(2)あれは一体何だったのか?
今回は、私、釜沼が実際に体験した不思議な話です。あまり怖くはありませんが、よろしければ、話にお付き合い下さい。
これは、私が実際に体験した話である。
この話は、番外編として、怖いというより不思議な話という事をあらかじめお断りしておく。
この日、私は仕事の残業で、会社を21時に退社した。
自宅に帰る為、車を運転し途中、山道にさしかかった。
この山道は、毎日、通勤で通るのだが、10Km程にわたって民家は無く、日中でも、人が歩いているのを見た事が無かった。
ここ一帯は、寂しい場所で、途中には池があったり、霧も出やすかったりする。
日中でも、独特な雰囲気があるのに、夜ともなれば、更にその雰囲気が増してくる。
また、この山道は、外灯が全く無く、夜はライトを消してしまうと、真っ暗である。
この日は、月が出ておらず、真っ暗な山道をヘッドライトを頼りに車を走らせていた。
車のヘッドライトが照らす前方には、対向車は無く、いつも通り、歩いている人なんて、いない筈であった。
ところが、前方に何かいる。
ヘッドライトをハイビームにすると、判るのだか、少し離れた前方を何かが歩いている。
人だ!
こんな時間に真っ暗闇な中を1人で歩いている人がいるなんて。
私は驚いた。
近づくにつれて、歩いている人物は、女性で服装から見て、女子中学生か高校生に見えた。
すぐに、その女性を私は、抜き去ったが、バックミラーを見て、ある事に気付いた。
この女性は、ライトの様な明かりになる物を持っていなかったのだ。
車が離れると、女性の姿は、闇に包まれてすぐに見えなくなったが、明かりがつく様子は無かった。
こんな気味の悪い山道を女性1人で、しかもライトも無しで歩くものだろうか。
私も試しに、車のヘッドライトを消してみたが、すぐに闇に包まれて全く何も見えなかった。
自宅に帰った私は、親にこの話をしたのだが、笑うかも知れないという予想に反して、意外な返事が返ってきた。
「その女の子、足はあった?」
「足は、あったさ。普通に歩いていたよ」
「足首の先まで、ちゃんとあった?」
「いや、そこまでは、ちょっと見ていない」
「そう。あんた、車を停めて、話し掛けたりしなくて良かったよ。あの場所は、何が出てもおかしく無いから」
車を停めた方が良かったのではないかと思っていた私は、その一言で黙ってしまった。
あの女性は、民家も無い、真っ暗な山道をなぜ、あんな時間に、しかもライトも持たずに1人で歩いていたのだろうか。
今、考えてみても不思議である。
あの女性は一体何だったのだろうか?
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。世の中、色々な人もいますから、あの様な人もいるのかも知れませんが、やっぱり不思議です。