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数奇なお話 / 東尾竜之介


「…ったくお前ら。



取り敢えず2人とも教室へ戻れ。

俺はコイツを外まで連れていく。いいな?」





俺はといえば何も言えず

ただただ3人の行く末を見守っていた。






結局、坂上は有無を言わせずといった感じで

2人の生徒――


…西崎と北見に教室へ戻るよう促した。



北見は犬田に対し何か物言いたげな感じだったが、

やはり教師には逆らえないのか渋々退散していった。


…逆に西崎の方は

素直に北見に続いて帰っていった。





うーん、あの西崎とかいう男はどうでもいいとして

…北見君との別れは少し名残惜しいな。

親身になって助けてもらったしな。



兎にも角にも、不登校中かつ引き籠もり気味の犬田にとって

この2人との出会いは斬新なものだった。















「次にまた現れてみろ、今度こそ絞める。」




「来たくて来たわけじゃないですよ…」




「いーからとっとと帰れ」




「横暴な教師だな…



えっと、お世話んなりましたー…」







さあ、いざ家に帰ろうと

犬田は正門から足を踏み出した――






踏み出したつもりだった




が――







「……、ちょっ…なんだよこれ…」







正門から一歩も前に進めなかった。




まるで目の前に見えない板でも

貼り付いているようだった。


まさにそれ以外、形容の仕方がない。







それを後ろで見ていた坂上が

呆れた様子で一言、





「楽しいか?パントマイム」



「ちげえよバカ!!!!!!!」





数奇な話のはじまりだった。















一方。

坂上に見つかり、結局自分たちの教室へと

引き上げていた北見と西崎は――





「ふふ、最悪だ……犬田くんと何も話せなかった……」





「はぁ~ケンちゃんがなんだよ…ったくうじうじウゼぇな」




「…君さ…随分馴れ馴れしい呼び方するんだね……」




「あ゛あ?何言ってんですか~」



「腹が立つよ…。


俺はね、ただでさえ君という人間が嫌いなのに……」



「酷い言われようだな!」



「初めて友達になれた犬田くんの口から出てきた名前は、



よりにもよって君だった…」




「いやいや大して会話してねぇし仲良くなってねぇし」



「……あぁ、犬田くん!坂上に何されたんだっ!

そういえば頬に傷が付いていたなあ……。」




「おい、人の話聞けよ!!」




「だいたい君、何でついて来たんだい?…」




「んな野暮なこと聞くなよ。自習ーたって暇でやることねぇんだから」




「君の場合、授業であっても教室を抜け出すようだけれどね……。」






つまり、北見は職員室を出たあとも坂上と犬田の跡を

こっそりつけていた、のだが…

そこへサボり常習犯の西崎とバッタリ遭遇したのだった。


そうして成り行きで

2人して犬田と坂上の跡をつけたのだった。






「…家、ちゃんと帰れるかな…犬田くん…」



「ガキじゃねぇんだぞ」



「…あぁ、わかってるよ……」







妙に重苦しい空気のなか、


トボトボと教室へ向かって歩いていたときだった――






「やあ西崎。



サボりってさ、居眠りより質がわるいと思わない?」





冷笑を浮かべ

仁王立ちをして立ちはだかる男がひとり。






「げぇ…、竜…。



ちがうんだって、ほら、さっき話した

例のトイレの転校せッ…、ガハッ――!」






「…あぁ、ケンちゃんだったかな?


教室でゆっくり聞くよ」




ここでようやく名前が挙がるのが――

…東尾竜之介。

西崎の相棒にしてお目付役の学級委員である。







「…大変だね…東尾くん。


こんな男を友人に持って…同情するよ……ふふ」




嬉々として不気味に笑う北見。





「まったく手に負えない友人だよ、あっはは」




西崎にアッパーを食らわせた東尾。





「う゛、っ……」




そしてこの2人だけは

敵に回したくないと思う、西崎だった。





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