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荒神紀  作者: 智趣閑者
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第二節:廃社への道程

出雲(いずも)地方(ちほう)(あし)()()れた(とき)から、三又(みつまた)勾玉(まがたま)(かす)かに振動(しんどう)(はじ)めていた。(まる)微弱(びじゃく)電流(でんりゅう)(なが)れているかのような、(かす)かな(しび)れが()(ひら)(つた)わる。


慎一(しんいち)は|レンタカーを(はし)らせ、(やま)あいの集落(しゅうらく)へと()かった。手帳(てちょう)(しる)されていた「櫛名田(くしなだ)神社(じんじゃ)(あと)」は、最新(さいしん)の|カーナビにも登録(とうろく)されていない。地元(じもと)(ひと)()くしかない。


最初(さいしょ)(ふた)つの集落(しゅうらく)では、(くび)(かし)げられるだけだった。「櫛名田(くしなだ)()いたことないなあ」「神社(じんじゃ)(あと)なら、あっちの(やま)にいくつかあるけど……」


(みっ)()集落(しゅうらく)で、(よう)やく()がかりが()つかった。公民館(こうみんかん)(まえ)日向(ひなた)ぼっこをしていた老人(ろうじん)が、慎一(しんいち)()いかけに()(ほそ)めた。


櫛名田(くしなだ)神社(じんじゃ)(あと)? ……ああ、()ってるよ。杉山(すぎやま)(じい)さんなら(くわ)しいだろう。あの(やしろ)最後(さいご)神主(かんぬし)さんの息子(むすこ)だからな」


老人(ろうじん)(つえ)をつき(なが)()()がり、集落(しゅうらく)(おく)(ゆび)さした。「あそこの(あお)屋根(やね)(いえ)だ。でもな、あそこに()きたいって()うのかい?」


慎一(しんいち)(うなず)いた。「はい(はい)(いえ)調査(ちょうさ)で……」


老人(ろうじん)(ふか)溜息(ためいき)をついた。「あの(やしろ)はな、(ただ)廃社(はいしゃ)じゃないんだ。杉山(すぎやま)(じい)さんも、簡単(かんたん)には(おし)えてくれんと(おも)うよ」


(なに)か……問題(もんだい)()ったんですか?」


問題(もんだい)って()うか……」老人(ろうじん)言葉(ことば)(えら)ぶように()()いた。「(おれ)子供(こども)(ころ)までは、()(ちい)さな(ほこら)()った。戦前(せんぜん)から()ったんだが、昭和(しょうわ)(はじ)(ごろ)(へん)なことが()きたんだ」


(へん)なこと?」


神懸(かみが)かりだ。(とし)一度(いちど)(まつ)りの(とき)巫女(みこ)さんが可笑(おか)しくなった。『(いにしえ)契約(けいやく)(あらわ)れる』『国津(くにつ)天津(あまつ)(えにし)(ほころ)びる』って(さけ)(つづ)けてな。それからというもの、あの(やしろ)では神懸(かみが)かりが続発(ぞくはつ)するようになった。普通(ふつう)(むすめ)(きゅう)古代(こだい)言葉(ことば)(しゃべ)()したり、()(なか)平気(へいき)(ある)いたり……」


老人(ろうじん)(こえ)(ひく)くなり、周囲(しゅうい)警戒(けいかい)するように()(まわ)した。


最後(さいご)宮司(ぐうじ)さんは、(やしろ)()じた。『(わざわ)()』だから(さわ)れるな、二度()(ちか)づくなって。それからもう七十年(ななじゅうねん)(ちか)く、あの一帯(いったい)には(だれ)(はい)らなくなった」


(わざわ)()……」


(そう)だ。()いか、(わか)いの。あそこには()かない(ほう)()い。(むかし)から、あの(やま)(はい)って(もど)ってこない(もの)何人(なんにん)もいた。みんな『神隠(かみかく)しに()った』って()われてな」


老人(ろうじん)(そう)()うと、もう(なに)(かた)ろうとしなかった。


(あお)屋根(やね)(いえ)は、集落(しゅうらく)一番(いちばん)(おく)()った。(にわ)には手入(てい)れの()(とど)いた(まつ)()(あり)(いえ)(つく)りも古風(こふう)(なが)(しつ)()い。(かつ)ては由緒(ゆいしょ)()家柄(いえがら)だったのだろう。


慎一(しんいち)が|インターホンを()すと、しばらくして(とびら)(ひら)いた。(あらわ)れたのは(せい)(ひく)い、しかし背筋(せすじ)()びた八十歳(はちじゅっさい)()える男性(だんせい)だった。()()んでいて、(するど)観察眼(かんさつがん)(かん)じさせた。


杉山(すぎやま)(もう)します。何方(どなた)ですか?」


(はじ)めまして。櫛名田(くしなだ)慎一(しんいち)(もう)します。祖父(そふ)櫛名田(くしなだ)幽学(ゆうがく)というもので……」


慎一(しんいち)名乗(なの)ると、杉山(すぎやま)老人(ろうじん)表情(ひょうじょう)(かす)かに(うご)いた。その変化(へんか)一瞬(いっしゅん)だったが、(たし)かに()った。


幽学(ゆうがく)さんの……御孫(おまご)さんか。随分(ずいぶん)(おお)きくなられたなあ。最後(さいご)御会(おあ)いしたのは、(きみ)()小学生(しょうがくせい)(ころ)だった」


老人(ろうじん)慎一(しんいち)(いえ)(なか)(まね)()れた。座敷(ざしき)(とお)され、煎茶(せんちゃ)()される。慎一(しんいち)手帳(てちょう)()()し、神社(じんじゃ)(あと)のことを(たず)ねた。


杉山(すぎやま)老人(ろうじん)(なが)(あいだ)(だま)っていた。茶碗(ちゃわん)()った()(かす)かに(ふる)えている。


「……幽学(ゆうがく)さんは、あの(やしろ)のことを調(しら)べていたのか。そして(きみ)も、その(あと)()ごうというのか」


祖父(そふ)(のこ)した手帳(てちょう)に、あの(やしろ)に『出雲(いずも)(いし)』が()ると()いてあったんです」


出雲(いずも)(いし)……」老人(ろうじん)()()じた。「ああ、(そう)か。幽学(ゆうがく)さんは(つい)に、あれを()つけようとしていたのか」


老人(ろうじん)(ゆっ)くりと(かた)(はじ)めた。


櫛名田(くしなだ)神社(じんじゃ)は、(もと)(ちい)さな(ほこら)()ぎなかった。しかし、その起源(きげん)(ふる)い。伝承(でんしょう)()れば、須佐之男命(すさのおのみこと)櫛名田比売(くしなだひめ)(めと)り、この()(しばら)(とど)まった(とき)()てたものだという」


「では、本当(ほんとう)神話(しんわ)関係(かんけい)が……」


関係(かんけい)どころか」老人(ろうじん)()(するど)(ひか)った。「あの(やしろ)は、神話(しんわ)そのものが現世(げんせ)(きざ)まれた場所(ばしょ)なんだ。(わたし)(ちち)――最後(さいご)宮司(ぐうじ)(こう)()っていた。『この(やしろ)契約(けいやく)()である。須佐之男命(すさのおのみこと)大国主神(おおくにぬしのかみ)(くに)(ゆず)るという約束(やくそく)を、(かたち)にしたものだ』と」


慎一(しんいち)(いき)()んだ。(まさ)手帳(てちょう)()かれていたことだ。


「その契約(けいやく)(あかし)が、『出雲(いずも)(いし)』なんですか?」


老人(ろうじん)(うなず)いた。「(やしろ)本殿(ほんでん)床下(ゆかした)に、契約(けいやく)(うつ)しが(いし)(きざ)まれて()められている。代々(だいだい)宮司(ぐうじ)だけが()秘密(ひみつ)だった。だが……」


(こえ)()まる。


「だが、その(いし)には(つよ)(ちから)宿(やど)っている。(ちち)()うには、(いし)(たん)なる記録(きろく)ではない。契約(けいやく)そのものが()きている、と。だから(さわ)れる(もの)は、契約(けいやく)(おも)みを直接(ちょくせつ)背負(せお)うことになる」


契約(けいやく)(おも)み?」


「あの神懸(かみが)かり事件(じけん)は、(いし)(ちから)暴走(ぼうそう)したせいだった。()(とき)(さかい)に、(いし)が『活性化(かっせいか)』し(はじ)めた。(まる)で、契約(けいやく)履行(りこう)(せま)るかのように」老人(ろうじん)慎一(しんいち)()()ぐに()つめた。「幽学(ゆうがく)さんはそれを()っていた。だから調査(ちょうさ)()(とき)(ちち)必死(ひっし)()めた。(さわ)れてはいけない、と」


「でも祖父(そふ)は……」


()かなかった。『これは(たん)なる調査(ちょうさ)ではない。|システムの(ひず)みを(ただ)すための仕事(しごと)だ』って()ってな。そして実際(じっさい)(いし)を『()た』(あと)幽学(ゆうがく)さんは()わった。興奮(こうふん)して、『(すべ)てが(つな)がる』『(みっ)つの(うつわ)で|システムを再起動(さいきどう)できる』と()(かえ)すようになった」


慎一(しんいち)背筋(せすじ)(さむ)くなった。祖父(そふ)変化(へんか)は、(まさ)手帳(てちょう)記述(きじゅつ)変化(へんか)一致(いっち)していた。


「それからしばらくして、幽学(ゆうがく)さんは(かえ)っていった。そして(すう)ヶ月(かげつ)()(ちち)はあの(やしろ)(たお)れているのを発見(はっけん)された」


(たお)れて? 病気(びょうき)で?」


杉山(すぎやま)老人(ろうじん)(かお)苦渋(くじゅう)(はし)った。


「いいや。(ちち)(ひたい)には、(さか)さの五芒星(ごぼうせい)()(いん)のように(きざ)まれていた。(からだ)には(ひと)つの(きず)もないのに、心臓(しんぞう)()まっていた。医者(いしゃ)原因不明(げんいんふめい)()ったが……(わたし)()っている。あれは人間(にんげん)仕業(しわざ)じゃない」


神々(かみがみ)の……?」


()からん。だが、(ちち)()くなった(あと)、あの(やしろ)周囲(しゅうい)(さら)不気味(ぶきみ)になった。(とり)()かず、(むし)(こえ)さえ()こえん。(まる)で、(なに)かが()(かま)えているようだ」


老人(ろうじん)()()がり、()()れから(ひと)つの(ぬの)(つつ)みを()()した。(なか)から(あらわ)れたのは、(ふる)びた木箱(きばこ)だった。(ふた)()けると、(なか)には黄色(きいろ)変色(へんしょく)した数枚(すうまい)(かみ)(はい)っている。


(ちち)(のこ)した、あの(やしろ)についての記録(きろく)だ。そしてこれが……」


老人(ろうじん)(はこ)(そこ)から、(ちい)さな石片(せきへん)()()した。それは勾玉(まがたま)欠片(かけら)のように()えたが、(いろ)慎一(しんいち)()三又(みつまた)勾玉(まがたま)(おな)じく、(くろ)(しろ)(あか)()ざっている。


「これは?」


「あの(やしろ)鳥居(とりい)(くず)れた(とき)地面(じめん)から()てきたものだ。幽学(ゆうがく)さんが『(いし)分身(ぶんしん)だ』と()っていた。これを()っておけば、本物(ほんもの)(いし)(ちか)づいた(とき)警告(けいこく)になる、と」


慎一(しんいち)石片(せきへん)()つめると、(てのひら)勾玉(まがたま)振動(しんどう)(つよ)くなった。(ふた)つの(いし)共鳴(きょうめい)しているのだ。


(きみ)がどうしても()くというなら、これを(たずさ)えていけ。だが、忠告(ちゅうこく)しておく。あの場所(ばしょ)(いま)や、聖域(せいいき)でも(なに)でもない。契約(けいやく)破綻(はたん)し、(ゆが)んだ(ちから)渦巻(うずま)危険(きけん)地帯(ちたい)だ。()ったら、二度()(もど)れないかもしれん」


慎一(しんいち)石片(せきへん)()()り、|しっかりと(にぎ)()めた。


有難(ありがと)うございます。でも、()かなくてはなりません。祖父(そふ)()真相(しんそう)も、この(いし)(にぎ)っている()がしますから」


杉山(すぎやま)老人(ろうじん)(ふか)(いき)()いた。「()かった。だが、(ひと)約束(やくそく)してくれ。()()れる(まえ)(かなら)()(かえ)すこと。あの(やま)(よる)(むか)えてはならん」


「なぜですか?」


(ちち)()っていた。『あの(やしろ)には、(よる)になると本当(ほんとう)(ぬし)(あらわ)れる』と。それが(なに)意味(いみ)するかは……()からん。だが、()いことではないことは(たし)かだ」


慎一(しんいち)約束(やくそく)した。


老人(ろうじん)詳細(しょうさい)地図(ちず)()いてくれ、(やしろ)までの道筋(みちすじ)説明(せつめい)した。「(みち)(ほとん)()えている。雑木林(ぞうきばやし)()け、(たに)()え、(きゅう)(さか)(のぼ)らなければならない。(かる)気持(きも)ちで()ける場所(ばしょ)じゃない」


午前(ごぜん)十時(じゅうじ)慎一(しんいち)準備(じゅんび)(ととの)え、山道(やまみち)(はい)った。


最初(さいしょ)一時間(いちじかん)は、(かす)かに道跡(みちあと)(のこ)っていた。しかし次第(しだい)に、(やぶ)(ふか)くなり、地面(じめん)(すべ)りやすくなった。杉山(すぎやま)老人(ろうじん)()(とお)り、ここは長年(ながねん)人跡未踏(じんせきみとう)場所(ばしょ)だった。


勾玉(まがたま)振動(しんどう)は、(すす)むにつれて(つよ)くなっていった。(まる)心臓(しんぞう)鼓動(こどう)のように、規則的(きそくてき)な|リズムで()(ひら)(つた)わる。


そして、()地点(ちてん)突然(とつぜん)自然(しぜん)(おと)()えた。


(とり)(こえ)も、(むし)(おと)も、(かぜ)(おと)さえも()こえない。(ただ)(ふか)い、(おも)たい静寂(せいじゃく)周囲(しゅうい)(つつ)んでいる。空気(くうき)(よど)み、呼吸(こきゅう)さえも(くる)しくなるような圧迫感(あっぱくかん)


「ここが……境界(きょうかい)か」


慎一(しんいち)杉山(すぎやま)老人(ろうじん)から(あず)かった石片(せきへん)()()した。石片(せきへん)(かす)かに(あたた)かく、内部(ないぶ)三色(さんしょく)(ゆっ)くりと回転(かいてん)しているように()えた。


(さら)(すす)む。


(やぶ)()()け、(たに)(くだ)り、(ふたた)(のぼ)りにかかる。足元(あしもと)には時折(ときおり)人工物(じんこうぶつ)痕跡(こんせき)()られた。(くず)れた石垣(いしがき)(こけ)むした階段(かいだん)(あと)(たお)れた()根元(ねもと)(なか)()もれた石仏(せきぶつ)


そして(いよい)よ、(やま)鞍部(あんぶ)()()かった(とき)視界(しかい)(ひら)けた。


そこには、(たし)かに神社(じんじゃ)(あと)()った。


(いし)鳥居(とりい)半分(はんぶん)(たお)れ、(こけ)(つた)(おお)われている。その(おく)に、ほんの数坪(すうつぼ)平地(へいち)(あり)礎石(そせき)(かす)かにその(かたち)(とど)めていた。本殿(ほんでん)(あと)だ。


が、それ以上(いじょう)慎一(しんいち)()()いたのは、(やしろ)背後(はいご)(そび)える巨岩(きょがん)だった。


(たか)さは()|メートルほど。黒々(くろぐろ)とした岩肌(いわはだ)に、無数(むすう)()()(はし)っている。その()()からは、薄気味悪(うすきみわる)(しろ)(けむり)のようなものが()()がっているように()えた。だが()()ると、(けむり)ではなく、(ひかり)(ゆら)ぎだった。


「あれが……?」


慎一(しんいち)(ちか)づこうとしたその瞬間(しゅんかん)背中(せなか)(さか)(りゅう)の|アザが(はげ)しく(うず)きだした。(いま)までにない(するど)(いた)みだ。


同時(どうじ)に、(てのひら)勾玉(まがたま)(あつ)くなり、石片(せきへん)(ふる)(はじ)めた。


警告(けいこく)だ。


慎一(しんいち)一歩(いっぽ)(した)がり、周囲(しゅうい)警戒(けいかい)(なが)観察(かんさつ)した。(やしろ)(あと)(ただ)()れているだけではない。(なに)かが……(ゆが)んでいる。


空間(くうかん)そのものが、ゆがんで()えるのだ。(まる)(なつ)陽炎(かげろう)のように、景色(けしき)(ゆら)めいている。(とく)巨岩(きょがん)周囲(しゅうい)はひどく、(いわ)輪郭(りんかく)(ぼや)けて()える。


「これは……結界(けっかい)? それとも……」


慎一(しんいち)手帳(てちょう)(ひら)き、祖父(そふ)記述(きじゅつ)(さが)した。


「『神気(しんき)異常(いじょう)濃縮(のうしゅく)地点(ちてん)では、現世(げんせ)幽界(ゆうかい)境界(きょうかい)(うす)れ、視覚的(しかくてき)(ひず)みが(しょう)じる。この(ひず)みは、|システムの(ほころ)びの視覚的(しかくてき)表現(ひょうげん)である』……」


(まさ)にこの状態(じょうたい)だ。


慎重(しんちょう)社跡(しゃせき)へと(ある)()る。(たお)れた鳥居(とりい)(くぐ)り、礎石(そせき)(あいだ)(すす)む。地面(じめん)(やわ)らかく、(くつ)(しず)()む。長年(ながねん)湿気(しっけ)()った(つち)だ。


本殿(ほんでん)(あと)()つ。ここが(かつ)て、契約(けいやく)(いし)()められていた場所(ばしょ)だ。


慎一(しんいち)(ひざ)をつき、地面(じめん)調(しら)(はじ)めた。すると、一本(いっぽん)礎石(そせき)(ほか)とは(あき)らかに(こと)なっていることに()づいた。(いし)表面(ひょうめん)に、(かす)かだが意図的(いとてき)()()みが()る。


(ほこり)(はら)い、()()る。


古代(こだい)文字(もじ)(きざ)まれていた。出雲(いずも)地方(ちほう)発見(はっけん)される神代文字(じんだいもじ)()ているが、(さら)(ふる)形式(けいしき)だ。


慎一(しんいち)は|スマートフォンで写真(しゃしん)()り、解読(かいどく)(こころ)みた。祖父(そふ)手帳(てちょう)には、神代文字(じんだいもじ)対照表(たいしょうひょう)()った。


(すこ)時間(じかん)がかかったが、(よう)やく()めた。


須佐之男(すさのお)より大国主(おおくにぬし)

葦原(あしはら)(ゆず)()わりに

(かくり)よる(もの)()(たも)

(いし)(あかし)

(やぶ)(もの)黄泉(よみ)(かよ)わん」


葦原(あしはら)(ゆず)()わりに、(かくり)よる(もの)()(たも)て……?」


これは国譲(くにゆず)神話(しんわ)の、(まった)(こと)なる|バージョンだった。須佐之男命(すさのおのみこと)大国主神(おおくにぬしのかみ)(くに)(ゆず)ったのには、代償(だいしょう)()ったのか。(かくり)よる(もの)――黄泉(よみ)(かよ)(もの)()保証(ほしょう)すると?


そして最後(さいご)警告(けいこく)。「(やぶ)(もの)黄泉(よみ)(かよ)わん」。契約(けいやく)(やぶ)れば、黄泉(よみ)()とされるという意味(いみ)か。


慎一(しんいち)(かんが)えた。もしこの契約(けいやく)が「|システム」の一部(いちぶ)なら、それを破綻(はたん)させることが祖父(そふ)()う「|システムの(ひず)み」なのかもしれない。


ふと、勾玉(まがたま)(あつ)さが()した。


()()くと、巨岩(きょがん)(ほう)から(なに)かが(うご)いた。


(しろ)(かげ)だ。


慎一(しんいち)(いき)()め、()(ひく)くした。(かげ)(ゆっ)くりと、巨岩(きょがん)()()から()()してくるように(あらわ)れた。


人間(にんげん)(かたち)をしているが、(あき)らかに人間(にんげん)ではない。(からだ)半透明(はんとうめい)で、内部(ないぶ)星々(ほしぼし)のような光点(こうてん)(ただよ)っている。(かお)(ぼんやり)としており、表情(ひょうじょう)()めない。


幽霊(ゆうれい)? それとも……


(かげ)社跡(しゃせき)中央(ちゅうおう)へと(ある)()り、(たお)れた鳥居(とりい)(まえ)()()まった。そして、(ゆっ)くりと(うで)()げた。


その瞬間(しゅんかん)周囲(しゅうい)光景(こうけい)()わった。


社跡(しゃせき)が、突然(とつぜん)完全(かんぜん)(かたち)(あらわ)れたのだ。鳥居(とりい)直立(ちょくりつ)し、本殿(ほんでん)完璧(かんぺき)状態(じょうたい)(かがや)いている。周囲(しゅうい)には古代(こだい)衣装(いしょう)(まと)った人々(ひとびと)(つど)い、祭祀(さいし)(おこな)っている。


(まぼろし)か? だが、(あま)りにも鮮明(せんめい)だ。(こう)(にお)いさえ(かん)じられる。


中央(ちゅうおう)には、(しろ)装束(しょうぞく)巫女(みこ)()っている。彼女(かのじょ)(いし)(まえ)(ひざ)まずき、(なに)かを(とな)えている。その(かお)が――慎一(しんいち)()見開(みひら)かせた。


祖母(そぼ)の|アルバムで()た、(わか)()(はは)(かお)(そっ)くりなのだ。


巫女(みこ)(いし)()()れる。すると(いし)(ひか)り、上空(じょうくう)から(べつ)(ひかり)()(そそ)ぐ。(ひかり)(なか)には、()らしい気配(けはい)(まと)った(おとこ)姿(すがた)()える。


須佐之男命(すさのおのみこと)か?


(ひかり)(おとこ)(なに)かを(かた)り、巫女(みこ)(うなず)く。契約(けいやく)儀式(ぎしき)だ。


そして突然(とつぜん)光景(こうけい)(ゆが)んだ。


(べつ)(ひかり)が、(するど)()()んできた。(さら)整然(せいぜん)とした、(つめ)たい(ひかり)だ。その(ひかり)(なか)にも人影(ひとかげ)()るが、詳細(しょうさい)()えない。


(ふた)つの(ひかり)(はげ)しく衝突(しょうとつ)する。社殿(しゃでん)(ゆれ)人々(ひとびと)悲鳴(ひめい)()げる。


巫女(みこ)必死(ひっし)(いし)()()める。だが(いし)から亀裂(きれつ)(はい)り、(ひかり)()()す――


パン(パン)


(まぼろし)()えた。


(ふたた)()(まえ)()るのは、()()てた社跡(しゃせき)だけだった。


だが慎一(しんいち)理解(りかい)した。あの(まぼろし)は、過去(かこ)記憶(きおく)再生(さいせい)だった。しかも、(たん)なる歴史的(れきしてき)記録(きろく)ではない。(いし)(きざ)まれた、契約(けいやく)そのものの記憶(きおく)だ。


そして、あの衝突(しょうとつ)(ふた)つの(ひかり)(あらそ)い。


天津神(あまつかみ)国津神(くにつかみ)の……契約(けいやく)(めぐ)(あらそ)いか」


勾玉(まがたま)(はげ)しく振動(しんどう)する。警告(けいこく)強度(きょうど)()している。


慎一(しんいち)巨岩(きょがん)見上(みあ)げた。(けむり)のような(ひかり)は、(いま)(あき)らかな(うず)()(はじ)めている。そして(いわ)()()からは、(さき)ほどの(しろ)(かげ)が、次々(つぎつぎ)(あらわ)(はじ)めていた。


三体(さんたい)五体(ごたい)十体(じゅったい)――


それらは(みな)慎一(しんいち)(ほう)()ている。ない(はず)()で、じっと()つめている。


(もっと)(わる)い……」


慎一(しんいち)一歩(いっぽ)後退(こうたい)り、()(みち)(さが)した。()(みち)(もど)るしかない。


その(とき)背後(はいご)から(こえ)がした。


()っていたよ、契約(けいやく)()


()()くと、社跡(しゃせき)入口(いりぐち)一人(ひとり)(おとこ)()っていた。


(しろ)装束(しょうぞく)古神道(こしんどう)再興会(さいこうかい)(おとこ)だ。だが、(さき)三人(さんにん)とは(ちが)う。年齢(ねんれい)三十代(さんじゅうだい)(なか)ばか。()には狂気(きょうき)(かがや)きが(あり)()には御幣(ごへい)のような(つえ)()っている。


「ついに()たな。須佐之男(すさのお)()()(もの)我々(われわれ)計画(けいかく)()けていた最後(さいご)の|ピースだ」


(おとこ)(つえ)地面(じめん)()てる。


「この(やしろ)で、(ふる)契約(けいやく)(あたら)しく(むす)(なお)そう。天津神(あまつかみ)支配(しはい)()()り、(しん)国津神(くにつかみ)時代(じだい)()(もど)すために――お前(まえ)()(たましい)必要(ひつよう)なんだ」


慎一(しんいち)身構(みがま)えた。「(なに)()っているんだ」


簡単(かんたん)なことさ」(おとこ)()みを()かべた。「この(いし)契約(けいやく)(うつ)しだが、不完全(ふかんぜん)だ。本来(ほんらい)契約者(けいやくしゃ)である須佐之男命(すさのおのみこと)血筋(ちすじ)()けている。お前(まえ)がここで儀式(ぎしき)(おこな)い、()(ささ)げれば、契約(けいやく)完全(かんぜん)なものになる。そして我々(われわれ)は、その(ちから)()()れることができる」


馬鹿(ばか)な……!」


馬鹿(ばか)じゃない。必然(ひつぜん)だ」(おとこ)()(するど)くなる。「お前(まえ)()ただろう? あの(まぼろし)を。契約(けいやく)破綻(はたん)している。天津神(あまつかみ)約束(やくそく)(まも)らなかった。ならば我々(われわれ)が、契約(けいやく)履行(りこう)する(がわ)()つまでだ」


(おとこ)(つえ)()るう。


巨岩(きょがん)から(あらわ)れた(しろ)(かげ)たちが、一斉(いっせい)(うご)()した。彼等(かれら)慎一(しんいち)()(かこ)むように(ただよ)い、(じょ)(じょ)接近(せっきん)してくる。


「これらの御霊(みたま)たちは、契約(けいやく)履行(りこう)()(つづ)けている。何百年(なんびゃくねん)も、()えているんだ。お前(まえ)()で、(よう)やく()たされる」


慎一(しんいち)背中(せなか)の|アザが()()くように(あつ)いのを(かん)じた。(いた)みと(とも)に、(なに)かが()()がってくる。(いか)りか、それとも――(ちから)か。


(てのひら)勾玉(まがたま)(ひか)(はじ)めた。三色(さんしょく)(ひかり)(うず)()き、(おとこ)(つえ)(ひかり)対抗(たいこう)する。


「おや?」(おとこ)興味深(きょうみぶか)そうに()(ほそ)めた。「(すで)(ちから)目覚(めざ)めているのか。では(なお)(さら)儀式(ぎしき)成功(せいこう)するだろう」


(かげ)たちが、慎一(しんいち)()()ばしてきた。


その瞬間(しゅんかん)――


(うご)くな! 神祇(じんぎ)保全(ほぜん)(きょく)だ!」


(するど)女性(じょせい)(こえ)(もり)(ひび)(わた)った。


社跡(しゃせき)周囲(しゅうい)から、(くろ)制服(せいふく)()複数(ふくすう)人影(ひとかげ)(あらわ)れた。先頭(せんとう)()つのは、慎一(しんいち)一度(いちど)()った神楽(かぐら)カグラだった。彼女(かのじょ)拳銃(けんじゅう)のようなものを(かま)えているが、通常(つうじょう)銃器(じゅうき)とは(あき)らかに|デザインが(こと)なる。


古神道(こしんどう)再興会(さいこうかい)伊吹(いぶき)! これ以上(いじょう)一般市民(いっぱんしみん)危害(きがい)(くわ)えるなら、祓具(はらえのつえ)使用(しよう)する!」


(おとこ)――伊吹(いぶき)嘲笑(ちょうしょう)した。「神祇(じんぎ)保全(ほぜん)(きょく)()たか。天津神(あまつかみ)(いぬ)どもめ。だが、もう(おそ)い。儀式(ぎしき)(はじ)まっている」


伊吹(いぶき)(つえ)(たか)(かか)げ、古代(こだい)言葉(ことば)(とな)(はじ)めた。


巨岩(きょがん)()()から、(さら)()(しろ)(けむり)()()し、(かげ)たちの(かず)倍増(ばいぞう)した。


カグラが(さけ)ぶ。「慎一(しんいち)さん、こちらに!」


慎一(しんいち)(はし)()そうとしたが、(あし)地面(じめん)()()いたようで(うご)かない。見下(みお)ろすと、地面(じめん)から無数(むすう)(しろ)()()びて、(かれ)足首(あしくび)(つか)んでいるのだ。


(はな)せ……!」


背中(せなか)の|アザが(さら)(あつ)くなる。今度(こんど)(いた)みだけでなく、(なに)かが(からだ)(なか)()(めぐ)感覚(かんかく)()った。


荒御(あらみ)(みち)――強肌(つわはだ)(ちから)が、無意識(むいしき)発動(はつどう)した。


慎一(しんいち)(うな)(ごえ)()げ、力任ちからまかせに(あし)()る。(しろ)()が|パキパキと(おと)()てて(くだ)け、(ひかり)粒子(りゅうし)となって消散(しょうさん)した。


「やはり……!」伊吹(いぶき)()(かがや)いた。「血筋(ちすじ)本物(ほんもの)だ!」


カグラたちが(うご)いた。彼等(かれら)()つ「祓具(はらえのつえ)」から青白(あおじろ)(ひかり)(はな)たれ、(しろ)(かげ)たちを(つらぬ)く。(かげ)悲鳴(ひめい)のような(おと)()げて()えていく。


だが、(かず)(おお)すぎる。次々(つぎつぎ)あたらしい(かげ)巨岩(きょがん)から()()される。


カグラが慎一(しんいち)(ちか)づき、()()()べた。「()を!」


慎一(しんいち)はその()(つか)んだ。カグラの(ちから)地面(じめん)から()()かれ、社跡(しゃせき)(そと)へと()()られる。


()がすか!」伊吹(いぶき)(つえ)()るい、巨大(きょだい)(しろ)()空中(くうちゅう)(あらわ)れ、二人(ふたり)()らえようとした。


その(とき)慎一(しんいち)(てのひら)勾玉(まがたま)爆発的(ばくはつてき)(ひかり)(はな)った。


三色(さんしょく)(ひかり)(うず)()き、(しろ)()粉砕(ふんさい)する。(ひかり)(さら)(すす)み、巨岩(きょがん)()()へと()()さった。


「うわあああっ!?」


伊吹(いぶき)悲鳴(ひめい)()げ、(つえ)から()(はな)した。(つえ)()れ、(なか)から(くろ)(けむり)()()す。


巨岩(きょがん)轟音(ごうおん)()げて(ふる)え、()()(さら)(ひろ)がった。(なか)からは、もはや(しろ)(かげ)ではなく、(くろ)(よど)んだ(なに)かが()()してきた。


カグラの顔色(かおいろ)()わった。「黄泉(よみ)(けが)れが……! 結界(けっかい)(やぶ)れた!」


地面(じめん)(ゆれ)る。社跡(しゃせき)全体(ぜんたい)(しず)(はじ)めるかのように、地面(じめん)亀裂(きれつ)(はし)る。


撤退(てったい)(いま)(すぐ)!」カグラが隊員(たいいん)たちに指示(しじ)()し、慎一(しんいち)(うで)(つか)んで(はし)()した。


伊吹(いぶき)()(つえ)(かたわ)らに(たお)れている。「()て……契約(けいやく)は……!」


だが、(かれ)(こえ)地面(じめん)(くず)れる(おと)にかき()された。


慎一(しんいち)とカグラたちは必死(ひっし)(やま)(くだ)りる。背後(はいご)では、社跡(しゃせき)全体(ぜんたい)(くろ)(きり)(つつ)まれ、異様(いよう)(うめ)(ごえ)(ひび)(わた)っていた。


(よう)やく安全(あんぜん)場所(ばしょ)まで()()び、()(かえ)ると、あの(やま)鞍部(あんぶ)はもはや(くろ)(うず)()()まれているように()えた。


カグラは(いき)()らし(なが)ら、慎一(しんいち)()つめた。


大丈夫(だいじょうぶ)ですか? 怪我(けが)は?」


「あ、ああ……なんとか」慎一(しんいち)自分(じぶん)()(ひら)()た。勾玉(まがたま)()(あたた)かく、(ひかり)(おさ)まっていたが、内部(ないぶ)三色(さんしょく)回転(かいてん)以前(いぜん)より(はや)くなっているように(かん)じた。


「あれは……(なに)だったんです?」


カグラの表情(ひょうじょう)(けわ)しくなった。「古神道(こしんどう)再興会(さいこうかい)が、禁忌(きんき)儀式(ぎしき)実行(じっこう)しようとしていた。あの(やしろ)は、神代(かみよ)契約(けいやく)(きざ)まれた危険(きけん)場所(ばしょ)です。通常(つうじょう)強力(きょうりょく)結界(けっかい)封印(ふういん)されているのですが……」


結界(けっかい)を、(ぼく)(やぶ)ってしまった?」


「あなたの()勾玉(まがたま)(ちから)と、あの(おとこ)儀式(ぎしき)共鳴(きょうめい)した結果(けっか)でしょう」カグラは溜息(ためいき)をついた。「()(かく)、ここは危険(きけん)です。すぐに(はな)れましょう。黄泉(よみ)けがれが()している。このままでは、周辺(しゅうへん)一帯(いったい)汚染(おせん)される可能性(かのうせい)があります」


(くるま)へと(いそ)()(ちゅう)慎一(しんいち)(かんが)えた。


あの(まぼろし)()光景(こうけい)契約(けいやく)記憶(きおく)


そして伊吹(いぶき)言葉(ことば)。「お前(まえ)()契約(けいやく)完全(かんぜん)なものに」


(かれ)はカグラに()いかけた。「あの(おとこ)は、(ぼく)()契約(けいやく)履行(りこう)すると()っていました。それはどういう意味(いみ)ですか?」


カグラは一瞬(いっしゅん)(だま)り、(おも)(くち)(ひら)いた。「櫛名田(くしなだ)さん。あなたの血筋(ちすじ)は、(たん)なる伝承(でんしょう)ではありません。須佐之男命(すさのおのみこと)櫛名田比売(くしなだひめ)直系(ちょっけい)として、神代(かみよ)契約(けいやく)継承(けいしょう)する資格(しかく)()る――(すく)なくとも、彼等(かれら)はそう(しん)じているのです」


「でも、それって……」


神話(しんわ)現実(げんじつ)として機能(きのう)する|システムにおいては、血筋(ちすじ)(たん)なる象徴(しょうちょう)ではありません」カグラの(こえ)真剣(しんけん)そのものだった。「それは、|システムへの|アクセス(けん)なのです。あなたの祖父(そふ)(ころ)された理由(りゆう)も、おそらくそこにあります。(かれ)は|システムを再起動(さいきどう)する方法(ほうほう)つけ、それを実行じっこうする資格(しかく)()つあなたを(のこ)した」


(くるま)()()み、|エンジンを()ける。カグラは無線(むせん)本部(ほんぶ)状況(じょうきょう)報告(ほうこく)(はじ)めた。


慎一(しんいち)(まど)(そと)つめた。(やま)鞍部(あんぶ)は、(いま)(くろ)(くも)(おお)われている。


(かれ)(てのひら)勾玉(まがたま)(にぎ)()めた。(ぬく)もりは、もはやたんなる(ぬく)もりではない。(ちから)脈動(みゃくどう)(かん)じる。


祖父(そふ)遺言(ゆいごん)が、(いま)現実(げんじつ)(おも)みを()って(せま)ってくる。


「まず、(みっ)つの(うつわ)(さが)せ」


出雲(いずも)(いし)は、契約(けいやく)(うつ)しである」


第一(だいいち)(うつわ)は、もう()(とど)くところに()る。だが、その代償(だいしょう)あまりにもおおきすぎる。


カグラの報告(ほうこく)わり、(くるま)うごした。


「これからどうするつもりですか?」カグラがたずねた。


慎一(しんいち)ふか(いき)み、こたえた。


(つぎ)(うつわ)さがします。纏向(まきむく)(かがみ)を」


カグラはおどろいたように(かれ)たが、すぐにうなずいた。


かりました。ただし、二度()単独たんどく行動(こうどう)はしないでください。あなたはもう、ただ考古学(こうこがく)学生(がくせい)ではありません。神話(しんわ)戦争(せんそう)の、中心(ちゅうしん)とうとしているのですから」


(くるま)山道(やまみち)くだり、集落(しゅうらく)へともどっていく。


後部(こうぶ)座席(ざせき)からかえ慎一(しんいち)に、くろ渦巻うずまやま姿(すがた)けられた。


あそこには、こたえがる。契約(けいやく)真実(しんじつ)が。


だがそれをるためには、さらふかく、神話しんわやみへとあしれなければならない。

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