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舞台上の殺人

「お前が姉さんを殺したのか?」

「ああ、殺した。


 ……見るか? これがお前の姉を殺したナイフだ。」


 明神は胸ポケットからナイフを取り出す。氷室はそのナイフを見て、一歩後ずさった。


 そして、両手をこちらに向け、私を落ち着かせようとする。


 しかし、明神は氷室の首元しか見ていなかった。氷室はごくりとつばを飲み込んだようで、喉が大きく動く。


「兄妹仲良く一緒のナイフで殺してやるよ!」


 明神は氷室の喉笛に向かって、ナイフを右から左へと振り抜く。氷室はびっくりしたような表情で、首元に手を当てる。氷室は自分から溢れ出る血に困惑しながら、舞台上へと倒れこんだ。


 まさか、演技中に本物のナイフで斬りつけられるとは思っていなかったのだろう。


 明神はこの舞台の脚本を始めて見た時、氷室を殺すチャンスだと思った。


 なぜなら、氷室の首元にノーガードで真正面から斬りつけるには最高の場面だったからだ。


 氷室は殺虫剤をかけたゴキブリのように、手足をぴくぴくと動かしていたが、しばらく観察していると、それも終わった。


 明神はそれを見守ると、ズボンのポケットに入れていたハンカチで、ナイフの指紋をきれいに拭きとった。そして、ナイフに指紋が残らないように、氷室の死体の手にナイフを握らせる。


 氷室は右利きだったから、ナイフは右手に握らせた。氷室は自殺したと思わせなければならないので、利き手でない手でナイフを握っていたとなると、他殺の線を疑われるからだ。


 そして、私はハンカチをポケットに入れ直すと、舞台上から舞台裏へと向かった。そして、舞台裏で返り血の付いた衣装を脱ぎ、用意していた私服に着替える。


 そして、明神は返り血の付いた衣装をナイロン袋にまとめて、私は舞台裏から楽屋廊下を抜け、一番奥の衣装倉庫で立ち止まった。衣装倉庫には舞台で使用する様々な衣装がしまってある。


 その中のある段ボール箱に、返り血を浴びた衣装を入れる。その段ボール箱は、殺人鬼を演じた時の衣装で、血に見せかけた赤い塗料で汚された衣装がたくさんしまってあった。


 つまり、この衣装が見つかった所で、氷室の自殺とは関連付けられることはない。


 明神は衣装倉庫を出た後、自分の楽屋に戻り、扉を閉める。


 そして、明神は息が詰まるような殺人から一気に解放され、体が一気に軽くなった。


 そして、明神は笑い声をあげる。


 楽屋の外に聞こえるほどの笑い声を押さえることができなかった。後で、演技の1つだとでも言い訳すればいい。


 明神はただ自分がした殺人に喜びを隠せないでいた。

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