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異世界に来た俺のチート戦記  作者: もっけ
第0章 (過去編)
10/33

⑨、~油断と守護~

長いです。

 


 コングを倒してから1ヶ月後、あの日から俺達はのんびりとしていた。

 リルの疲労の件もあったし、たまには休むのもいいかなと思って休みを取ってみた。

 そして今、リルと料理中だ。

 手元にある食材は、肉や野菜、香草や木の実、果物まであった。

 休みの間にいろいろと周辺を回って、いい食材を捜していた。

 そしたら、近くにいい食材があった。

 灯台もと暗し、ってやつだな。

 

 早速調理だ。

 今リルには、木の実をすり潰してもらっている。

 木の実のソースは必需品となっていた。

 俺はまず牛肉を焼く。その時に香草も入れて。

 香草には、緑の葉と赤の葉があった。

 緑の葉は匂いを付け、赤の葉はコショウの様な辛味を付けてくれる。

 そして表面が焼けたところで、焼くのを止める。

 次に、じっくり蒸す。中までしっかりと。

 20分ぐらいすると、それを取り出す。

 そしたらローストビーフの出来上がりだ。

 これに野菜、ソースをかけて出来上がり。

 いただきます、……うまい!

 リルも満足そうだ。


「こんな料理が食べれるなんて、グレイと出会ってよかった」


「俺が料理を作れなかったら、用無しって聞こえるんだけど……」


「そんなことないよ~、グレイと出会ってホント良かった!! (ニコッ)」


「最後の効果音がなかったら最高なんだがなぁ!!」


 そんなやり取りをしながら食事を進める。


「そう言えば、グレイって黒の腕輪、まだつけているんだね」


「まあな、いろいろ用があってな」


「もう制御できるんじゃなかったの?」


「できるけどな、……これを付けていると魔力の成長がいちじるしく上がるんだ」


 この黒の腕輪を付けていると、魔力の上がり方が凄かった。

 なので、1ヶ月で最初の魔力に追いつく事が出来たのは、黒の腕輪のお陰だと言っても過言ではない。

 今俺がつけている数は4つ。だいぶきついが、強くなるためだ。


「へえ、まあいいや、次はデザート~」


「話振ったんだから、少しは反応してくれよ……」


 リルは、俺の気持ちなど知らずに果物を持ってくる。

 食後のデザート。果物はリンゴだ。

 中の蜜が口いっぱいに広がる味はたまらない。

 あっという間に無くなっていく。


「グレイ~、まだこれ食べたいから採ってきていい?」


「おお、行って来な」


 リルは走っていく。

 だけど、それが間違っていた。

 もちろん、リルが魔物と出会う可能性は想定内だ。

 しかし、今のリルなら負けることは無い。

 そんな心の油断を俺は持っていた。


 数分すると、俺は気付いた。

 リルの気配が消えていた事に。


「えっ、リル何処にいるんだ!!!」


 大声で叫ぶが声は帰ってこない。


「何処に行ったんだよ……!!」


 俺は森を駆ける。

 いろんな場所を周ってみるが、見当たらない。

 そして前にコングと闘った所の近くに着く。

 その時、微かにリルの気配を感じた。


「リル!! そこか!」


 その方向に行くと頭から血を流したリルが木の下で倒れていた。

 俺は急いでリルのもとに駆け付ける。だが、



 ドスッ、ドスドスッ、


 辺りに鈍い音が広がる。

 最初は分からなかった音は、すぐに分かった。

 俺の背中に矢が刺さった音だった。


「っ!!!!」


 余りの痛みに声が出ない。

 急いで回復しようとしたが、身体が痺れて声が出ず、また動けない。


(これは、麻痺か……)


 こんな簡単な罠に引っ掛かりピンチに陥る。

 自分で自分を思いっきりののしってやりたい。


 奥から、魔物が現れる。

 ゴブリンだ。色は、……赤だった。

 また、周りからぞろぞろと橙色のゴブリンが現れる。


「ふん、この頃調子に乗っている奴がいると聞いてやってきたが、

こんな簡単な罠にかかるとはなんて情けない奴だ」


 レッドゴブリンが俺が使う言葉で、俺を罵る。

 周りのオレンジゴブリンも笑っている。


「こんなクズはさっさとるか!」


 レッドゴブリンは、手斧を振りおろす。


 ――――終わった。


 死を覚悟した。


 その瞬間、衝撃な光景があった。


 リルが前に現れた。


 そして、斧がリルを襲う。


 そしてリルを裂く。


 リルの上半身・・・が俺のもとに飛んでくる。

 俺は動かない身体で受け止める。

 目の前にはリルの顔がある。

 そして口が動く。


 ありがとう…………

 

 弱弱しく笑う。そして、リルは砕け散った。



  ――――プチッ――――


 俺の中で何かが切れる音が響いた。


過去編は次で最後です。

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