表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

(1)真夜中の視線

今迄、短編で書いていたホラー話を今回から、背寒夜話として、まとまった形で投稿する事に致しました。

まず、第一回はエレベーターに纏わる話です。


エレベーターにまつわる怖い話をあなたは、知っているだろうか。


深夜、マンションの1階で男が、エレベーターが降りて来るのを待っている。

エレベーターが到着し、ドアが開く。

すると、中に1人の女が乗っている。

男は、女がエレベーターから降りて来るだろうと思い、待つが、女は降りようとしない。

変な女だと、思いつつ男が乗ろうとすると、中の女がこう言う。


「このエレベーターは、下に降りるのですが」


男は、3階に行きたかったので、乗るのを諦める。

ドアが閉まり、エレベーターは、下に降りていく。

しかし、何故かすぐにドアが開く。

おかしい。

今、降りて行った筈なのに。

どう考えても、今、エレベーターが到着する訳がないのだ。

訳がわからないまま、男はエレベーターの中を見る。

中には、誰も乗っていない。

男は、この時、ハッとする。

このマンションに地下はない。

下に行く筈はないのだ。

もし、あの時、エレベーターに乗っていたら、どうなっていたのか?

エレベーターに乗っていた女は何だったのか。


こんな話もある。

1階でエレベーターに乗り、目的の階のボタンを押そうとする。

この時、おかしい事に気付く。

この建物は、10階建てで、10階までのボタンしかない筈なのに、なぜか今日は、11階のボタンがある。

興味がわいて、11階のボタンを押そうとするが、何か嫌な予感がして押すのをやめる。

翌日、エレベーターに乗った時、ボタンを見るが、11階のボタンはない。

あの時、ボタンを押し、無い筈の11階に行ってしまったら、どうなっていたのか。


いずれも、都市伝説になっている話なので、聞いた事がある人もいるだろう。

では、こんな話はいかがだろう。

エレベーターに、あなた 1人が乗っているとする。

時間は深夜だ。

1人でいると心細くもあり、少しずつ恐怖心が出てくる。

感覚も次第に研ぎ澄まされていく。

すると、私の後ろに何かいるんじゃないかと思い始める。

更に気配まで感じてきた。

私の後ろに何かいる。

でも、怖くて後ろを振り返れない。

どうしよう。

見るべきなのか。

思いきって、後ろを振り返る。

その時、あなたが目にする物は一体何か?

これと似た様な事を私の友人の知人が体験する事となった。

それでは、その体験談を紹介しよう。



会社員のAさんは、残業で遅くなり、深夜の帰宅となった。

Aさんの自宅は、マンションの30階にある。

30階に上がる為、Aさんは1階でエレベーターを待っていた。

時計を見ると、もう1時だ。

エレベーターが到着し、ドアが開く。

見ると中には、誰も乗っていない。

まあ、こんな時間では、誰も乗っていないのが、普通だろう。



Aさんは、エレベーターに乗り、30階のボタンを押す。

ドアが閉まり、エレベーターが動き出す。

30階に着くまでは、少し間がある。

間をもて余したAさんは、口笛を吹き始めた。

Aさんの好きな曲の音色が、室内に響く。

すると、


ククククッ


Aさんの背後から、何か音がした。

Aさんの口笛が止まった。

何の音だ?

いや違う、音じゃない。

声だ。

押し殺した様な声だ。

笑い声の様にもとれる。

Aさんは、考えた。

エレベーターには、誰も乗っていなかった。

今、自分しかいない筈なのだ。

なら、おかしいではないか。

自分以外に声を出す者はいない筈なのだ。

急にAさんの頭の中に、以前聞いた、エレベーターの怪談話がフラッシュバックの様によみがえった。

あっという間に鳥肌が立ち、背筋が寒くなる。

いや、いや、こんな事、考えるな。

考えるから、怖くなるんだ。

気のせい、そう、気のせいだ。

自分は、疲れているから、有りもしないものが聞こえるんだ。

Aさんは、気を取り直して、もう一度、口笛を吹き始めた。


ククククッ


また、聞こえた。

今度は、間違えない。

自分の空耳じゃない。

小さな笑い声だ。

やっぱり何かいる。

それも、自分の後ろに何かいる。

しかも、強い視線の様な物を後ろから感じる。

Aさんは、後ろを見るかどうか考えた。

怖い。

やっぱり怖い。怖いが、でも振り返ってみたい。

いや、振り返ってどうなるというのか。

見てはいけない物を見てしまうだけではないのか。

見てしまった後は、どうするつもりだ。

Aさんは、迷った。

迷ったものの、とうとうAさんは、意を決して後ろを振り返った。

Aさんの目の前には、何もいなかった。

あんなに、はっきりと聞こえたのに、全部自分の気のせいだったのか。

怖いと思う気持ちが聞かせた幻聴だったのか。

Aさんは、どっと力が抜けた。

いつの間にか出ていた額の汗を拭いながら、前を向いた。

エレベーターは、25階にさしかかっている。

もう少しだ。

Aさんは、早くエレベーターから出る事を考えた。

また、口笛を吹こうとした時、左肩に何か感触があった。

何かが自分の肩に乗っている。

それは、少しずつ力を込めるかの様に肩に食い込んでくる。

Aさんは、硬直したまま、まるで機械が動くかの様にじわじわと首を動かし、左肩を見た。

左肩は真っ白な手にがっちりと掴まれていた。

Aさんは、声も出ず、肩を掴む手をじっと見つめるだけだった。

次第に血生臭い匂いがしてくる。

何かが耳元でささやく。


ミエタカイ


エレベーターの照明がふっと消えた。



これを読んだ皆さんもエレベーターに乗る機会は、多いだろうが、深夜に1人で乗る事は、私は、お勧めしない。

もし、視線を感じ取ってしまったその時は…

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

次回も背中がクールになる話をお届けいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ