②、~クエストとアルフェアへ~
街に着いた俺はすぐにギルドへむかった。
酒場に入ると、お姉さんが寝ていた。
今気付いたが、お姉さんめっちゃ美人でした。
金髪で身長は高い。また出るところは出ている。
……いや~エロいな。目の保養になるわ。
(……グレイはエッチです)
……リルのこと忘れてた。でもこんな芸術品があったらどうしようもないでしょ!
(……グレイは変態です)
(ごめんなさい……)
こんなやり取りしてるとお姉さんは起きた。すぐに俺に気付き、営業モードに入る。
「あらごめんなさいね。で、どうしたの、竜に怖気づいたかしら? いまならやめる時のペナルティを無くしてもいいわよ」
俺がまだ倒してないと思ってんだよな、まあ、2時間そこらで倒されたらたまらんか。
そう思いつつ、1つ疑問に思う事があった。
「えっと、ペナルティってなんですか?」
「えっとね、クエストを受けて失敗やリタイアする時に発生するお金ね。こちらも冷やかしで受けてもらったら困るしね。」
最後に、君みたいにね、と付けてくる。嫌みなのだろうが、もう疲れていた為、早速クエストを完了する。
「え~、緑竜は倒して来ました」
「……え?」
お姉さんは唖然としている。その後、慌てて正気を戻す。
「倒した証拠としての納入品を渡して下さい」
「はい、この袋の中に竜の角と鱗が入っています。また、他のも全部買い取ってもらったら嬉しいのですが」
俺が袋を出して、お姉さんが確認すると一つため息をつく。
「確かに、竜を倒したことを確認したわ。ランクをFからBに上げさしてもらうわね。また、この緑竜の鱗10枚、角1本で小金貨2枚と交換するわ」
俺は驚いた。お金の相場は分からないからいいとして、問題はランクの上がり方だ。
「そんなに上がるものなのですか……?」
「ちゃんとクエスト用紙を見たかしら? あれは、Aランククエストよ。この早さで倒すのならBランクが適応でしょうね」
「あ、本当にAランクって書いていた。緑だったからBくらいかなと思ったんだがな」
「竜は基本的にAランクよ。後、緑だから弱いっていつの時代をいってるのかしら」
「えっ、魔物って色で強さ決まってるんじゃ……」
「そんなの古いわよ、青色の魔物が同種の赤色の魔物を倒す事なんてあるのだから」
わお、じゃあそこにあった本はかなり古いのか……。
ここで知れて良かったぜ。
そこでリルが言ってくる。
(そんな事も知らなかったのですか?)
(お前知ってたんかい!! 早く教えろよ!)
(いや、まさかグレイが、ば……単純だとは思いませんでした)
(……結構傷ついたぞ、その言葉)
俺がげんなりとしていると、お姉さんは手を出してくる。
「とりあえずお疲れさん、私は、エリーナ、これからもよろしくね」
俺は握手をする。
「はい、宜しくお願いします。ではこれでしつれいします」
「またね~」
俺は急いで別れ宿屋に向かう。
いい加減眠たいのだ。
俺は、視線を感じながら街の宿屋に入って、久しぶりのふかふかベットで寝た。
次の日……
俺はいつも通り朝日で目が覚める。隣では、人姿のリルがいる。
リルは魔力があればいつでも人に戻れる。
しかし、魔力をためる方法が月の光に当たることだ。
この世界では、月が出るのは大体、夕方の5~6時だ。で、落ちるのが朝方の5時ぐらいだ。
なので、当たれる時間は約12時間だ。人になれるのはその半分の時間だけだ。
俺が魔力をやってもいいのだが、リルは、「この件ではグレイに甘える訳にはいけません」と拒む。
拒まれるのはちょっと悲しいが、それもまたリルの可愛いとこなので、言う事を聞いた。
俺が頭をなでると、リルが目を開ける。
「おっと、起こしてしまったな。ごめんな」
「いえ、おはようございます、グレイ」
「おはよう、リル」
改めてもう1度頭をなでる。これが現在の日課だ。リルは気持ち良さそうに目を細める。
やがて満足したのか目を開ける。
「さて剣に戻ろうと思います」
「おう、今日もよろしくな」
リルは1度頷き、剣に戻る。すぐに宿屋を出ると同時に、お姉さんのエリーナが外で待っていた。
「おはよう、グレイ君」
「おはようございます、エリーナさん。こんな朝早くからどうしたんですか?」
「これをグレイ君に渡したくてね」
はい、と渡されたのは一枚の紙だった。
書いてあることを読む。
「え~と、武闘会……?」
「そう武闘会、アルフェア国で行われるわ。昨日の貴方の目を見ると、もっと強い人と闘いたいって言ってたから、どうかなって持って来たのよ」
俺そんな目してたのかよ……、確かに間違って無いけど。
「行ってみようと思います。ありがとうございます!」
「ここから東に20km先にアルフェアはあるわ。がんばって優勝してきてね」
「優勝は分かりませんけど、頑張って来ます!」
俺は手を振り、街の外に出る。……今頃だけどこの町の名前、ガームって言うんだな。
とりあえずガームの街の外に出て、見えないとこまで来る。
「……ふう、そろそろ出てこいよ。バレバレだ」
俺がそう言うと、ぞろぞろと草むらからガラの悪そうな人が出て来て、俺を囲む。
そこで、リーダー格のおっさんが前に出て来る。
「ほう、俺たちに気付くとは流石に緑竜を倒しただけはあるな」
「お褒めの言葉どーも、で、何の用だ?」
「話が早くて楽だ、端的に言う、その銀の剣と有り金を全てよこせ」
そのまんまの盗賊だった。けど、緑竜を倒した俺に喧嘩売るなんてよほど強いのだろうか。
「……あんたら強いのか? 分かってると思うが、緑竜を倒してるぜ?」
「だけど、緑竜といっても1匹だ。この数には勝てるのかな? 今まで何度もお前みたいなやつを殺してきたよ」
「そうか、じゃあ、かかってきな」
「いいんだな? お前ら殺っちまえ!!」
周りから弓や短剣が飛んでくる。だけどもう遅い。
「風よ、竜巻と成せ――《トルネイド》」
ランク3の風魔法。
いつもは竜巻が移動するが、今は俺を中心にして留まっている。
そんな状態に盗賊たちが声を上げる。
「お頭! ダメだ、あの風のせいで弓や短剣が当たらねえ!」
「あの風がやむのを待つまでだ! 風が消えたらお前ら殺っちまえ!」
「残念だな、風はやむことは無い。大きさを増していくだけだ!」
竜巻はさらに大きくなっていく。そして盗賊たちを巻き込んで行く。
暫くして、風をやませる。
周りには、盗賊達が倒れている。威力自体は強くない為大丈夫だろう。
俺は、リーダーのもとに行く。
「おい、盗賊を今すぐ辞めな。辞めるなら命は助けてやるよ」
リーダーは無言で頷き、その場から走り去っていった。
「まったく、一番上の奴が逃げてどうすんだよ」
ため息をついてアルフェアを目指す。