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クリーク・クルージング (Day7)

ボートは支流のクリークに入った。

うっすらと緑が混じった茶色の水。

底には、何も見えない。しかし、船が進むにつれ、バシャバシャと動くものがいる。

何かが、いる。わからないものが。わからないものは、怖い。

そして、触れたわけでもないのに、手にまとわりつくような感覚がある。じっとりと湿った空気ゆえか、波しぶきに何かが含まれているゆえか。


そして、臭い。

鼻腔に常にまとわりついてくるのは、鉄と魚粉を混ぜたような匂い。

ここでケガをしたら化膿するのではないか――そう確信させる。

目をそらすことはできても、鼻はそらせない。これは、慣れるまでの辛抱である。


昨日、レピドフロイオスを観察していた支流は、見事なまでのブラックウォーターだった。

あのあと泥炭に埋まって死にかけたけど、早くもあれが、懐かしい。

あそこの水は腐植質に染まった深い褐色――だが、それは不気味でも不潔でもない。むしろ、古い家具や乾いた革表紙の書物を思わせる、落ち着いたアンティーク調だった。澄んだその水の中には、沈んだ枝や魚の影がゆるやかに揺れ、ほのかにスモーキーな香りが鼻に届く。葉が朽ちて、時間をかけて、静かに抽出されたような匂い。あの水は美しかった。時間が許せば、泳ぎたいとまで思った。


視線を目の前の、腐臭を放ち、淀んだ濁り水に戻す。

もし用がないのならば、この不快な水からできることなら一刻も早く離れたい――

私の脳内では、そんな信号が走っていた。


けれど、これが「くさい、不快」とは限らない。

においとは、属人的な感覚である。


「大物の気配がするわね。トローリングの用意も持ってくるべきだったわ」

アリアはにやりと笑みを浮かべる。

あたりを見回す目は鋭く、風向きが変わるたびに鼻をひくつかせている。

この臭いと濁りに、アリアは

――むしろ、興奮している。

「いいわね、この臭い。たぶん、何かとんでもないものがいるわ」


むろん、石炭紀後期の水域からそうした”とんでもないもの”が産出したという話はあまりない・・・はずだ。

しかし、アリアがそう直感しているのなら、私は信じる。

そう――たしかに、ここには”場”があるように感じられた。

たとえば、イリエワニがわんさかいたオーストラリアのマングローブ林に雰囲気が似ている。


――以前聞いたときに、こんなことを言っていた。

「私が普段求めてるのは、“環境の主”とでもいうべき巨大な生き物たち。

恐竜、巨大魚、ワニ、巨獣。

ただ突っ立ってるわけじゃない。

巨体ながら、じっと身を潜めて――場を支配してる。


広大な縄張りのぎりぎりを奪い合ってる。

つまりね、ほとんどの場所が、彼らの縄張りってことになるのよ。

で、そういう場所には、気配がある。

たいてい、臭いや濁りもセット。分解者や生産者まで含めて、生物が活発だから。


だから、直感してる。

“見えない”ときこそ、警戒しなきゃいけないって。

見えない=いない、じゃない。

化石に残ってない=いなかった、でもない。


だから――見えないときほど目も耳も、ピリつかせ続けないと。

怖いと思えば、もっと怖くなる。

だからね――私は、楽しむの。」


恐竜時代に旅慣れると、そういう発想になるらしい。

私なら生き物に目をとられているうちに、すぐに食われてしまうだろう。

——白亜紀前期に行ったとき、そんなことあったな。すぐそばにラプトルが潜んでいた案件とか。

現在の地球の感覚は、甘ったれているといった方がいいのだろう。

”主”たちを、先祖たち(モンスターハンター)が狩りつくしてしまった世界

――私たち地球人は、だからついつい、人間様が一番上だと思ってしまう。

悔い改めねばならない。とはいえ、私の腑抜けが治るのと、喰われるのはどちらが先だろう。

――だから人を食いそうな生き物の化石記録が殆どない、石炭紀後期でもあるのだろうけれど。

過去旅のリハビリテーション、入門編として。


鼻歌がかすかに聞こえる。

リリィが、微かなほほえみを浮かべながら舵を切っていた。

そして、つぶやくのだった。

「なつかしいなあ、川の香り。『とっとと積み込め!』って怒鳴られる声が、どうしても聞こえてきちゃう。でも、今になってみれば、あれも悪くなかったのよね」

「『チビども急げ!』って毎日怒鳴られてさ。積み方を間違えると、荷ごとひっくり返されて最初からやり直し。言い訳するともっと怒られて、最後はバケツ持って立たされたっけ。

こっそりバケツの水を川に捨てたのがバレて、『川の水とお前の反省は無関係だろうが!』ってまた怒鳴られて……結局、倍の時間立たされたの。

しかも、飲料水を川に捨てたからって、その日の飲み水が本当に川の水になったのよね。あれも、今となってはいい思い出ね」


――いい思い出って、なんだろう。

楽しい思い出? いや、違うと思う。

――あとあとまで記憶に残る出来事、それを「いい思い出」と呼ぶのかもしれない。

たしかに、過去の失敗も、今になって思い返すと“いい思い出”だ――なんて言ったりする。


くさい、という言葉は、彼女の口からは出てこない。

それは、“いい思い出”の中にあった“香り”であって、“におい”ではない。


……ところで、しれっと児童労働だよね、それ。


「ところで、そちらだと何歳から働くの?」

「物心ついたら始まるわね。五歳くらい?」

「……教育は? 学校は?」

「教育? 学校って、仕事の中で専門性が必要になったら行くところでしょ?」

「……義務教育って、ないの」

一瞬、ときが止まった。

「教育が、義務……?」

「そう、誰でも必ず行かなきゃいけないって決まってる」

「その資金は、誰が出すの?」

「国」

「国が誰に払うの……??」


そうか。

私たちの「常識」は、ここ石炭紀の植民惑星にはない。

アリアを見やりながら、そういや火星はどうなんだろう、と思った。

やっぱり、物心ついたら軍隊、なのかな。

火星の軍用機を見たときのビビり方――あれはあまりにも、「らしくない」。

子供の時のトラウマじゃなかろうか。


さておき、岸辺を見回す。

川沿いには、放射状に枯れ葉を突き立ててマングローブのように茂る、巨大なシダっぽい植物――ネウロプテリスNeuropterisが茂っている。その合間にはカラミテス類と、おそらくレピドフロイオスと思われる、棒状に伸びあがり、先端で二分岐を繰り返すリンボク類が立ち並んでいた。


ところで、このあたりのカラミテス類は、一般に想像される“スギナの巨大版”とはまるで異なる。

幹だけは、復元図とよく似ている

――竹をうんと縮めたようなものだ。

しかし、その全体像は全然違う。

太い幹はところどころで分岐し、傘状の枝葉を広げていて、むしろ木性シダのような印象さえある。

高さは5メートルほど。気温32度の中でも、細かい葉が目には涼しげだ。

アリアがそれを指さして笑う。

「初めて見たとき、何なのか全然わからなくてね。謎の木だってはしゃいでた。」

「アリアがそんなへまをするなんて珍しい。」

「買いかぶりすぎよ」

「でも仕方ないよ、復元図と違いすぎるよね。20世紀初頭の復元図があまりにもスギナそのものだったから」

「あの復元図、むしろ三畳紀で見かけるネオカラミテスやエクイセティテスに似てる…名前似てるし、巨大トクサということで同じノリの植物だと思ってたのよね」

「そうそう、節の感覚とかもイメージと全然違うよね。しかも多様すぎる。この旅でも何種か見てきたけど、スギナっぽいものから棒みたいなのから木みたいのまで、本当に何でもあり」

「結局のところ、スギナやトクサもこういう様々なグループの生き残りに過ぎないわよね」

そんな話をしていると、スフェノフィルムの一種だろうか、小さなトクサ類がつる植物として這い上がっている。小さな末広がりの葉が輪生する様子はなんとも愛らしく、ヤエムグラによく似た印象を受けた。フックのように引っかかるのか、目立った支持構造もないのにぐんぐん伸びあがり、高さ10mほどに達するものすらあった。

「まあ、つる性トクサが10m以上も巻き付いてるこの状況を見るとそう思わざるを得ないね」

「あ、あれトクサなんだ・・・」

「トクサじゃなかったらなんだと思った?」

「いや…被子植物っぽすぎるけどシダ種子植物かなって。」

「確かにシダ種子植物には被子植物に収斂進化してるのいるよね」

「ペルム紀で見かけた、あの桜の葉みたいなつる植物は何だったんだろう・・・」

「アジアでしょ?それ。ギガントプテリスかな」

「なんでわかるの、こわ」

「一般常識だよ」


河岸で優占していた植物が、どれもひとまわり“グレードアップ”したかのようだった。


カラミテス類は、先ほどまでの倍ほどもありそうだ。

クリークの頭上は、もはや開けてはいない。

さまざまなシダ種子植物や木性シダのプサロニウス、そしてつる性植物や着生植物までもが勢いを増したようで、地面まで日が差していた“明るい”森は、あっという間にジャングルへと変貌した。


木漏れ日に入り、直射日光が照りつけていた船内が、ふっと涼しくなる。


その合間から――

天を貫くような、圧倒的な威容を放つ塔が姿を現した。


先ほど見たシギラリアよりもさらに大きい。

幹の胴回りは人の背丈を超え、枝は天空のかなたへと伸びている。

幹が高すぎるせいで枝の大きさまではよくわからないが、それでも、空の高みで傘のように広がっているのが見えた。

網目模様が刻まれた幹は、遠目にもくっきりと見える。


葉枕だけでも、5センチ以上あるのではないか……?


リリィが指をさして言う。

「あれでしょ! とにかくでかいリンボクが見たいって言ってたやつ」


そう。そうそう……すばらしい……

今まで見た木の中で、あれほど雄々しく、巨大なものがあっただろうか。

まさに、規格外の怪物――レピドデンドロンだ。


やがて、船着き場が見えてくる。

「あそこからなら足場が良くて、木道もあるそうよ」


開けた一角に、浮き桟橋が整備されていた。

白砂の上には、木船が三艘、干してある。


ボートが近づくと、濁った水の中で、何か大きなものがバシャバシャと逃げていく。

人より大きそうに見えた。背筋に、冷たいものが走る。



今回はスギナ・トクサの仲間が沢山出てくる回でした。

初心者にもわかりやすいように、簡単な注釈をつけようと思います。

スギナ(現生種)・・・最も身近なトクサ類で、草むらがあれば大抵みられるほどです。春になると胞子嚢穂が出て、これをツクシといいます。生でむしゃむしゃ食べる人もいますが、あまりお勧めしません。スギナといったとき、枝の多いトクサ類を総称してイメージされることもあります。和名に○○スギナとついたら、枝が多いということです。


トクサ(現生種)・・・日本庭園などによく植えられる、まっすぐで棒状のトクサ類です。節が黒いのが印象的です。植物珪素を多く含み、砥石のように使えることから、砥草といいます。見た目は愛らしいですがほおっておくと大繁茂して大変です。一般的にトクサというと、枝の少ないトクサ類をイメージします。「○○トクサ」という和名のものは、側枝が少ないです。


余談ですが…現生種の「ミズドクサ」の枝の多いバリエーションを「ミズスギナ」といったりします。でもミズスギナという別の植物もあって紛らわしいです。


カラミテス類(古生代、化石種)・・・デボン紀~ペルム紀に栄えたトクサ類に近縁なグループです。トクサ類との大きな違いは葉が鞘状にならず、発達することと、胞子嚢穂が段状の葉とその間につく胞子嚢で構成され、トクサ類のような六角形の鱗片からなる”密な松ぼっくり状”にならないことです。巨大なものが多く、腕より太いものは当たり前、人間の胴ほどの太さを持ち、高さが10mに及ぶものすらありました。復元に関しては、そのうち復元ノートを書くつもりなので参照してください。


ネオカラミテスNeocalamites(おもに中生代、化石種)・・・新しいカラミテスを意味する、主に三畳紀の属です。カラミテスと同じように輪生する葉をもちますが、まさに松ぼっくりそっくりな六角形の鱗片が密集した胞子嚢穂を枝の脇からのばします。しばしば腕ほどの太さになりました。

エクイセティテスEquisetites(おもに中生代~、化石種)・・・「トクサの石」を意味し、現在のトクサと同様に鞘状の葉をもつトクサ類化石に対して一般に使われる属です。小さなものから大きなものまでありますが、しばしば手首から前腕くらいの太さになります。現在のトクサの感覚からするとありえません。


スフェノフィルム Sphenophyllum(古生代、化石種)・・・つる性の草本性トクサ類です。石炭紀からペルム紀前期に見られました。生態はさまざまだったようで、はい回るものからつる植物として木に登るもの、果てには水草迄あったのではないかという説すらあります。カラミテス類の葉であるアニュラリアと紛らわしく、化石市場では混乱しています。しかし、葉一枚一枚をみるとアニュラリアAnnulariaが中脈が目立つのに対して、スフェノフィルムでは放射状に脈が広がっているので、よく見るとすぐわかります。



―――あれ?化石トクサ類の各属の見分け方を簡潔にまとめた文章って他に存在しないような気がする???

英語圏でも全然ないので、独学で勉強するには異常にとっつきにくいです。


というわけで他の属についてもいっちょ、いっちゃいますか。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

どうも作者です。

化石トクサ類、よくわからないですよね。え!?わかるって⁉

いったい何を読んで勉強したのか教えてほしいです。ってくらい、全然わからないです。

おそらくフリーのインターネット上には、化石トクサ類の各属がどういうものを指しているかの情報が存在しないようにすら見えます。非常に困りますよね。


というわけで、今回は石炭紀から白亜紀にいたるまでの化石トクサ類の代表的な属を網羅しようと思います!


まず、形態属の概念をおさえましょう。

植物化石は、保存される部位によって名前や分類が全然違うのが当たり前です。

さらに、保存方法によって名前が変わったり細分化されるのも当たり前です。

なので、もっとも有名な名前を筆頭に、そのパーツの名前を列挙しようと思います。この方法だと破綻するグループも多いのですが、化石トクサ類に関してはわりと纏まると思います。


プセウドボルニア Pseudobornia・・・デボン紀後期の木性トクサ類です。最初の木性トクサ類にして最大級の属でもあり、高さ20mに達したとも考えられています。葉は二分岐を繰り返し、胞子嚢は胞子葉の第一分岐の軸上につきます。なぜか国内の博物館にもよく収蔵されていますが、その生態や形態、詳細な分類にいたるまでよくわかっていないことだらけです。トクサ類の中で最初に巨大化した系統であるにもかかわらず、あまりにも扱いが悪い謎のグループです。


スフェノフィルム Sphenophyllum(胞子嚢はBowmanites / Sphenophyllostachysと呼ばれるものが普通で、特殊なタイプにはCheirostrobusやLilpopiaなど色々と名前がついている)・・・石炭紀~ペルム紀の草本性からつる性の繊細な植物で、数輪生する葉がカナムグラやヨツバムグラに似た印象を与えます。一部の種に関しては全草の復元もできており、植物全体を指す場合もあります。葉は扇状で、細かい脈が放射状に走る葉が輪生します。胞子嚢は胞子葉の付け根から分岐した枝が分岐した先につきます。胞子葉はしばしば細長く、別の植物に見えることもあります。

博物館でも化石市場でもおなじみですが、「つる性トクサ」という衝撃的な生態のわりに殆どその魅力がアピールされません!!!チャーミングな植物なのでもっと語ってあげて。

さらにしばしばカラミテス類の葉であるAnnulariaと紛らわしく、よくごちゃ混ぜにされています。確かにぱっと見では全然わからないのですが、注意してみると扇状で放射状に脈が走るのがSphenophyllum、中脈があるように見えて概形もしっかりして見えるのがAnnulariaです。

両者は紛らわしいのに比較図が殆どなく、見分けられると目利きになった気がします。

*つる性ではなく寄りかかって生育するのでは?という思われる方もいるかもしれません・・・が、フック上の突起を持ち、実際にパラリコポディテスの枝について生育することが確認されている種もいます。生態が多様であったらしいのもこのグループの魅力です。


ゴンドワノフィトン Gondowanophyton・・・冗談みたいなスフェノフィルムの近縁種です。葉は対生になって互いに両端で重なり合います。ほかにもスフェノフィルムの仲間は色々あるのですが、知名度的にも産出量的にもまず出会わないと思うので、割愛します。


アルカエオカラミテス Archaeocalamites(胞子嚢穂はArchaeocalamostachys)・・・アルカエオといいつつカラミテス類の生存年代の大部分にわたって存在します。木性の大型トクサ類で、分岐を繰り返す葉と、先端に胞子嚢をつけた胞子葉をもつ点が特徴的です。幹はカラミテスそっくりですが、節の上下で条がズレない(カラミテスではジグザグにズレる)のが違いといわれます。


カラミテス Calamites(Calamitesはおもに圧縮化石に使われる。鉱化化石はCalamitea, Arthropitysなどと細分化され、葉は幅広のAnnulariaと細いAsterophyllites、胞子嚢穂はCalamostachysが代表的。)・・・有名な木性トクサ類です。胞子嚢をつける葉と苞葉が交互に着く胞子嚢穂と輪生する葉が特徴的です。形態は非常に多彩で、亜属(たとえばスティロカラミテスStylocalamitesやカラミテアCalamitea)にわけたり亜属を独立させたりと様々な見方がありますが、たいへん分類が混乱していて一旦のところは全部カラミテスと言ってしまうのが無難です。いつ解消されるのでしょうか…。

研究者の愛の問題な気がします。カラミテスは生育環境に根付いたままの標本も多く、今後さらに多くが明らかになるのではないかと思います。

――ええ、お察しの通りゴミ箱分類群です。

ついでに言うとよく知られている復元図は1920年代のもの(Hirmer, 1927)のコピー地獄で、実態とおおきく乖離しています。その話をしろって?ええ。そのうちしましょう…。。。

しかし、では正確なカラミテスはどんなものだったのかと言われると、種による形態の差もあいまって極めて描写が困難です。種類によって形態に根本的なまでの差があるらしいのはたしかです。


スキゾネウラ Schizoneura・・・幅1センチ近く、しばしば5センチを超える披針形の葉を対性~4輪生につける異形のトクサ類です。ゴンドワナのペルム紀を代表する植物ですが、中生代まで生き残れたようではあります。草本性だったのではないかと考えられます。博物館では復元図がしれっと描かれていた以外に見たことはありませんが、化石市場ではときおり流通しています。

ようわからん植物です。全体像も分類も進化史も今後の研究が待たれます。


ネオカラミテス Neocalamites ・・・これも有名な大型トクサ類です。カラミテスのような輪生する葉と、トクサのような”松ぼっくり状”の胞子嚢穂をもちます。なんとなく大きいイメージがありますが、より現代的なトクサ類であるエクイセティテスにも巨大なものがあり、そこまでサイズは変わりません。葉が輪生して目立つので、描き分けるときにはこれを意識しましょう(いるのか???)。

有名な割によくわからない植物で、系統上の位置づけも分類も問題があり今後の研究が待たれます。


エクイセティテス Equisetites・・・現在のトクサ類(すべてEquisetumに含まれる)に似た特徴を持つ化石植物に充てられる名前です。つまり、たとえば現在の種類と寸分たがわないEquisetumが中生代の地層から出たらEquisetitesとよばれるでしょう。起源はかなり古く、石炭紀から化石記録があります。現在のトクサと同様に、葉は茎の周りを筒状に取り巻きます(トクサの黒っぽいところを見よ)。胞子嚢穂は現在のトクサやスギナとちがってしばしば茎の途中からでた側枝につき、しかもしばしば、1個ではなく複数個の胞子嚢穂が先端に着きます。ツクシの首が2つも3つもあるイメージです。大きい者から小さいものまであります。

――ええ、お察しください、ゴミ箱分類群です。



というわけで、とてもザックリですが、化石トクサ類入門を書きました。

とてもディープで、難解で、混乱を極めた3億6000万年です。

四足動物が上陸してからいままでとほぼ同じ期間にわたって地上に繁茂してきたにもかかわらず、こんな感じです――まあ、もっと他の種類もなくはないのですが、あまりにも研究が追い付いていません。


ひとまず化石トクサ類が何なのか?ということを少しはとっつきやすくできたらと思いこの記事を書きました。

ではでは。


最後に、化石トクサ類についてもっと知りたい場合、高額な書籍ではありますがTaylor & Taylor 2008 Palaeobotany: The Biology and evolution of fossil plants second editionを持っておくことをお勧めします。いきなり論文に当たるとほぼ間違いなく行方不明になります。



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