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西崎虎太

ああ。家じゃないな。

やっぱり家のトイレじゃなかった。



突っ込み所満載でまぁ…

どこから指摘したものか。



ここはひとつ落ち着いて、無難に…。


「あの、ぶしつけで悪いんですが…ここはどこでしょう。」



「はぁー? …見てわからないんですかー。」




ぐいッと、



胸倉を掴まれて

引き寄せられる。




「おぅわッ…!ちょ、」



顔が近い。嫌でも直視することになるわけだが。


目つきわる… こぇえ。 

不良か。そうだな、こいつはきっとクラスとか締めてそーな、そんなキャラだろ。


俺はそう勝手に想像を膨らませ

目の前の男を不良ポジションに位置付ける。



何が無難だチクショー。



俺は身構えた。


そらもう、一発ガツーンと拳を喰らう覚悟してだ…。 







「せーいーふーくー。  …見えますー?」




けれど

目の前の彼は

そうはしなかった。



「制服。…ここ、学校でしょーが。



 なに君、転校生?」



ひとまず目の前の危機は回避できたようで。


安堵した後。次に怒りが徐々に湧いてきた。



「見えてますよ…。


 けど、だからってわざわざ胸倉掴むことないでしょう。



 殴られるかと…」



俺は掴まれた男の手を振り払って、溜息交じりに抗議する。



「いや。殴るつもりではいたんですよー。わけわかんないこと言い出すし?」



はい…? な ん だ こ い つ  


おまえがな!とでも言い返してやりたかったが

そこをぐっとこらえる。



悔しいことに、口論しても話は先に進まない…。


まずはこの状況を説明して…いや、俺でも信じられない怪奇現象が起こっているんだ。


それがこのいかにも頭わるそーな柄のわるい不良に理解できるわけがない。


俺はじっと男の顔を見つめながら唸っていた。



「あ…?なぁにジトっと見てんですかー?別に殴ったわけじゃねぇんだから。 



ってかさ?質問に答えろよ。 君、転校生なわけ?」



「あ。…言いそびれてしました(主にお前の暴挙の所為でな!)


俺はこの学校の転校生じゃありません。」


不登校&引き籠り中の俺に、転校なんて選択肢はなかった。

どこに行こうが一緒だ。無口で無愛想な奴の末路は決まってるからな。ぼっちだ、ぼっち。

コミュ力皆無舐めんじゃねぇぞ。



「違うの? んじゃなんでここいんの?」


「俺にもわかりません。…目が覚めたらトイレの個室にいました。」


「………あ゛ぁ?」


素直にありのままを伝えた(つもり)が、俺はまた彼を怒らせたようだ。

だって、これ以上説明のしようがないからだ。


理解してもらおうとは思っていないがせめて殴らないでほしい…。


来るか?…反射的に俺は目をギュっと瞑った。



「ビクビクすんなよ。殴っていいんですか。」


「や、やめていただきたいですおねがいしますほんと!!」



やっぱりそのつもりだったのか!! えぇいなんて短絡的な男だ…!




「まぁ、信じらねーな。 …かといってお前が嘘付いてるよーにも見えない」


「は、はあ…。ありがとうございます」


「ぶはッ! 


ありがとーございますってなんだよわけわかんねぇー!お前おもしれーよ」



笑われた!?…って、またわけわからん扱いされてるし…、ほんとお前こそってかんじだやれやれ。


切れられるよかマシだけども。


驚き戸惑って 俺はまたおどおどしていた。



「あぁそーだ。俺は西崎ね。西崎虎太。」


「えあ、はい、西崎さん。 えっと、俺は犬田陸です…」



「あ、よく聞こえなかった。いぬ?犬ですかー?」



「いや、いぬだ、犬田です」



「犬だ?おまえ犬ですかー!ぶっは…クククッ」



「いやいや、俺犬宣言してないですからね別に!?」




なんだ、わざとかむかつくな…。 

いや、こいつバカそうだし本気かもしれない。

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