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⑦、~3回戦と本気で~


 俺はルーカスの背中を見送る。 最後に言った言葉は気になるが、行ってしまったのでしょうがない。 今は応援するしかないないな。

 ルーカスが闘技場に入った瞬間、大声援が響く。 一瞬、会場が震えるくらいだ。


『ルーカス選手が入場しました、が、この声援は凄い! 流石、アルフェア王国騎士団長! 人気がありますねぇ』


『強さだけではなく、また、人柄もいいですからね』


『本当に羨ましいですね、けど、相手も人気がありますよ!』


『メリッサ選手は、強さも地位もルックスもありますからね、けど、この2人はよく当たりますね』


『今回で4回目ですね、全部メリッサ選手の勝利ですが』


『では、今回はルーカス選手に勝手を欲しいですね、……あの、メリッサ選手はいつ入場するのでしょうか?』


『……メリッサ選手! 急いで闘技場に来て下さい! さもないと、失格にしますよ!!』


 その時、俺の横を人影が通り過ぎる。 そして、その人影は闘技場に入っていく。 そして、大歓声が響き渡る。


『いや~、この大歓声は凄いですね!』


『何より凄いのは、歓声の声が男性より女性が多いってことですよ』


『流石、アルフェア王国、王女直属騎士団長だけはありますね』


 なるほど、強いと思った理由は、メリッサも騎士団長だったからか。 後、ルーカスが全敗とかマジかよ……。

 

『お、メリッサ選手が双剣にして来ましたね』


『やはり、ルーカスには余裕が見せれないってことですね』


 いや、待てよ。 いままで、本気ではなかったということか。 なのに、あの剣捌きだとしたら、ルーカスが負ける理由も分かるな。 その時、声をかけられる。


「横いいかしら?」


「どうぞ、クレアさん」


 声をかけてきたのは、とっても強い魔法使いのクレアだった。 クレアは俺の横に立って、また声をかけて来る。


「いきなりだけど、どっちが勝つと思う?」


「メリッサだな」


「正直なのね、ルーカスと友達にみえたのは私だけかしら?」


「仲がいいのは確かだな。 けど、勝ってほしいのは、メリッサだな。 理由は強いからだ」


「ふ~ん、グレイって見た目に寄らずに戦闘狂なのね」


 いきなり呼び捨てに、戦闘狂って……。 凄い評価貰ったな。


「まあ、戦闘狂ではないかな。 自分の強さを試したいだけだから」


 俺は、とりあえず苦笑いしながら言う。


「え~、私は戦闘狂だから、仲間が出来たと思って嬉しかったのにな」


 いきなり、女の子の口調になって思わず可愛いなと思ってしまった。 ……不覚だな。

 おれは、若干焦りながら謝る。


「ごめんな、とりあえず、もう試合が始まるから見よう」


「ですね。 がんばって! メリッサ!」


 その声と同時に試合が始まった。

 

 最初に仕掛けたのは、メリッサだった。

 ルーカスに向かって、右の剣で縦に強めに斬る。 しかし、ルーカスはしっかり大剣で守る。 だが、メリッサの攻撃は、それだけでは終わらない。

 次に、右の剣を引きながら、左の剣を横薙ぎに斬る。 この動作が速いため、ルーカスは反撃が出来ない。 メリッサの左の剣が、ルーカスの大剣の右横に当たり、その大剣が横にずれて、ルーカスの態勢が少し動く。

 そして次は、右の剣で縦に斬る、の繰り返しを何度も行う。 これが双剣の強みだ。 ルーカスも何とか防ぐが、少しずつおされて行き、8回目ぐらいでとうとう大剣が弾かれる。 メリッサは左の剣で突き、最もがら空きだった右肩に入れる。ルーカスの右肩は深々と削るように刺された。


『ここで、攻撃が入った!! 先制攻撃を入れたのはメリッサ選手!』


『あの速さでの連続攻撃は恐ろしいね、ルーカス選手もよく頑張るよ』


 しかし、ルーカスもこれでは黙っていられない。ルーカスは大剣を上段の構えをとる。


「行くぞ! 断撃、ついノ型――《破滅の断罪》!」


 断撃の事を知らない為、どんな技か分からない。 だけど、危ないことだけは分かる。 なんだってついノ型は、十ノ型の上に位置する型だ。 奥義と呼ばれる部類に入ってもおかしくない。

 ルーカスは、その場で大剣を振る。 メリッサは離れたところにいるのに。 だけど、メリッサはその場から右に大きく避ける。 その後すぐに、メリッサがいたところに見えない剣が落ちて来る。

 

「あの攻撃はなんだよ……!?」


 俺は、思わず声に出していた。 そしたら、クレアが嬉しそうに説明してくれた。


「ルーカスの後ろを見てごらん、靄の様な物がない?」


「ある、……あれは腕か? 後、剣か?」


「そう、腕と剣。 今、ルーカスは技であれを具現化して攻撃しているの。 当たれば即死、けど、ルーカスは3回しか振れないわ。 余りにも1度に使う魔力が大きすぎる」

 

 ルーカスは、次に、横薙ぎに振るう。メリッサはそれを飛んで避ける。

 そして、ルーカスの最後の攻撃は、剣を地面に突き刺した。

 メリッサは上から剣が来るのだろうと、その場から離れる。 が、しかし、剣は下から出て来た。 位置もメリッサが避けたところに。


 だけど、後、少しの所でメリッサに当たらなかった。 メリッサが、ルーカスの予想より避けていなかったのだ。

 ルーカスは、魔力切れのせいでその場に座り込み、降参した。


『勝ったのはメリッサ選手だ!! ルーカス選手もついノ型と、攻撃に出たのですが、後一歩で届かなかった! 是非、次もがんばって所です!』


 観客からは超盛大の拍手と歓声が響く。2人とも疲れた様子で帰ってくる。


「おつかれ、ルーカス、惜しかったな」


 俺が声をかけると、ルーカスは苦笑する。


「後、一歩だったな。 メリッサ、次は勝つからな」


「いいや、次も私が勝つ」


 メリッサもルーカスもにやりと笑いあう。その後、メリッサが俺の方に向く。


「次は君だな。 君にも負けないからな」


 メリッサが俺にそう言って来る。だけど、今の試合を見て思ったことを言う。


「メリッサさん、この試合ではまだ本気ではなかったですよね?」


「……まだな。 ルーカスには悪いが、7割というところかな」


 メリッサは苦笑して、ルーカスは分かっていたような顔をして落ち込んでいた。いつもならかまっているが、今は言いたいことを言う。


「お願いです、俺との試合は最初から本気で来て下さい」


 メリッサが目を大きくあける。周りも同じような感じだった。

 そんな時、次の試合での俺の相手、ホルンが近づいてくる。


「おい、まだ戦っても無いのに勝ちを決定するのは速いじゃないのか?」


 と、俺に行って来るが俺は無視をして、


「で、来てくれますか?」


「おい! 話を「次の試合を見て決めよう」……ちょ、お前らっ!」


「分かりました、ちゃんと見て置いて下さいね」


 完全にホルンを無視して、話を進める。俺は、そのまま闘技場に出る。ルーカスたちほどではないが、拍手や声援はあった。結構嬉しい。

 その後、ホルンが入ってくる。俺よりは、声援と拍手が少なかった。これもまた、ちょっと嬉しかったりもする。

 俺は、闘技場の真ん中でホルンと対峙する。そしたらホルンが、ころ何とか、とブツブツ言って真っ赤な顔をしている。どうしたんだろうな。


『さて、アーリーさんの一押しのグレイ選手と何故か、顔真っ赤のホルン選手の試合が始まろうとしています』


『いや~、グレイ選手に期待したいね』


 解説の褒め言葉が嬉しいことは、隅に置いとくとしよう。さて、始まる。

 5、4、3、2、1、0


『試合開始だ!』


 けど、その後に、「パリィーン」と音が響く。その音が何なのか、俺と一部の人しか分からなかっただろう。ホルンも気づいていないようだ。しかし、ホルンは青ざめて自分の指輪を見る。

 ホルンの指輪は、壊れていた。いや、俺が壊した。

 俺は、始まってすぐにホルンを斬った。その後、もといた位置に戻った。この時の速さはいつもの10倍の速さは出していた。なので、ほとんどの人には、俺が動いていないように見えるだろう。まったく、我ながらにこの強さはあきれる。

 なんとか、審判が俺の勝利を告げる。周りの観客も唖然としている。一部から、拍手が聞こえるが。


『……グレイ選手のあの動きはどう見ますか?』


『僕たちとはレベルが違うね。 今回のダークホースだろう』


『ですね、とりあえず皆さん、拍手をお願いします!』


 盛大の拍手が響いた。さっきまで唖然としていたのにな。


 俺が、戻ってくると、メリッサが手を差し出してくる。


「貴方の実力を見させてもらいました。 あなたが満足できるような強さではないかもしれませんが、本気で戦わせてもらいます」


 メリッサにそう言われて、俺は、メリッサの手と握手して言う。


「ありがとう、此方こそ宜しく! 最後まで楽しみましょう!」


「はい!」

 

「……やっぱりグレイは戦闘狂ですわね」


 今の流れで最後に聞こえた言葉を拒否できるほど、俺は馬鹿では無かったよ。



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