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大丈夫だよ
ーーーーーー1942年ーーーーーーーー
日本に原爆が落とされる3年前
二人の幼い兄弟の悲しいお話です
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目の前には、焼け野原が広がっている
そして、たくさんの死体がころがっている
「兄ちゃん。ボク死にたくないよ。」
弟の、慶太は弱々しく兄に泣きすがる
「大丈夫。兄ちゃんが護ってやる。」
兄の寛太は慶太の手を左手で強く握りしめる
「でも・・・、兄ちゃん、腕が・・・。」
慶太は、寛太の無くなった右腕を見た
「心配すんなっ!腕の一本くらい無くても大丈夫だ!」
寛太は慶太を安心させるために笑いながら言った
「うん・・・。」
慶太は、頷き泣くのをやめた
だが、内心寛太は腕を無くした痛みで今にも狂いそうだった
「お母さん、何処行ったんだろ。」
俯きながら慶太は呟いた
「・・・・・・。」
黙って小さな慶太の手を見つめていた
(母さん・・・。どうして・・・。)
心の中で寛太は泣いていた