Episode6:主さま、私も見てよ(幼女軍団現る)
とある日、アユムは、アキナ、ユイ、メグの三人をみんながよく集まっている広間に呼んだのだった。
暫くして、アキナとユイが部屋に入ってきた「おはようございます、ご主人様」
「おはよう、アキナ、ユイ…あれっ、メグはどうした?」
すると、アユムの腰のあたりをツンツンとするのを感じた。目をやるとそこにメグがいた。
「ご主人様、おはようございますぅ、私は一番に来たよ、ご主人様の隣に」そのかわいい声と仕草でアユムはデレ~ッとしながら、「うんうん、ごめんね、おはようね、メグは小さくてかわいいから、僕は見えなかったなぁ、ゴメンネゴメン。」
そのやり取りを見ていたアキナが「なんだかメグの時だけ話し方が変わっていませんか?ご主人様。」
メグを見ながらアユムは「そーんなことは、ないでちゅよね~メーグたん」とメグの頭を撫でた。
これにユイも続き「私は頭を撫でてもらえないのに、メグばかりなぜなんですか?」
アユムはおもむろに独り言のように話し出す「僕の住んでいた世界では、人族しかいなかったんだ、だから、人を区別するとしたら、性別と年齢が一般的なんだ、子供すなわち幼児、大人、老人って僕なりに区別していたんだよ、そして子供すなわち幼児は、親は勿論、周りの大人たちも気にかけて守っている社会だったんだ…」
アキナは不思議そうに「そんな社会だったんですね、でもなぜそれで、話し方が変わったり、撫でたりするのですか?」
「わからないかなぁ、僕は幼いころから漫画やアニメが好きでね、よく読んだものさ。」
また、アキナが「はぁ、マンガ…アニメ…?」
「要するに、絵が描いてある本だよ、その本には、本当にっ、きれいな八頭身美人がたくさん描かれているんだよ、そんなきれいな女の人が、たまに失敗をした時に ”テヘペロ” と言う照れ隠しをするわけさ、ただ ”テヘペロ” するわけじゃないぞ、二頭身キャラになってかわいく振舞うんだョ!」
アキナとメグはあきれて返事をしている「はぁ・・・。」
「例えば、恥ずかしさを隠すために、短くかわいい両手を振るのさ、手が沢山に見えるくらいに。そして目は、恥ずかしさのあまりバッテンになるんだよ。もう、かわいすぎるだろ?僕は少女を愛してやまない、これがデレーッなってしまう理由さ、わかるだろ?」
ユイは冷静に「わかりません、ご主人様。ご主人様のお歳は18歳です、アキナと私もです」
「そんなこと、奴隷契約を結んだときに知っているさ。」
「ならばメグ、あなたの歳をご主人様に教えて差し上げなさい!」
「は~い、メグはねぇ、25歳です。」
アユムはいつもの調子で「うんうん、25歳なんだよね……へっ、年上?!”」
「そうですよ、この世界では15を過ぎれば、皆大人です、今ここにいる中では、メグは、最!年!!長!!!なんです!」ユイは捲し立てた。
「でもさ、でもさ、このかわいい姿をみたらさ、歳なんかどうでも良くなっちゃうんだよね。」
「いいわけありません、年齢的に幼いとすれば、ここにいる中で守るべきは ”チップ” でしょう!」
ここでアキナが話を戻す「ここまでくると病気の類ですね、いつかいい薬を見つけましょう。ところでなぜ私たちをここへ?」
「あっ、そうそう、昨日召喚した仲間を紹介しようと思ってね、今呼んでくるよ…」
暫くすると、アユムの後に続いて、それこそアユムの話していた八頭身美人が四人入って来た「初めまして、皆さん、これからどうそ宜しくお願いいたします」と口を揃えた。
「仲間も増えたことだし、折角だ、みんなの役割分担をもう一度はっきりさせておこうと思う。僕のいた世界では、いろいろな事について、責任をもって管理する行政機関 ”省庁” と言うものがあった。それにちなんで役割を改めて与えよう。」
「アキナはワタリ領の防衛を担ってもらう ”重要” な役割だ、だから防衛省を命ずる!」
「ハイ、ご主人様にとって重要な役割なのですね、ありがとうございます。」
「ユイは料理、洗濯などメイド業を本業にそして時には警護もこなす、”大事” な組織を率いてもらう環境省だ!」
「かしこまりました、ご主人様。大事なお役目拝命いたします。」
「ソアラは几帳面でモノの好し悪しの判断もしっかりしている、領地運営上で ”肝心” な内閣府をお願いしたい!」
「私の正しい判断が、みんなに、いえご主人さまにとって肝心な役割となるわけですね、ありがとうございます。」
「セリカは、薬品づくりやみんなの健康管理を任せたい、健康は領地の存続にとって ”重大” な事だから、厚生労働省をよろしく頼みます!」
「わかった、重大なことちゃんとやるよ、ご主人さま。」
「カムリは精霊の力を借りて、農業や漁業などを中心に領地を発展させる ”要” となって欲しい農林水産省だ!」
「はい、つちゅしんで(あっ噛んじゃった)要となるよう務めましゅ。」
「カロラは妖精種、この領地に結界をはり、領地に出入りするものの監視や、他国の精霊たちとの情報共有により交易が有利に運ぶように活動して欲しい、カロラの働きは交易の ”要所” となるだろう、という事で外務省ね!」
「わっかりました、かしこまりー、その要所のお仕事、引き受けまーす。」
「よーし」と言うアユムの腰のあたりをまたもやツンツンとするのを感じた、「私は何をすればいい?」メグが見上げて少し涙目になっている。
慌てたアユムはデレデレを目いっぱい発動させてしまった。「メグちゃん、メグちゃんは~研究大好きだよね、僕たちの未来にとって、”かけがえのない” そして ”代えがたい”、”代わるものがない” さらに ”替えがきかない” もなだからね、科学省をやってくれますか?」
メグの顔がパッと紅潮し、満面な笑顔に変わった、そして目いっぱい背伸びをし、かわいい右手を高く上げ「メグいっぱい頑張るよ。」と言ったのだが、それにまたアユムが無意識に反応し、決して言ってはならないことを口走ってしまった。
「メグは、ほんと僕好みの幼女みたいで一番かわいい。」
ここで、瞬間的に動きを止めたのが、セリカ、カムリ、カロラだった事は明日への事件と繋がるのだった。
翌朝、アユムが広間に向かっていると、広間からアキナとユイの大きな声が聞こえてきた。
アキナが「ズルイです!ズルイです!スルイです~っ!!」、ユイも「なぜこんなことに、昨日はこんなんじゃ、ずるいです!」
アユムが広間の扉を開けアキナに「朝からどうしたの?」
アキナとユイは目に涙を浮かべながら、アユムに走り寄り指をさした、そこには二頭身キャラのかわいい姿の、セリカ、カムリ、カロラが立っていた。
アユムは思わずデレデレを発動させ「みーんーなーおっ早う、かわいいかわいいみんなーぁ」とやってしまったのである。これを見たアキナとユイは完全に泣き出してしまった。
そんなやり取りの中、ソアラが普通に部屋に入り「おはようございます、ご主人さ…」
その後ソアラは三人を見て「あっ」と声を上げ、一旦部屋を出て扉を閉めた。そして「ゴホン」と咳ばらいをし、再び入ってきたソアラも二頭身キャラのかわいい姿だった。
アキナとユイはアユムの腕を両側から引っ張りながら「ズルイです」「ずるいです」と泣きながら連呼して、その声がいつしか揃って、大きな「ズず、ルる、イい、です!」に変わっていった、しかも”る”の音が巻き舌になっているように聞こえた。
さすがにまずいと思ったアユムは、アキナとユイにドリームフォックスから奪った ”変化” のスキルスクロールを渡しその場を治めた。
すかさず、アキナとユイも幼女化したのは言うまでもない。
ここにやってきたメグが「みんな私みたいに小さくなってかわいいね!」とアユムに話しかけると、まだデレデレモードが解けないアユムは「みんなかわいいでちゅね~、でーもメグたんはかわいいし、胸も大きいし胸から見える奴隷紋もとーてもチャーミングでちゅよ!」と言ってしまったのである。
ここで仕返しとばかりにアキナとユイも「私たちの奴隷紋もチャーミングでちゅか?」と言ったことが、またもや召喚四人衆に火をつけてしまったのである。
「ご主人様、私たちにも奴隷紋が必要なのれす、奴隷紋をここに!」胸を強調する四人であったが、アユムはアッサリ「君たちには必要ないでしょう?!」すると今度は逆に「ズルイです・ずるいです・狡いです・zuruidesu」の四重奏が始まってしまった。
渋々アユムはこれから奴隷商のところへ行くから、一緒に行って奴隷紋をつけてもらう事を約束しその場を落ち着かせるのだった。
「じゃあ。これからみんなを奴隷商のところへ連れていくけど、人前では、その第二形態になってはいけませんよ、いい!約束ね。」
四人は口を揃えて「約束~っ!」と言って可愛く右手を挙げた。
「…これはこれはアユム様、ご来店、誠にありがとうございます、本日はダークエルフの件でお見えになら…」
「それもだが、あのぅ、今日はこの子達に、奴隷紋を処置して欲しくてね。」
「はぁ、奴隷でもないのにですか?、彼女たちは、どういう?」
「あぁ、彼女らは、天使のソアラと悪魔のセリカ、精霊のカムリ、妖精のカロラ、僕が召喚カードで召喚したんだ。」
「なっなんと、召喚カードとは、実際にあったのですね。そしてこんなにも美しい方々がここに…」奴隷商は値踏みをするかの如く黙り込んでしばらくの間、彼女らに見入っていた。
「彼女たちが召喚されたものならば、なおさらアユム様には絶対服従のはずですが、なぜ奴隷紋などを?」
「いや~ぁ、ど~しても奴隷紋を付けたいと、彼女たちが聞かないものでね。」
「そう、ですか。こちらとしましては費用さえ頂ければ…」という事で一人迷惑料込みの4ゴールドで奴隷紋を処置してもらった。
四人はお互いの奴隷紋を確認しながら、それは嬉しそうにしていた。
「では、アユム様、そろそろダークエルフを連れてまいりたいのですが、彼女たちは隣の部屋でお待ちいただきますよう」そう言いながら奴隷商は四人を隣の部屋に案内し、奴隷を呼びにいった。
暫くすると、奴隷商はダークエルフを後ろに、アユムの待つ部屋に向かって歩いてきた。
要望通りのダークエルフの値段を ”4000ゴールドいや、倍近い7500ゴールドから交渉しようか” と考えながらアユムの待つ部屋に向かっていた。
四人のいる部屋では、最初にカロラが誰もいないからと、第二形態の幼女に変身し、胸元の奴隷紋を鏡で確認していた、三人も同様に後に続いて変身した。
そこへ通りがかった奴隷商が横目で見て ”もしやアユム様は、ああ言う趣味があるのでは” と、後ろを歩く奴隷に「おまえは、あんな風に変われるか?」と聞いた。
当然魔法のエキスパートであるダークエルフは「お許しいただけるのであれば造作もない」と答えた。
奴隷商が部屋に入って来て「アユム様、今回の奴隷は探すのに大変苦労した奴隷です、魔道具作りや魔法付与など魔法のスペシャリスト、アユム様のご要望に完璧に応えられたと自信の持てる奴隷です、さぁ、入りなさい。」
入ってきたダークエルフを見たアユムは「買います!」と値段も聞かずに決断した、そこには四人と同じに幼女化したダークエルフが立っていたからだ。
その後、奴隷商の「7500ゴールドで!」の声もアユムの耳には届かなかった。
白金貨2枚を置き、連れて出ようとするアユムに、まだ奴隷紋の処置もしていないからと落ち着かせる奴隷商だった。
そして、奴隷紋の処置が終わったダークエルフを受け取り、改めて7500ゴールドと聞き、白金貨2枚を出していた自分が恥ずかしくなり、半ば引っ込みがつかなくなっていた。
アユムは余ったお金で、奴隷商に新たな奴隷探しを依頼した。
武装国家ワルシャー、ジング国、メリア国、モスナ国、できればグナン魔国からも、その国で一番多い種族で、その国の一般常識や歴史などに詳しい者という条件を付けた。
「ならば、スパイに適した奴隷が良いでしょうか?」
「それは、拘らないよ、こちらで育てるから。」
「ただ、魔国からともなりますと、お金が足りない場合もございますが。」
「それは、その時に言ってくれ!」そんな会話をしながら、ダークエルフには”ルビア”と名付け、みんなは領主館に戻った。
戻ったアユムは「あっそうだ、カタストロフ、早速だけどルビアも含めて男連中とメイド候補も連れてレベリングを開始してくれますか?、それとダンジョンまでカタストロフは剣で飛んで行かずに、入り口までは人に変化して行ってね!」
「恐れながら主さま、わたくしめは、変化のスキルを持ち合わせておりません」そう話すカタストロフにアユムはスクロールを4つ渡した。
「これでいいよね、よろしくね。」
「では、早速、変化!」人に変化したカタストロフはアユムの想像通り、執事のイメージだった。
「さらに、第二形態に…」
「必要ないよ、男には興味はないから…、私の国のライオンの親は、子供の雄を谷底に落とし、這い上がってきたものを…」アユムは呟き始めた。
慌てたカタストロフは「ライオンは何かは存じませんが、わたくしも、そのような趣味はありませんでして…」とアユムの話を遮った。
このやり取りの中、アヴァランチが「雌雄一体の剣として作られた私たちは、スキルを共有しているのでございます。ならば…」と言うと、”端が尖ったインテリ眼鏡” をかけた教師風の美女に変化した。
「更にドン!」と言い、やはり第二形態の幼女キャラになった。
「主さま、たまには、この私も見て下さいましネ! ”テヘペロ”」とアヴァランチかわいくおどけて見せた。幼女軍団の誕生の瞬間であった。