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⑧、~魔法使いと戦い方~



 次の試合が始まる。テトラvsタルトスだ。

 まずは、タルトスが入っていく。普通は、時間を置いて入るのだが、テトラは時間を置かずに入ってくる。

 観客たちは、微妙な顔になっていた。隣にいるクレアは、少し怒っていた。そして全体に、約束や常識を守らなかった時の雰囲気が漂う。この犯人のテトラはと言うと、「さっさと始めろよ」とか言っていた。これはイラつく。


『……えー、少しトラブルはありましたが、このまま試合に行きましょう!』

 

 なんとか解説者のモニョさんが、強引に持って行ってくれたおかげで雰囲気は戻る。

 そしてカウントがゼロになる。


『試合開始だ!』


 テトラが、まず魔法を使う。


「人格よ、強さを欲す為に狂え――《バーサク》!」


 テトラの雰囲気が変わっていく。そして、目の色は赤に変わる。


「って、武器使っているのに魔法使っていいのか?」


 いままで誰一人も武器と魔法を使っていないため、ふと疑問に思った。ため息をつきながらクレアが教えてくれる。


「ルール上は問題ないわ。 けど、暗黙の了解で、その試合には1つの武器で戦う事になっているわ。 テトラって言う人は、私からしたら常識がない人ね」


「いや、皆も思っているよ。 暗黙の了解だから、必ず守らなければならないと言う訳ではない。 けど、テトラがやっていることは、相手に対する最低限の敬意すらないね」


 俺が怒っていることが以外なのか、顔は見えないけどクレアが、まじまじと見つめてきているのはわかる。


「こんな考え方は以外?」


 俺が、そう言うと、クレアはにっこりと笑う。


「ううん、とってもいい考えだと思うよ」


 口調が変わっていることにはもう突っ込まない。


「そりゃよかった、お、テトラが動き始めたぞ」


 テトラは、タルトスに狂人のごとく斧を振りまわす。

 タルトスはというと、魔法使いではない動きで避けていく。


「タルトスって何者だ?」


「いままで見たことがないので分かりませんが、かなり強いですわね」


 俺と同じ無名の選手か。 なら、最悪な場合の可能性が出て来たな。 

 俺がそんなことを考えている間も、戦いは続いている。


『テトラ選手が猛攻撃をするが、タルトス選手には全然当たらない!』


 しかし、テトラの動きが止まる様子もない。タルトスは見切りを付けて後ろに大きく下がり、魔法を使う。


「《ウインドカッター》」


 詠唱破棄で放つ。テトラは避けるが、タルトスの計算通りだった。


「火よ焼け――《ファイア》」


 今まで見たことのない速さで火が飛んでいき、テトラを炎が焼く。やがて、火は消え、テトラがつけていた指輪が壊れる。

 

『勝者は、タルトス選手だ!』


 観客たちは大盛り上がりだ。中にはテトラを笑う者もいた。テトラは、顔を真っ赤にして控え室へ走り去っていった。自業自得だが、少しかわいそうだった。


「さて、私も行こうかしらね」


 クレアが軽く準備運動をする。そして、闘技場へ進む。


「がんばれよ!」


「もちろん!」


 顔が見えなくて、見えたのは口だけのクレアとここまでよく仲良くなったな~と思っていると、後ろから、緑イケメンのコネルが来る。


「僕を見ていてね、グレイ」


 コネルがそう言って、闘技場に入っていく。一応言っとくが、さっきの言葉に対しては、何も返していません。むしろ、引いていましたから。


『さて、次の試合はコネル選手vsクレア選手です!』


『強力な魔法を使うクレア選手に対して、どうコネル選手が出るか楽しみですね』


『そうですね、さて、間もなく始まります』


 5、4、3、2、1、0


『試合開始だ!』


 まずは、コネルが突っ込んで行く。だが、


「消えたっ!?」


 クレアが突如、闘技場から消えたのだ。対戦相手のコネルは勿論、俺も、魔法に詳しい人達以外は驚いた。だが、すぐにクレアの声が聞こえた。聞こえた場所は上、空だった。


「火よ焼け――《ファイア》!」


「なっ!?」


 コネルが更に驚く。まず、空にいることは勿論だが、空一面に、火の玉が沢山あった。そして、クレアの声と同時に火の玉がコネルを襲う。あんな数を防ぐとか無理なのに、何とか防いで頑張るコネルはみじめだった。

 結局、途中から防げずに火に焼かれコネルがつけていた指輪は壊れる。


『勝者はクレア選手だ!』


 クレアがこちらに向かってくる。


「グレイ、私の戦い方どうだった?」


「面白いよな、マルフォードは策略で勝って、タルトスはランクが低い魔法を上手く使って勝つ」


「で、私は?」


「もの凄く派手で、もっとも俺が好きな様な勝ち方で勝つ」


「ありがと!」


 クレアは、上機嫌に言う。

  

「それより、クレアが使ったあの消えた魔法はなんだ?」


 一番聞きたかったことを、クレアに聞くと、「ああ、あれはね」と教えてくれる。


「ランク5の転送魔法、《ワープ》よ。 あれは魔力抜きにしたら使える技ね」


 《ワープ》か、それも転送魔法と来た。これは、色々と調べる必要があるな。

 

 一旦、ここで放送が入る。


『さて、ここまで進んだのは、マルフォード選手、シルビア選手、メリッサ選手、グレイ選手、クレア選手、タルトス選手、となりました!』


『今回は、初参加の無名選手が4人とは珍しいですね』


『確かに、マルフォード選手とメリッサ選手以外は、初参加ですね。 今回は、楽しい時間が沢山過ごせそうな気がします! さて、次の試合に早速行きましょう! マルフォード選手vsシルビア選手です!』


 2人は、解説の時にもう入っていて、対峙している。カウントがゼロになる。

 先制を決めたのは、シルビアだ。

 シルビアの特徴は、今までの戦いを見て、素早さだろう。それに加えて、細剣レイピアだ。次々と、マルフォードにヒットを入れて行く。あせったマルフォードは、無詠唱で魔法を使う。

 その瞬間、マルフォードが消えた。、ワープ》だ。シルビアは何とか反応しようとするが遅い。もう後ろを向いたときには、シルビアの後ろにマルフォードは現れていた。

 

「《フレイムランス》!」


 マルフォードが、詠唱破棄で唱えた《フレイムランス》は、シルビアの胸を貫く。そして、シルビアがつけていた指輪が壊れる。


『勝者は、マルフォード選手だ!』


 皆、シルビアが勝つと思っていたためか、マルフォードの勝利を讃えていた。


 「いや、《ワープ》凄く使えるな」


「今度、転送魔法の魔導書を貸してあげようか?」


 俺のつぶやきの後ろに隠れていた気持ちをクレアは、見透かして言ってくる。俺は、喜びの声を上げる。


「まじで!? ありがとうクレア!!」


「でも、今度、一つだけお願を聞いてくれるならだけど……どうする?」


 まあ、そうだよな。 こんなうまい話があるわけない。 だけど、もう十分にいろいろ教えてもらっているし、恩を返すのに丁度いいと思い、


「ああ、約束だ。 今度、クレアのお願いを1つ聞くよ」


「交渉成立! けど先に、グレイのお楽しみの時間が来たわよ」


 俺は、後ろを見ると、メリッサがいる。メリッサは俺の横に来て一言言う。


「楽しもう」


「ああ!」


 先に、メリッサが闘技場に入っていく。歓声が闘技場に響き渡る。そして、少し時間が立って俺も闘技場に入っていった。

 

 



 

 

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