の格上の攻撃ではない限り、全て受け流せる最強の防御技とも言えるだろう。それだけ取得は難しいが、俺は、まあ、いつもの性能のおかげでラクラクに出来るようになったけど。
説明は置いといて、俺はルーカスの攻撃を受け流して、そのまま左腕に剣を斬りつけ、その後、メリッサの方に向かう。メリッサは俺の攻撃に備えるように構えるが、俺は、
「奥義――【獅子奮迅】」
馬鹿みたいに魔力を使う癖に十秒くらいしか発動できない、身体能力の超向上させる奥義だ。
けど、奥義と呼ばれるだけはあり、俺は一瞬でメリッサの後ろを取り、剣を首に目がけて振る。寸止めだが。そこで、試合終了の合図の声が響く。
周りからは気持ちの良い歓声が響く。俺とメリッサとルーカスは集まり、握手をする。そこにクレアとメイも集まって来て、クレアが俺に声をかけようとした時、ある気配に気づいた。
それはとても危なく、嫌な気配で、
「皆!! 急いで伏せろ!!」
俺が声を張り上げて言った時、上から黒いローブを着た奴が来た。
メリッサはすぐさまにクレアとメイを守るように着く。そしてルーカスは、
「お前何者だ! 侵入者として扱うがいいな?」
といって、大剣を構える。そして黒いローブを着た者は、
「侵入者扱いでいいよ。実際にグレイ君と闘いに来たんだから」
と聞いた事がある声で言う。すかさずクレアが、
「貴方、モニョですね?」
「大正解! 良く解りましたねクレア王女?」
そう言って被っていたフードを外す。確かに、あの時の司会者の人だった。しかし、同一人物とは思えないような酷い笑みを浮かべている人だった。
「あなたのことは危険人物として目を付けていましたから」
「そんな事を思われてなんて悲しいねぇ~」
そう言ってわざとらしい泣き真似をする。クレアは、
「貴方の目的は本当にグレイと戦う事なの?」
「本当さぁ、だから戦わせてくれるかなぁ?」
ぞっとするような言葉遣いをするモニョがそう言うと、ルーカスが、
「させるかよ。まず、この人数に囲まれているのに良く言えるな」
と言うが、モニョは呆れる様に、
「ルーカス君、この状態がおかしいとは思わないのぉ? なんでこんなに静かすぎるって事にさぁ!?」
ルーカスは一気に顔を青ざめて周りを見渡す。モニョは何処所からとなくサイズを取り出してこう言った。
「Let's party!」
その瞬間、周りにいた兵士たちの首が転げ落ち、血が天に向かって勢いよく吹き出した。
俺達は余りの出来ごとに何も出来ずにいた。しかし、モニョは、
「あははははぁ!! いいね、いいね、この光景はいつみてもいいよねぇぇぇ! ゴミ人間が死ぬ様は最高だよぉぉ!」
その瞬間、
「てめええええええええええぇぇぇ!!」
怒声を上げながらルーカスがモニョに向かって走っていった。俺はいきなりの事で反応できずにいた。意識を戻した時には、ルーカスはモニョの目の前にいた。だから、おもわず俺は、
「ルーカスやめろおおおおおおおお!」
そして、
ルーカスは、
モニョの前に立っていた。
しかし、
首の無いルーカスが。
首はメリッサの前にあった。
知ってるだろうか、斬られてすぐに首は動くことが出来ることを。
だから、ルーカスの首の目と口は動いた。
その目はメリッサを見つめ、声は出ないが口は動いた。
メリッサも分かっただろうが、俺にも分かった。
その言葉はこうだった。
メリッサ、愛している……
そして、ルーカスは死んだ。




