③、~準備運動と舞闘会~
戦闘が多くなっていきます。
「ここが、アルフェアか~でかいな」
約2時間の道のりを通り抜けてきた。
最初に襲われたこと以外は、何も起きずに来れた。
「さてさて、武闘会にエントリーしないと」
とにかく武闘会が行われる闘技場に向かう。
受付のところに向かい、エントリーをしようとする。
「すいません、武闘会に出たいのですが……」
「おっと、ごめんな~兄ちゃん、もう受付終わっちまったよ」
「えっ!?」
まさかの出る事が出来ないパターンかよ……。エリーナさんに時間を聞いとけばよかった!
「……せっかくエリーナさんに教えてもらって来たのに」
「お前さんがグレイか?」
「は、はい。え~と何故名前を?」
「エリーナから教えてもらったのさ。後、お前さんエントリーしてるぜ、昨日の内にエリーナから頼まれていてな」
まじで、エリーナさんに感謝!
「本当ですか! いつから開始なのですか?」
「明日の10時から開始だよ、ほら、お前さんの選手番号だ」
番号は101、最低でも100人以上はいるってことだ。
やばい、それだけ強い奴と闘えると思うと、嬉しすぎて震えが止まんない。
「まあ、明日までしっかり休みな」
俺はとりあえず今日泊まる宿を捜しに行く。
結構大きな宿があり、そこに入ると沢山の戦士や魔法使いなど、武闘会の選手がいた。
俺は忙しそうなおかみさんのとこに行く。
「すいません、ここ部屋空いてますか?」
「ごめんねぇ、もう空いてないんだ」
「いえいえ、此方こそすいません」
俺は、別の宿に向かう。少し小さい宿が見つかる。
入ると、1人の戦士がいた。
「お、あんたも選手で宿捜しているのか?」
「はい、一番大きな宿は一杯で」
「あそこは人気だからな。けど、お前さんは当たりを引いたぞ」
「当たりを引いた……ですか?」
「そう、個々ぞ知る人ぞ知る最高の宿だ!!」
その戦士が大声でそう言っていると奥から主人が出て来る。
「ルーカス! 宣伝してくれるのはいいが、声がうるさい!」
「すまんな、おやっさん、いやここはほんとすばらしいぞ」
「まったくありがてぇけどな……、所でそっちの兄ちゃん、止まっていくかい? 今なら空いてるよ」
「では、泊めさして下さい」
「よし、代金は小銀貨2枚だ」
俺は小金貨を渡し、おつりをもらう。そして部屋の鍵を渡される。
戦士のルーカスが声をかけて来る。
「いまから、お前さんはなにかする予定はあるか?」
「いや、ないです」
「そうか、では一緒に準備運動として外に行かないか?」
「わかりました、少し待っていて下さい。後、自分はグレイといいます」
「グレイか、よし覚えた。外で待っとくからな」
俺はいったん部屋に入って荷物を整理してから外に向かった。
ルーカスは外へ出る門の所にいた。走って近づくと、ルーカスは俺に気付く。
「お、来たな。もういいのか?」
「はい、もう大丈夫です」
「では行くとするかグレイ、後、敬語はよしてくれ」
「わかった、ルーカス」
「さて、あちらに居るウルフから倒して行くか」
その後、1時間程は色んな魔物と闘った。
ルーカスの腕前はとてもすごかった。
全てを力でねじ伏せるような迫力を持ち、魔物から攻撃される前に倒していった。
俺も敵の攻撃を避けて、開いている横から斬るという感じで戦っていた。
ひとまず戦い終わって休みを入れた。
「グレイ、結構やるな」
「ルーカスも凄いじゃん、全ての魔物真っ二つにしているし」
「俺は力だけが取り柄だからな、よし、もう少し休んだら試合をしてみないか?」
「……はい、やりましょう」
俺は対人戦に慣れていなかったので丁度良かった。
また、ルーカス自体も今まで戦った強かった魔物たちと同等の強さはありそうだ。
10分ぐらい休み、その後俺たちは向かい合う。
そこで、ルーカスが袋から木の大剣と長剣を出した。
「その袋どうなってんの?」
「これは、《ディメイション・ゲート》がかけられている袋だ。ほぼ無限に道具を入れられて重さも変わらない。1つで金貨1枚する」
ルーカスはそう言ってこちらに木の長剣を投げて来る。
俺は、受け取りそれをゆっくりと構える。
「さて、始めるか。先にかかって来な」
「じゃ、遠慮なく!」
俺は走って剣を腕に打ち込む。しかし、ルーカスはそれを避ける。
ルーカスは笑いながら、
「横がガラ空きだ! ふん!」
剣を振ってくる。しかし、その剣は魔力を包んでいる。まるで、《パワースラッシュ》かのように。
俺は、剣で何とか受け流して距離を取る。
「いまのは《パワースラッシュ》か?」
「そうだ、よく避けたな」
「ちょっとタイム、1つ聞きたい。剣術って掛け声なしで使えるのか?」
「は? 決まってるではないか。いちいち言っていると、敵にはばれるし面倒だ。しかし、行った方が威力が上がるのは確かだな」
普通に考えるとそうじゃないか。だってあの本にはいって使うようにと書いていたからな。
この馬鹿なくせ、無くしたいよ。
「あと、魔法の詠唱も無くすことができるぞ。こちらも、威力は弱まるらしいがな」
「……ありがとうございます」
知れて良かった。これで大分戦いやすくなったな。
ルーカスは剣を再度構える。
「じゃあ、始めるぞ」
「おう!」
戦って分かったことは、ルーカスの力は本当にすごいことだ。
剣速は速く、受け止めたら折れるであろう馬鹿力。
何度も避けて、何度も受け流して、隙を窺う事しか出来なかった。
ルーカス視点……
グレイと戦ってみて分かったことは、とにかく凄い感覚を持っていることだ。
こう見えても俺は、このアーガーデンの3大国と呼ばれるアルフェア王国の騎士団長だ。
その騎士団長の攻撃を何度も避け、または受け流していく。
避けるのも、あらかじめ予測している避け方だ。
今まで、何度も戦ってきていることが分かる。
楽しいがそろそろ決着を付けるか。
戻って、グレイ視点……
ルーカスの雰囲気が変わった。そろそろ決着を付けるのだろう。
ルーカスが少し間を開ける。
「これで終わりだ! 断撃、八ノ型――《破断》!」
新しい剣術だろう。分からない技なら手を抜けない。なら俺は!
「剣撃、七ノ型――《クウェイクブレイク》!」
この技は、魔力で振動を出し、何かを破壊するために使う技だ。
俺の長剣とルーカスの大剣がぶつかりつばぜり合いの形になる。
周りには凄い音が響き渡る。
そして決着はついた。
先にルーカスが言葉を発した。
「……負けたな」
「いや、相打ちだろ。つばぜり合いでは俺が逃げたし」
俺は今ルーカスの後ろを取っている。
「つばぜり合いをしていたはずなのに、突然、俺の前から赤い花になって消えた技はなんだ?」
「我流剣術だよ、名前は《桜火影》。
目くらましと身代わりを合わせた技だ。一応、花びらは火魔法だ」
「厄介な技を持っているな」
「いや、これ使うの難しいだよな、もともとから使う予定をしておかなければならないんだよ」
「ほう、では俺の攻撃をもともとから避けるつもりでいたと?」
「ルーカスの馬鹿力に勝てるわけないじゃん」
そう言うと、ルーカスも俺も笑いあった。
「いや、今日はとても楽しかった。明日は宜しくな」
「こちらこそ宜しく!」
俺らは、宿に帰った。
帰って来た時に初めて、ルーカスがアルフェアの騎士団長と聞いた。
強さの意味も納得できてよかった。
部屋に戻って、ちょっと不機嫌なリルと少し遊んで寝た。
明日の武闘会を頑張ろう。
次から舞闘会開始です!
追記
斬撃、七ノ型が間違っていました。
《ウェポンブレイク》→《クウェイクブレイク》に変更しました。
また、グレイVSルーカスの戦闘後、話を変えてみました。
いろいろとスイマセン。