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猫塚将彦

更新遅くてすみません

お気に入り感謝です。





「ホントに行くのか…」







犬田は、時々振り返っては同じ質問を繰り返した。






「同じこと言わせんな。とっとと歩く」



「不登校、よくない」







西崎と南原は本気だ …


あぁ、帰りたい…




頭を抱えたくなった犬田だったが、一方で

自分を心配してくれる気持ちが嬉しかった。







「わかったわかった。…でもね」




再度犬田がふたりを振り返る。




「なんですか~、はやく行けよ!!」



「大声だすな授業中だぞ!  …たぶん」






幸い、この階の廊下に人気はない。五階は西崎たちの学校と同じく

(広さは違うものの)資料室や準備室といった特別教室で占められている。

といっても、階下にはもちろん授業中のクラスがあるわけで…







「い、いやあ… さすがに他校の生徒がぞろぞろ歩いてるのはどうかと」





4人も他校生を後ろに連れて歩く様は、異様だ。

いやでも目立つわけで。





「今度は僕らが困るね。

ちょっと落ち着いて考えてくれない?西崎も南原くんも」





「あぁ、東尾さん・・そうです、アナタ方が困るわけで」





「でも…その男のせいで犬田くんが不登校になったんなら…俺は…許せないな…」





「まって、待とう北見くん。キミまで冷静さを欠かないでほしい」





「おい、どの道下に行かないと俺たち帰れないだろーが。こっから飛び降りるんですかぁ?」




「5階ですが」




「わかってんなら、ほら、歩く」






認めたくはないが、西崎の言う通りだ。

東尾もそれ以上口を挟むことなく、黙って犬田の後に続いた。














          *













「無事に帰れますように…」


「なぁにボソボソ言ってんです、 か」




階段を手前に

ひとりブツブツ呟く犬田。



「っえ…? っほ、ぉわ !!!」




ゲシッ と

イイ蹴りを犬田の背中に入れた西崎。





「落ちるだろうが!!!!貴様、殺す気か!!」



「ごめん、ケンちゃんとろいから」



「それだけか、それだけなのか言うことは」








『ウルサイよ』





シンとしていた階段に響いた声。



踊り場の壁に腕を組んで

寄りかかっている男は――






「あー…。 ケンちゃん、思ったより早く帰れそうだ」




「逃げる?聞き捨てならないよな。待ってた、カハハっ


…おいで、犬田のオトモダチくん」








一瞬でその場に険悪な空気が満ちる。






しかし――






「…僕のまえで喧嘩なんて許さないよ、いいね!?」





「ごフッ・・!、   お、ま」






西崎の腹に強烈な拳がヒットした。

案の定、それは東尾で。 


目の前の男が溜息を吐いた。







「やる気、削ぐなよ…メガネくん」







不戦勝…?


乱闘にはならずに済んだ。

東尾に感謝しつつ、



犬田はキッと男を睨んで言う。







「お前が俺のこときらいなのは知ってる。…来ないから、今日だけ許せよ、猫塚」




「…………………」





男は犬田を黙って見つめたまま何も言わない。








「猫…?」



犬田のことばに

ムクリと顔をあげた(復活した)西崎が反応した。






「お、お前、そんなナリして  ねこか、よクッハハハハッ」



「お、おい西崎・・・、さん…!」








「なにか…、おかしいか…?」



眉間に皺を寄せ、拳を震わせる猫塚。






「僕、頭痛い・・」


東尾が頭を抱える。














少し、空気が和らいだ気がした――

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