光の先に
――……。
…、…
微睡む意識のなか…
この冷たい感触は――
ベッドの上なんかじゃ、ない。
「……っは。…――!」
嫌な予感。
犬田が反射的にガバッと身体を跳ね起こすと、
ゴツン。
「い゛ぃってぇ…!」
勢い余って何かに
思いっきり頭をにぶつけてしまった。
「あいたたた…、 ――あれ、・・この極悪フェイスは」
「ってぇな…!誰が極悪非道犯罪者だと!!?あ゛!?」
「いや、そこまで言ってないです」
ぶつけられた頭を押さえながら
西崎が物凄い剣幕で抗議した。
「ん…っるさいよ、君たち…んん」
西崎の怒声に、すぐ横で眠っていたらしい東尾が
寝ぼけ眼でそう言った。
「東尾くん? …あ、北見くんも」
同じく壁に寄りかかって眠っていた北見を、犬田は揺り起こした。
「起きろ、北見くん」
「……犬田くん、積極的だなあ……ん」
どんな夢見てるんだこの人。
そして――
よくよく落ち着いて見回すと、ここは狭い一室…
…そう、トイレのような
「トイレだよ」
「わっ、南原!」
声の主を振り仰ぐと、そこには南原が居て…
何故か犬田の上ジャージに手を突っ込むと、弄り始めた。
「…おい、なんだこの手は!!退けろ!セクハラだぞ!」
「やったな。成功だろ?」
「成功? …っていい、からっ、この手を、出さんかッ!」
攻防戦の末、犬田が南原の手を追い出すことに成功した。
しかし南原は何事もなかったようにこう続けた。
「思い出せ。」
「…思い出せって、――あ。」
瞬間、走馬灯のように
記憶が駆け巡った。
「そうだ、俺…トイレで西崎さんと掴み合いになって…
したらなんかカッと光って」
ガチャ――!
犬田が言い終わる前に
西崎が立ち上がって扉を開け放った。
「っはー!トイレで寝るとか最悪だろ~!うっえ!」
みんなの視線が、扉の外へと向けられる。
「あ゛?俺らん学校のトイレ、こんなんでしたかー?」
西崎が狭い個室から出て、 ぐるっと辺りを見回した。
「違うよ、公衆トイレに違いはないけれどね。」
「…内装が……うちとは違うみたいだ…」
続けて東尾、北見と個室から出て行く。
「…? どうした。」
続けて個室から出て行こうとした南原が
黙って扉の先を見つめたまま動かない犬田に声を掛けた。
「ケンちゃん、さっさと出てこいよ」
様子のおかしい犬田に、西崎も声を掛ける。
「……!」
すると犬田は何を思ったのか、突然立ち上がると走りだした。
「お、おい!犬!」
呼び止める西崎の声を無視して
犬田はトイレの外へ出る。
「…おいおい、いきなりなんなんですかー?ビックリすんだろー」
追いついた西崎が問う。
「い、犬田くん……急にどうしたんだい?…」
続けて北見が、息を切らして。
「…あれ?やっぱりなんか…」
そして東尾が外に出て、その違和感を口にする。
「…どうした、犬田」
最後に――
南原が出てきて、犬田の横に並んだ。
犬田は――
「俺の…、学校だ」
そう呟くと、複雑そうな顔をして
その先に続く
長い廊下を見つめた――。
さぁ、これからです。
二章目に突入した、という感じでしょうか。
どう展開を転ばせたものか
私自身楽しみであります。
どうぞ、これからもお付き合いくださいませ。